悪魔な実験

 これは『脳内迷路』にチラッと書いた時に頂いたコメントに書かれていたんです。悪魔な実験。気に入ってタイトルにしてみました。


 中、高校生の頃、クラスメートに時々とんでもない実験をしていました。当時の私は、真面目に「他の人も体験しないと心霊現象かどうか証明できない」と思っていたのですが、試された方には、迷惑千万だったことでしょう。


 中学生の頃、高台グラウンドの倉庫で、こんな体験をしました。

 当時、突き鬼というかくれんぼの一種の遊びがありました。その遊びをした時に、私は倉庫の東の外壁にピタリとくっついて隠れたのです。端から見れば丸見えですが、鬼は西の慰霊碑公園に居るので見えません。距離もだいぶあるので、時間稼ぎになると考えたのです。


 壁に両手をついて身を寄せたまま、じっと耳を澄ませていた私は、突然、両手首をガシッと捕まれて、ギョッとしました。

 なんと壁から手が出て、私の手首を掴んでいるのです。しかも顔の前の板壁に黒い靄がかかったような空間が現れ、ギョロギョロと大目玉が浮かび、大きな口が笑っていました。

 霊と言うより妖怪のような感じだったでしょうか。かぶりつかれると思った瞬間、「見つけた!」と鬼に肩を叩かれました。

 勿論、妖怪のようなものは消えていて、鬼だったクラスメートは何も見なかったとの事でした。


 倉庫の怪奇現象で聞いた話にはない体験だった為、私は突き鬼をする度、

「此処に隠れてると稀に面白い事が起きるよ」と、クラスメートに声を掛けて隠れさせました。

 誰か同じ体験をしないかな、と期待したのですが、残念ながら誰も遭遇しませんでした。

 在学中、同様の体験話を聞かなかったので、私だけの謎の体験になってしまいました。


 あれは何だったのか。幻覚だったのかと、思ったり。ただ、掴まれた指跡がしばらくついていたので、幻覚ではないと思うのです。



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