カセットボンベ

 カセットコンロに使う、カセットガスボンベを数える。

 十三本あった。

 製造年月日を確認すると、三十年ほど前と判明する。

 かすかにサビが見られたガスボンベをどうしようかと考えては、「未来の叡智に委ねよう」と棚上げしてきた結果である。

 ガスボンベの消費期限はおよそ十年。

 業者に依頼すると費用がかかる。

 ピンきりだが、一本千円としても1万は超えてしまう。

 地道に一本ずつガスを抜いていくしかない。ちょうど缶の収集日が近い。

 ただ、古いボンベだから抜けるのだろうか。

 処分することを決めて、処分方法についてどうするか母に話をする。

「地域の環境美化の人に聞いてみる」と返事。

 ペットボトルやビン、缶を収集する前日。

 母がガスボンベを持って話を聞きに行くと、「ガスを抜かずに使えばいいじゃないか」といいつつも、「こう抜くんだ」と十三本のガスを抜いてくれたという。

 缶ビールを一ケース購入し、お礼とお詫びを兼ねてすぐに持っていったのは言うまでもない。

 おかげで長年の懸案事項の一つが片付いた。

 未来の叡智に委ねた結果である。

 

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