ガストの想い出

 つきあいたて、三ヶ月めくらい。私のほうには、彼氏とうまく話せないというフラストレーションがあった。

 映画館の帰り道、もうこれからお互い家に帰ろうと駅の階段をのぼってるようなときに、耐えきれずその気持ちを吐露したら、適度にスルーとかしてそのまますたすた帰っちゃうかなと思ったら。

「まだ少し時間ある?」と訊かれて「あ、うん、家には遅くなるって言ってある……」と返した途端、実際には身体のどこもふれられなかったけど腕を引かれる勢いでそのまま駅前の深夜営業のガストに連れていかれ、


「だいたい、なつきはね。真面目すぎる。真面目はいいことだけど」


 と、話が始まった。

 ちなみに頼んだのはドリンクバーのみ。映画館の帰りで深夜近かったからな。

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