第4話異世界の朝


 翌日、目を覚ましたタローは、自分が完全に復活していることを実感。

 

(ウーン。薬草にヒーリング魔法とか、異世界を堪能してしまった。でも、できることならエッチな格好をした妖精とかといろいろ堪能するとかのほうがよかったな。ふへへ)


 邪まな考えが出てくるほど余裕。

 寝床から、そしてはテントの外にでてストレッチする。

 山脈中腹の小高い岡の上から広がる風景。遠くに海が見える。

 東の山間からのぞき出てる朝日が眩しい。


(海があんなに遠くとか、へろへろだったのによくこんなトコまで歩いてこれたなぁ)


 自分で自分の能力に驚きである。そしてもうひとつ驚きの状況。


(あれ? 空が青い――この世界に来たときは緑色だったはず。なのになんなんだろ……)


 ちょっと疑問に思った。でも異世界と密林サバイバルの生活という異常な状況を過ごしていたそのときのタローにとっては、それが些細な出来事に思えてしまったのだ。


「タロー、もう起きたのか」

「よう、チィルール」


 眼をこすりながらテントの影から現れるロリ剣士チィルール(へっぽこ)。


「身体はもうよいのか?」

「へーきへーき全然大丈夫」

「全然大丈夫とか、タローの物言いはたまにオカシイな。フフ」

「そーか?」


 昨日、意識を取り戻したタローは、事の顛末を聞いたのだった。だから大体の事情は分かっている。

 ここはある旅団一族のテント集落。

 たまたま移動中であった彼らにタローとチィルールは発見されたのこと。

 しかも野犬が騒いでいるのを何気に気にした子供達によって、野犬たちに食われそうになっていた二人を偶然見つけてくれたということだった。まさに絶体絶命間一髪。


「ありがとうな。タロー」

「なにが?」

「野犬に食われかけたとき、貴様は私を庇っていてくれてたそうだ」

「意識なかったし、たまたまじゃないの?」

「そうか。タローはやさしいのだな」


 だがチィルールは分かっていた。タローは傷だらけなのに自分は無傷であるということを。

 頬が赤くなっているタロー。それを見つめるチィルールもなんだか、はにかむのであった。


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