青春の方程式

ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

File.1  集いし者たち

1-1

『文芸部、その他部活動部員募集中! 部員人数が足りません!』


 北高校の渡り廊下を歩いていると、数々の掲示板に貼ってあるポスターの中に、それは目立って貼ってあった。


 ポスターには『文芸部募集」というタイトル名。


 その文芸部がある場所に行ってみる。


 まぁ、暇つぶしなら文芸部に入るのも悪くはないな。大学行くときに部活名も書類に書けなかったら印象的に悪いし、入っていたら入っていたで、それだけで少しは評価されるだろう……。


 それが、最初の俺の思いだった。


 扉をこっそり開けて中の方を見ると、普通の文芸部員の部室だった。


 壁には多くの棚が置いてあり、その中に本がずらりとならんである。


 中央には、コタツが置いてあり、奥にはパソコンや電子機器が置いてあるようだ。


 制服姿の男女が何か話をしている。


 本当にここは文芸部なのだろうか。明らかに私物化されているようにしか見えない。


 文芸部部室の前でコソコソと中を窺っていると、廊下を通る教師がこちらを見てきた。


「…………」


 溜息をもらして、顔を合わせないようにする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る