スマイル

勝利だギューちゃん

第1話  

ある日曜日の昼下がり、僕は散歩をしていた。

誰とても、ひとりで散歩をしていた。


天気は日本晴れ。


散歩をするのは、最適の日だ。


僕は周りに干渉しないし、周りも僕に干渉しない。

そのくせ、面倒な事だけは押し付ける。

こちらの、いい分は聞いてもらえずに、多数決で決められる。


小学生ならありがちだが、もう高校生だ。


まあ、弱い僕が悪いのだが・・・

「いつの日も、弱者が被る罪と罰」

よく言ったものだ。


そんな事を考えながら、歩いていると、

道にCDが落ちていた。


買ったばかりなのか?未開封だ。

歌手も曲も知らない。

僕にはボールゾーンだ。

でも、このままでは行けない。


近くに交番があるので、そこまで届けた。

警官に手渡して、そのまま帰った。


「ねえ、待ってよ」

ひとりの、女の子が声をかけてきた。

「吉岡くん、ありがとう。拾ってくれて」

何でこの子は、僕の名前を知ってるんだ?

何で僕は、この子を知らない。


「本当にありがとう。吉岡くん。

今そこの交番で、お巡りさんに聞いてきたの。

このCD宝物なんだ。」

「そう・・・」

僕はあいまいな返事をして、立ち去ろうとした。


「待ってよ、吉岡くん」

「まだ、何か用ですか?」

「吉岡くん、ひとつ訊いていいい?」

「何?」

「私の名前は?」



長い沈黙が流れた。

多分5分は・・・


「えっと、あの・・・」

「もう同じクラスでしょ」

そう言えば、見覚えがあるような・・・


「私の名前は、久保聖良(くぼ せいら)で、君のクラスメイト」

「たった今、思い出しました」

「よろしい」

久保さんは、いたずらっぽく笑う。


「では、改めてCD拾ってくれて、ありがとう。」

「いえ、どんでもないです」

何だかかしこまる。


「なら、また学校でね」

そういって、去って行った。


でも、もう会話をすることはないだろう。


そう思っていたのだが・・・

世の中わからにものだと、後日知る。


今は僕の横に、聖良がいる。

なんの事やら。


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