荒野を走れ

たとえ、そこへ至る道が見えなくても。

光明が見えなくても。

絶望の息を吐きだし続けようとも、その先にあるものを私は目指す。


荒野を走れ。荒野を走れ。

荒れ地を進め。風を切るほどに走れ。

肺腑の中から空気という空気が爆発するぞ。


ああ、どこまでも爆発しそうな空気が、ゲボゲボとこぼれ続ける。

そんなの関係ないさ。


僕は荒地を走り続け、体がきしんで、足が痛んでいる。

荒野の先ある宝を求めて走り続けるんだ。l

時間か。時間なんてものは本当に有限だ。有限だからこそ、私は走るんだ。

力尽きることなんて考えていちゃいけない。


走れ

奔れ

疾れ


力は僕の中にある。

ズタ袋ひとつ。肩にかける。

荒野の中にある希望の話はすでに頭の中に入っている。

片手にある地図だってある。

まさに荒野の獣が獲物を狙うがごとく進め。


獣の咆哮をあげろ。

雄叫びをあげろ。


勝利の一番星が空の上で光っている。

左手のズタ袋と右手の宝の地図を片手に進め。


走り続けて走り続けて倒れろ。

ズタ袋の中にあるわずかな飯を食え。

水を飲め。


クビリと一休みすればその先にあるのは希望の光だ。

さあ、前へ進め。


荒野の先の宝を見つけ、そいつを最初に掘り当てろ。


ああああああああああああ

ああああああああああああ

ああああああああああああ

ああああああああああああ


僕はどこまで阿呆なんだ。

荒野の先には何もないかもしれない。

倒れている気だけしかないかもしれないのに、その地図を持っているのだ。

そんな迷いが出る。


いや違う。

宝があるかもしれない。


いや違う。

宝はある。


僕は荒野を走る。

荒野の中で冒険者の私は優しい場所から抜けて、荒野を走り抜ける。

目をギラギラさせ、宝へと向かい続けるのだ。


片手には地図。

片手にはズタ袋。

欲望の権化。


荒野の愚か者。

宝はもうすぐ。

目指す荒野の先の宝をつかみ取るために。

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