k-138

 翌日、畑で葉っぱをいじりながら、俺は物思いに耽る。


 日本にいた頃の記憶で、「布団の中で寝ていても何も変わらない」という何かの歌詞があった。


 同様のニュアンスだと思うが、「8040問題」とマスメディアが作りあげた言葉があった。


 引きこもりの40代が、80代の親に養ってもらっているのが問題なのだそうだ。


 俺は思う。


 モラトリアムの何が悪い。


 第三者が他人に何かをしろと言うのは間違っている。


 社会は個人のためにあるのであって、個人が社会のためにあるわけではない。


 何かをしろと他人に命令することは、個人を社会の犠牲にすることだ。


 俺は、社会が社畜を強要することの罪深さは身をもって経験している。


 生き方など、個人の自由だ。



 結局行き着く先は、お金の問題なのだろう。


 80代の親に寄生するのは褒められたことではないが、双方の合意があれば問題はない。


 親が心配しているのは、自分が死んだ後のことだ。


 しかし、俺はこのような状況に置かれてみて、リアルぼっちになった状況?


 それがどうしたと言いたい。


 人間、リアルぼっちになったならなったで案外何とかなるものだ。この世界には、生活保護なんてものはないのだ。


 だから俺は、社会から強制されずに、ダラダラ自由に生きたい。


 一日中小屋にひきこもって書き物をしたり、一心不乱に畑を耕したり、薪を割ったり。


 ポーション作成や鍛冶だって、誰に強制されたわけでもない。マルゴに卸しているものも、あくまで友人関係の範疇でしかない。


 俺もレスタの町の人たちに世話になっているので、全くの自給自足をしているわけではないが、それでもそう思う。


 俺の悪い癖だな。



 ――自由は理不尽に奪われる。



 冬の足音が聞こえてきている。町に行くのも既に億劫になってきた。


 俺は再び、人間との関係を断絶したいという衝動に駆られていた。


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 みなさんこんにちは! ここまでお読み頂きありがとうございます🐔


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