短編1(閲覧注意)

栗男

その1 殺人事件

隣の部屋で殺人事件があった。

どうやら、僕の住んでいるアパートの右隣の部屋に住んでいた安田さんが昨夜死体で見つかったそうだ。今朝7時頃、大家さんが数日間安田さんを見ていないのを不審に思い、話をしようとドアを叩いたが返事がなく、仕方なく合鍵で部屋に入った時に、手足をバラバラに切られ、残った胴体と頭だけが居間のテーブルにぽつんと置かれていた安田さんを発見したらしい。死後数日立っていたらしく、同じアパートの住人が死んでも、大家ですら意外と気づかないもんだな。と驚いた

数台のパトカーやかなりの野次馬や集まっているので、朝から外がとてもうるさい。

うちの部屋にも事情聴取のために警察が来たが、実際何も話すことはないので最低限の会話だけで終わった。

警察の話を聞く限りだと、どうやらうちの部屋の左隣に住んでいる木下さんが丁度数日前から連絡が取れなくなっており、凶器らしい物も見つかった事から彼が一番疑われているようだ。

「ご協力、ありがとうございました。」

警察の人が玄関のドアを閉じたのを確認し、玄関から居間の方に振り返る。

「だってよ。酷いですねぇ、警察ってのは。同じ日から連絡が取れず、凶器とおんなじものを持ってただけで人を勝手に殺人犯にしちまうんだから。」

彼に喋りかけながら、僕は居間の方に歩いていく

「やっぱり、日本の警察ってのはポンコツですよねぇ。だって…」

居間に辿り着くと、おもむろに襖を開け、中のダンボールを引きずり出す。その中には、胴体と頭だけになった人間が入っていた。と言っても、乾燥してまるでミイラのようになっているので、人間と言えるかも曖昧なものだった

「木下さんがずっと、ここにいたのも気づかないんですもん」

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短編1(閲覧注意) 栗男 @marron_man

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