図書館暮らし。
ritsuca
第1話
おじいちゃんがしんだ。
ずっとずっとぼくをだいじにしてくれていた、おじいちゃんがしんだ。
ずっとまえにはまだおとこのこだったおじいちゃんは、いえのなかでほんをよむよりも、そとであそぶことのほうがずっとずっとだいすきだった。
あるひ、おじいちゃんのおかあさんが、ぼくをかった。
ぼくをわたされたときのおじいちゃんのかおは、いまでもおぼえている。
ぼくにぜんぜんきょうみのないかおだった。
そとであそぶのがだいすきなおじいちゃんも、いちねんにいちどかにど、ねこむことがあった。
ぼくをてにとってくれたのは、そんなときだったとおもう。
ねつはさがってもがっこうにいけない、たいくつなじかんだからとてにとってくれたおじいちゃんは、しばらくすると、むちゅうになってぼくをよんだ。
よみおわったあとも、ときどきぼくをてにとっては、よんでくれた。
おじいちゃんにはだいすきなぺーじがあって、そこにはずっとしおりがはさまっていた。
おじいちゃんはこどもがうまれると、ぼくとおなじ、でもぼくとすこしちがうほんをかって、おじいちゃんのこどもにわたした。
おじいちゃんのこどもは、ぼくとはちがうほんを、やっぱりおじいちゃんのこどものこども、つまり、おじいちゃんのまごにわたした。
だれかがしぬと、のこされたひとはしんだひとのもちものをかたづける。
おじいちゃんのもちものは、おじいちゃんのこどもがかたづけることになった。
おじいちゃんのこどもは、おじいちゃんのいえをこわすことにきめた。
ほんのすこしのものだけをおじいちゃんのこどものいえにのこして、あとのものはそれぞれべつのいきさきをかんがえるのだといっていた。
そしていま、ぼくはおおきなはこにつめられた。
これから、「としょかん」というところにはこばれるのだそうだ。
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