異世界であなたと一緒に恋をする
サチヤ
第1話 ここは何処ですか?
パタパタパタパタッ……
急がなきゃ…間に合わない。
サンドイッチが売れ切れる……。
残念な叫びをあげているのが、私、
今日もサンドイッチ食べたさに、走る。走る。
あっ。売れ切れちゃう。
「おばさん。俺にこれ下さい。」
「おばさん。それ下さい。」
「あらあらまあま…。一つしかないわ……。どうしましょう。」
「おばさん。俺、コロッケパンにするから。」
と、彼は私にウインクしてそう言った。
「あっ 、ありがとう。」
彼、
涼しげな目がふわっと微笑みを浮かべた。
思わず息が止まるかと思った。
これでは人気があるのが頷ける。
サンドイッチを買って教室に戻ると、友達の真奈が待っていた。
「おそーい」
「ごめん。待たせて。」
「ゲットできた?」
「うん。坂上君が譲ってくれたから」
この通りと、ニコっと笑った。
「坂上君って優しよね」
そうだよねと、笑いながら話した。
そんな、いつもと変わらない日だった。
帰りに真奈達と、ファミレスに寄って、パフェを食べながらおしゃべりしていた。
私は、トイレに行って来るねと席を立った。
ふぅ……と息を吐き出しながら鏡を見て服を直した。
すると鏡が波打った様に見えた。
えっ。と、思った瞬間。中に吸い込まれてしまった。
んっ?気がつくと見知らぬ場所に立っていた。
ここ何処?見渡すと何処かの建物の中だった。
夢?私は頬をつねった。夢じゃない……。
恐るおそる外に出て見た。
外は私の知らない見慣れない作りの街並みだった。
えっ。どうして……。さっきまでファミレスにいたよね。
不思議な思いを抱きながら誰かいないか探してみる。
あっ。人がいた。助かった。
「すみません。ここは何町ですか?」
男の人は振り返った。
相手の顔を見て思わず、坂上くん?どうしてここにいるの?と、思わず話しかけた。
男性は君は誰?と聞いてきた。
どうやら、とてもよく似た別人だったようだ。
「私は、桐谷美和といいます。」
「あの……。ここは何処ですか?」
ここはマヤだよと、教えてくれた。
マヤかぁ知らないなぁ……。
私は
不安に成って、ここが日本なのか聞いてみた。
「日本⁉︎知らないなぁ。ここは、マヤナ国だよ。君大丈夫?」
マヤナ国……。私の知らない国……。
どうしよう……。どうしていいのかわからない。
「どう言ったらいいのかわからないんですが……。私、異世界に来たみたいなんです。助けていただけますか?」
心から祈り助けを願った。
普通なら誰も信じないよね……。明らかに怪しい人だものねぇ……。
「本当に異世界から来たの……。」と、男性は不思議そうに聞いてきた。
「国の名前が違っているからそうだと思うんです。」
「帰り方もわからないので、どうか、助けて下さい。」
彼は暫く考えて、「わかったよ。俺ん家で良ければ、いつまででもいいよ。」
と、言ってくれた。
「あっ、ありがとうございます。」
「そうそう。桐谷美和さんだっけ?俺は、カイナ
「こちらこそ宜しくお願いします。」
良い人そうで良かった。それにイケメンだし。
はっ!いけない。今はそれどころじゃない。
「桐谷さんはどうやってこっちに来たの?」
「それが……鏡が波打ったら吸い込まれて、気付いたら見知らぬ場所に立っていたんです。」
「そう言えば、数十年に一度くらいの割合で、異世界から人間が現れるって聞いた事があったなぁ ……。」
本当だったんだぁ。そんな話をしながらカイナさんの家に着いた。
カイナさんは早速家族を呼んで私の事を話してくれた。
家の人は大変だったわねと、言い。ここを家だと思って遠慮しないでね。
と、言ってくれた。
二階の部屋が空いているから、ここを使ってねと案内された。
皆んな優しい人で良かった。
もし、断わられたら、この世界で生きていけなかっただろう。
だけど、これからどうしたらいいのだろう。
考えてもわからない。カイナさんに相談してみよう。
コンコンと、ノックしながらカイナさんを呼んだ。
どうしたの?と、カイナさんが戸を開けた。
「あの……。相談にのって貰いたいんですが……。」
「いいよ。入って。」
「ありがとうございます。お邪魔します。」
キレイに片付いている。私、男の人の部屋って初めて……。
ドキドキしていると、「で、どうしたの?」と声をかけられた。
「あの……。今まで来た異世界人は、元の世界に帰れた人はいるんですか?」
「聞いた事がないなぁ……。」
「そんな……。誰か異世界人に詳しい人知りませんか?」
「うーん……。どうかな……。知り合いとかに聞いてみるよ。」
「お願いします。」
「それから、俺の事は洋介って呼んでいいよ。」
「どうしてですか?」
「家族がカイナだからね。」と、笑った。
ああ、そっかぁ……。私もおかしくて笑った。
異世界での初めての夜、私は帰れるかどうかが気になって、よく眠れなかった。
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