M.6「特別」
「わかんない! 全然分かんないよ! あーもうムカつくーっ!」
「近所迷惑だぞアホー」
「だってムカつくんだもん! なんであたしがみんなにぶーぶー言われなきゃいけないの!? っていうかアホって言わないで!」
ランドセルを背負ったまま荒れる千華の声と、網目状のフェンスにサッカーボールが蹴り付けられるガシャガシャ音が、夕方の公園に響く。ここに来るまでもずーっとこいつはうるさかった。
「そんな大振りしてると転ぶぞー」
「転ばないし! あたしは勉強も運動もバッチリ出来るちょーちょーすーぱー凄い子なんだか……らぁ!?」
思いっきり振り上げ、思いっきり振り下ろされた右足は、ピタリと止まっているボールを捉えず。
「ぐえっ!」
勢いのままランドセルから地面にどんっ。うわ、痛そ。変な声出してるし。
「アホー」
「あ、あふぉいうら……」
「ったく……」
ひっくり返ったまま動かない千華を助けてやろうと近付いて、そして気付いた。
「なんで……あたしが……」
泣いてはいなかった。けれど、結構ギリだったと思う。
うるさいとかウザいとか鬱陶しいとか言われても基本気にしない千華が、珍しくヘコんでいる。
「あたし……なんもしてないもん……」
うーん、これは良くないな。
「おや、奏太に千華じゃないか」
元気付けてやるかな。さてどうしよ。とか考えたら、見慣れたおじちゃんが、公園に入ってきた。
「あ、たーじい。ただいま」
「はいおかえり、奏太」
たーじい。田島のじいちゃん。略して、たーじい。俺たちと同じ団地に住む、優しくて面白いおじちゃんだ。
「千華もおかえり」
「……ただいま」
「どうした、こんな所でひっくり返って。空でも見てるのかな?」
「違う」
「なら起きないと。可愛いランドセルが汚れてしまう。よいしょ」
じたばたともがく千華を起こし、ランドセルやスカートに付いた砂を払い、たーじいは続ける。
「どうしたね、誰かと喧嘩でもしたかな?」
「してない」
「そいつ不貞腐れてんだよ」
「そういうの言わなくていいのに! 奏太のおしゃべり!」
「千華に言われたくねえ」
「ふむ……学校でケンカでもしたかな?」
「ケンカなんてしてないよ。だってあたし悪くないもん」
「本当に?」
「ほんとだよ! あたしがズルしてるって言われただけだもん! ズルなんてしてないのに!」
「何がズルイって言われたんだい?」
「勉強の事!」
「ほう」
多分、この時にはもう千華の言われたズルってヤツの中身、わかってたんだと思う。たーじい、千華の事よく知ってるから。
「あたしの前の席の女の子がね、小テストが全然ダメダメだったの。でねでね、あたしは満点だったの。それで聞かれたの。千華ちゃんっていっつもテスト満点だよねって。だから言ったの。あたし、一度見たものは全部覚えられる天才なのって。そうしたらさ」
こんな話、普通なら誰も信じない。けれどクラスメイトたちは、その片鱗を幾度となく見せられてきた。だからだろうか、嘘を吐くななんて言う子は一人もいなかった。その代わりに飛んできたのが。
「あたしがズルしてるって。そんなの卑怯だインチキだって。一人だけ特別なんていけないんだーって、みんなが言ったの」
こういう言葉の数々だった。
千華の言う通りだ。千華は何も悪くない。生まれ持った物を、あの人から贈られた物を大切に使っている。千華が悪いはずがない。それはクラスの連中もわかってるはず。
それでも、言いたくなってしまうんだ。単純に、羨ましいから。
「そうかそうか」
「……あたし、何もズルしてないよ?」
目の前で腰を落とすたーじいにそう告げる姿からは、いつものパワフルさは少しも見られない。否定や拒絶の言葉を投げかけられようものなら、本当に泣き出してしまうんじゃないか。そんな予感さえさせられる弱々しい姿だった。
「知ってるとも」
「卑怯な事もインチキな事もなんにもしてないよ?」
「わかっているよ」
「あたしが勉強出来るのはあたしが特別で天才だからで、みんなが勉強出来ないのはみんなの所為だよね?」
「まあそうだね」
「だったら……なんであたしだけよくない事言われなきゃなんないの?」
「ふむ……」
「これからは……満点取らないようにした方がいいのかな……」
「いけないよ、千華。それはいけない」
千華の肩に手を置いて、首を横に振るたーじい。こういう言葉が欲しかったろうに、千華は凄く驚いていたっけ。
「千華がそういう事をしたら、千華は本当にズルくていけない子になってしまうんだよ。だからダメだ。自分が間違ってないと思うなら、絶対にそんな事しちゃあダメだよ?」
「でも……じゃないとまたみんなに……」
「ふむふむ……」
千華の肩に手を乗せたまま、うんうんと唸るたーじい。何かいいアイデアでもあるのかな、どうするのかな、俺が頑張った方がいいのかな、とか考えてたのを覚えてるよ。
「こうなったら仕方がない……このじいさんが隠していた、とっておきの秘密を教えてやるとしよう……」
ふっふっふーなんてわざとらしく笑ってたの、今でも覚えてるよ。時々たーじいとの世間話のネタにするくらいだし。
「秘密?」
「そうとも。まだ誰にも言った事のない、凄い凄い、ちょーちょー凄い秘密だ」
「そ、そんなにすごいの?」
「それはもう」
「教えて教えて!」
「ふむ……では、予言をしよう」
「予言?」
「今から三十秒後に、可愛いと千華が言う」
「ほえ?」
「今から三十三秒後に、すっごい可愛い。この子どこの子? と千華が言う。今から四十秒後に、へー。今度遊びに行っていい? と千華が言う。今から四十五秒後に、やった、と千華が言う。今から一分後に、ほんとだ。凄い。と千華が言う。以上だ」
頭の上に大きなはてなマークを浮かべているんじゃないかくらい首を傾げる千華。俺も似たようなもんだったと思う。予言って言葉の意味はわかったけど、なんかカッコよくない予言だったから、意味がよくわかんなくてさ。
「全部覚えたね?」
「うん。たーじいの予言、全部覚えた」
「そうかそうか。やっぱり千華は賢い子だ」
さっきまでの胡散臭い雰囲気は何処へやら。千華の頭を撫でるたーじいは、俺たちがよく知っている、優しく笑う優しいおじちゃんに戻っていた。
「そ、そうなの! あたし賢いの! なんていったって、天才だからっ!」
「そうだね、千華は天才だ。本当にそう思うよ」
「でっしょー!? てへへ……」
「照れる事ないぞ。本当の事なんだから」
「まあそうなんだけど! でへへ……」
さっきまでの不機嫌っぷりは何処へやら、だらしなく笑って喜ぶ千華。すっかり上機嫌になってんな。
「ところでだ」
「うん」
「これを見てくれ」
笑顔のたーじいが取り出したのは、ガラケー。その画面を千華に見せた瞬間。
「可愛いっ!」
千華が叫んだ。
「すっごい可愛い! この子どこの子!?」
間髪入れず、そう続けた。
「うちの子だよ。どうしても飼いたいって話になってな、昨日うちにお迎えしたんだ」
「へー! 今度遊びに行っていい!?」
「いいともいいとも。みんなで遊びに来るといい」
「やったぁ!」
飛び跳ねて喜ぶ千華。そんな様子に口角を上げながら、たーじいは言った。
「ふむふむ、元気があって大変よろしい。ところで千華。さっき言った予言、思い出してみてくれるかな?」
「うん。えっと…………あ、あれ!?」
ここに来てようやく気付いたらしく、めちゃくちゃに慌てる千華の姿は、なかなかに愉快だった。
「な? 予言通りだっただろう?」
「ほんとだ! すごーい! あ! ここも!」
「ふっふっふ……」
若干の誘導はあったとはいえ、千華の事をよく知ってくれているからこそ出来たパワープレイを披露したたーじいのドヤ顔が光る。やっぱちょっと胡散臭いんだよなあ。
たーじいが千華に見せたのは、この出来事があった前日にたーじいの家にやって来たばかりの、うさぎの写真だった。千華の脳に補足されていなかったから出来たんだなと、今更ながら。
「な、なんで!? なんでこんなにぴったりだったの!?」
「それはだな……この老いぼれが!」
「うんうんっ!」
「千里眼の持ち主だからだ!」
いい歳したおじちゃんが黒っぽい騎士団の総司令辺りがやりそうな厨二感全開のポーズを披露するっつー光景は、千華でなくてもずっと忘れられそうにないくらい、パンチ力があった。
「千里眼!? 何それ!? なんかカッコいいね!?」
「知らない千華に教えてあげよう。千里眼と言うのはな、少し先の未来を知る事の出来る能力なのだ!」
「な、何それー!? すごいすごいすごーいっ!」
ノリノリなたーじいとぴょんぴょん跳ねる千華を眺める俺は、何やってんだこいつら的な冷めた視線を送っていたっけ。
「そうなのだ。たーじいは凄いのだ」
「ほんとにすごいよたーじい!」
「そうだろう?」
「うん! たーじいカッコいい!」
「そうだろうそうだろーう?」
「うんうんっ!」
「……だが……残念な事に……」
「な、なに……?」
「この力が使えるのは、私だけではないんだよ……」
「そ、そうなの!? こんなに凄い事が出来る人が他にもいるの!?」
「いるとも。私は若くないからそんなに遠い未来の事は見えないが、今から一年後とか十年後とかが見える人もいるんだよ」
今にして思う。これ、夢とも嘘ともフェアリーテールとも言い切れないなって。
数年後の自分を透かして見る事なら、誰にだって出来る事だもんな。ただ、大抵がその通りにならないってだけ。
「十年!?」
「凄いと思わないか?」
「思う!」
「そう、凄いんだ。だから、私は凄くないんだよ」
「な、なんで? たーじいもちょっと先の事が見えるからすごいよ?」
「同じ事が出来る人ならたくさんいるんだよ。実はね」
「ほんと!?」
「本当だ。私が出来る事は、何も特別な事じゃないんだよ。だから私は、特別な人ではないんだ」
「そうなんだ……」
「そう。それは、千華も同じだよ」
少しトーンダウンした金髪に手を乗せて、たーじいはまた、笑った。
「私も千華も特別かもしれないけど、実は特別じゃないんだよ」
「意味わかんないよ……」
「何も特別な事はないんだよ。私だってちょっと凄いくらいなんだ。千華もそうさ。この広い世界から見たら、ちょっと凄い女の子なだけなんだよ」
そうだ。記憶力いいくせに忘れ物とかするし、自分がやらかした失敗とか直ぐに忘れちゃうし。
「凄いのは千華だけじゃない。千華以外にも凄い人はたくさんいるんだよ」
確かに千華は凄い子だよ。けど、それがなんだって話。凄くても凄くなくても、千華は千華じゃんか。
大切なのは千華が、俺たちにとって特別な、一人の女の子であるって事。それだけだと思うんだ。
「もしかしたら千華と同じクラスにもいるかもしれないね」
「ほんと!? でもみんな勉強出来ないよ!?」
「私みたいに勉強以外のところが凄い人もいるかもしれないだろう?」
「な、なるほど……! でもでもっ! みんなみんなそういうの言わないよ!? そういうすごい話聞いた事ないよ!?」
「そうだろうね」
「どうして!?」
「それは、その人だけの特別だからさ」
グリグリっと金髪を撫で付けながら、たーじいは続ける。
「だからね、千華の持ってる特別も、千華だけが持ってる特別なんだよ」
「あたしだけの特別?」
「そう。この特別は、誰かと比べたりする必要なんかないものなんだ。だからこそ特別なものなんだよ。わかるかな?」
「うん……わかる……と思う……」
「だからね、千華」
「うん」
「堂々としなさい。千華が千華のママからもらった特別なものだ、大切にしなさい。そうしていれば周りの人たちもきっと、千華の特別を大切にしてくれるから。もしも誰かに嫌な事を言われても、そんなの知るかーって言ってやりなさい。いいかな?」
「うんっ!」
「それでももしも、どうしようもないくらい困った事や嫌な事があったらいつでも私の所に来るといい。ちょっと特別な者同士だ、いくらでも力になってあげるから」
「うんうんっ!」
即席で作り出したシナリオ通りに概ね進行したんだろうけど、本題までが長過ぎる。小さな子供から大きな子供になった俺から一言だけ言っとこう。
千華を一人にしない為のパワープレー。俺は好きだよ。とも添えとくか。
「よろしい。どんな悩みだろうと、この年寄りに任せなさいな。この先何が起ころうと全て、この千里眼でズバッと解決してあげようじゃないか!」
「か、カッコいい……!」
「ふっふっふ……!」
カッコいいかは知らんけど、ありがとうって、素直に思えた。
千華の味方になってくれるのは。千華を大切にしてくれるのは。俺たちや、俺たちの家族だけじゃない。こんなに頼もしい人もいるんだ。
嬉しかった。優しくてあったかい人がいてくれて。ヘコんでいた千華を元気付けてくれて。本当に嬉しかった。
この頃から千華は、少し変わった。以前から堂々としていたが、更に堂々とするようになり、陰口悪口なんてなんのそのな無敵モードに入った。実際、これ以降ガチヘコみした機会となると、いつかの雨の日と、美優に大差を付けられてミスコンで負けた時くらいじゃねーかな。
それともう一つ。この日から俺たちの団地に、千里眼も持っていると宣う愉快なおじちゃんが現れるようになった。その人はよく、少し先の未来を予想してくれるんだけど、そのほとんどが当たらなくて。
けれど、その人を嘘つきとかインチキおじさんとか言うヤツなんて、今日まで一人もいなかったよ。当然だ。俺たちが行く事になる少し先の未来を、いつだって見つめていてくれてるんだから。
「さて、もう大丈夫かな?」
「元から大丈夫だよ! だってあたし、強い子だもん!」
「はは、そうだね。だったらほら、早く家に帰りなさい。家に帰るまでが学校だからね」
「わかった! ほら行くよ奏太! ちんたらしてるとおいてっちゃうんだから!」
「さっきまでボールに八つ当たりしてたくせに何言ってんだアホ」
「八つ当たりなんかしてないしアホじゃないし!」
「アホだって認められないところがアホなんだ千華は」
「なんだとー!?」
「はいはいケンカするんじゃない。ほら、手を繋いで」
「ちょ、ちょっとたーじい!」
「なんだよー」
「いいからほれっ。恥ずかしがっとらんで繋がないかこらっ」
なんか無理矢理に、千華と手を繋がされた。思春期なんて言うには程遠かったんだろうけど、小っ恥ずかしくて仕方がなかった。
「まったくもう……お前さんたちはすーぐに言い合いを始めてしまっていかん。せっかく仲良しなんだから、恥ずかしがらずに仲良くしたらいいじゃないか……」
「だって千華がアホなんだもん」
「だって奏太がバカなんだもん」
「なんだとー?」
「なにをー!?」
ふと、思い出す。仲良しってところの否定、俺も千華もしなかったな。
「やめんか! とりあえず部屋までそのままで帰る事。こういう細かい事からコツコツと積み上げていきなさい」
「なにをー?」
「全てをだよ」
「よくわかんないよー」
「っていうか手繋ぐの暑いー」
「ぶーぶー言わないっ。そのまま部屋までゴーゴー! ほれほれっ!」
「わかったよぉ」
「なんであたしたちが……もう子供じゃないんだからっ」
「はーやーくー」
少し先の未来が見えるらしい目でめっちゃ睨まれたので、大人しく公園を出ようとした。そしたら。
「奏太。千華」
「あれ?」
「お父さんだ!」
公園の外に、父さんがいた。
「ただいまー二人共」
「お母さんも!」
「おかえりー」
父さんの隣には母さんも。
仕事だったりなんだったりでもう少し遅くの時間にならないと帰って来ない二人がこの時間に一緒にいるのはなんだか不思議で、変な感じがした。土曜日でも日曜日でもなかったのに。
「二人はなーんで手を繋いでるんだ?」
「これは」
「かーっ! 部屋に着くまで手を離すなと言ったろう二人共!」
「わかったから大きな声出さないでよたーじい」
「なんであたしたちが……」
「はは、よくわからないけどよくわかったよ」
「田島さんがそう言うならそうしなさいな」
絶対何もわかってなかったろうに、父さんも母さんも笑ってた。
「お父さんもお母さんも早いねー!」
「今日はちょっとね」
「お母さんもちょっとね」
「ちょっとってなにー?」
「ちょっとってなにー?」
「む」
「むっ!」
「はいはい、二人は本当に仲良しさんねー」
「奏太があたしの真似しただけだよ!」
「千華が俺の真似したんじゃんか」
「うーっ……」
「なんだよ」
「はいはいおしまいおしまい。今日はちょっと……大切な約束があってな。お父さんもお母さんも早く帰ってきたんだよ」
「ふーん」
「大切な約束ー?」
「そう。大切な約束」
「なあにそれー?」
「それは……部屋に行ってから」
「あ」
「ん? あ」
お母さんの間抜けな声と、お父さんの間抜けな声。二人が見ている方向に千華と二人で向き直ると。
「何あの人……」
上下真っ白のスーツにサングラスっていう、変な男の人がいた。あまり人の姿を見て引いたりしない千華が、露骨に一歩引いたのはこの時くらいだったかも。
「変な人かな」
「変な人だよ。だって全部真っ白だもん」
「変な人かあ」
言いたい放題な俺、というか千華。
「お前……お前…………」
そんな俺たちの近くにいたたーじいが、目を丸くしていた。ご自慢の千里眼でも、この未来は見えていなかったらしい。
「えっ…………と…………こほんっ!」
上下真っ白のおじさんは咳払いを一つして、こう言った。
「久しぶり、田島さん」
そう言って、ぺこりとお辞儀をした。自分にお辞儀をしているんだと思ったのか、真っ白なおじさんの真似をするようにお辞儀を返した千華に付き合って、俺もお辞儀をした。うん。よく覚えてる。
「……老けたな」
「田島さんに言われたくないや」
「違いない…………本当に久し振りだ……」
「うん。ただいま」
「ああ……おかえり……」
なんだなんだとたーじいと真っ白なおじさんの間で視線の反復横跳びをさせていると、真っ白なおじさんが動いた。お父さんお母さんはその人に何か言いたそうにしていたけど、やっぱり言うのをやめたのか、黙って真っ白なおじさんを見ているだけだった。
「こっちくるね」
「うん」
気付いたら俺は、千華の前に立っていた。しっかり、手を繋いだまま。
うちのお父さんより少し背の高い真っ白なおじさんが、俺と千華の前に立った。
「……あ………………そ……」
なんかブツブツ言ってるのが聞こえた。やっぱり変な人なのかな。でも、だったらどうしてお父さんもお母さんもたーじいも何も言わないのかな。正直めっちゃ警戒したし、結構怖かったのに。
何が何だかわかんなくてその人を睨んでたら、ゆっくりとサングラスを外し、真っ直ぐに千華を見下ろしながら、カッコいい声でこう言った。
「こほん…………やあ、金髪のお嬢さん」
千華が凹むって言う、一風変わったイベントはあったけど、概ねいつも通りな一日が。
「俺は君のパパだ。はじめまして」
一生忘れられない一日に変わった瞬間だった。
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