二話 設計中
(私はお前のいない街が嫌だった。それだけのことなのに。わかるだろ? わからないはずがないだろ?)
例え街中の人を敵にまわしても。自分が何に変わろうと。
結局は一人で踊っていただけだったのか
「あああああーーーーーッ!!
わけのわからない感情は意味のなさない叫び声に
暖かい空気が畝った。目には見えないが全身を暖かい生き物が慌ただしく走り去っていくような感じがした。寒さに閉じられた生命力が解放されていく。ベレッタ の引き金を引けるまでに
急激な気温の変化に戸惑う間も無かった。
背後に追っ手が迫っている。悪魔が鞭を馬の尻に打つと加速した。悪魔の伸ばした細い腕がエスメラルダの膝を二度、三度とかすめた。すぐ横に追っ手の存在を感じる。
馬の息、悪魔の躍動、心地よい向かい風の流れが一転、追跡者
エスメラルダの視野のすぐ横に黒いタテガミの先が踊るのが見えた。
今にもベレッタ を撃ちたい衝動を抑える。祈りながら。ネイサンに。
神は彼女にはもはや手を差し伸べないであろう事を理解していた。掟を破った、生きることも許されない。だから、ネイサンには未来が見えて、そしてエスメラルダには、、、
(私には奇跡は何も起きなかった。運命には見放されたが、負けん気だけは、、、ツ)
足首を捉まれると同時に左手のベレッタ の銃口を足を掴んでいる大きな力に向けて撃った。火薬の弾ける反動と、スライドが前後する手ごたえに堪えきれず上がった腕が力なくゆらゆら揺れた。
わざと足を掴ませるよう、横に軽く伸ばして誘った。馬上で狙いをつけている間に、後方に下げられ真後ろから攻められる恐怖がそれを選択させた。結果、一瞬だけ振り向き容易に狙いをつけることが出来た。
叫び声がして、足が解放された。命中したのだ。だが、落馬した気配はない。
落馬したエスメラルダは地上に叩き付けられ、路上に転がった。すぐ横に馬の巨躯が腹から落ちてきて地鳴りがした。馬のか細くなっていく弱りはてた鳴き声と、必死に立ち上がろうと力を入れてももう元の位置にはもどれない様が彼女に絶望を突き付けていた。
エスメラルダは気づかなかったが、もう一頭の追っ手が遅れてやってくるのが見える。
ネイサンが裏切るわけはない。
彼は
「軍隊が来るぜ。魔導書に書いていた魔法の数字。
「エスメラルダ!
2019/09/03 01:17
街は不作だった。交易隊は戻らず、食料や衣料品、雑貨、酒などを大量に持ち帰ってくるはずのそれらは街にない。
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二人目の男はでっぷりとしたお腹を揺らしながら駒を踊らせた。
頭から皮袋を被り、首の所をロープで巻いている。まるで罪人のようだった。皮袋には鮮血で描かれた六ぼう星、各々の頂点の位置に、人間の目玉が黒い絵筆で書き殴られていた。
細い男がエスメラルダを眺めながら舌なめずりをした。
舌を巻き上げる音が不快で吐き出しそうになる。
相手が弱者だとわかると持ち前の性質は正直になるのだと彼女は思った。
「私を殺せば父は
「君の父は裏切りものだ。街の人々を見殺しにした」
「違う!」
「ああ、私は違う。皆を見殺しにはしない。街の物資が無くなりつつある急事に心に安寧を与え試練に耐える事を学ばせる。これは試練だ。追いつめられると悪魔の誘惑に騙される人々がいて、彼らもまた正直者を惑わせる。君は悪魔に騙された。世の中には死ぬよりも辛い出来事があるが、今がその一つだ」
細い悪魔カーリンの顔が好調して鼻息が荒くなった。何かを押さえきれなくなったように。エスメラルダはそれが何かを理解して戦慄した。
「お前には喜びを教えてやる。人間としての喜びを。
奉仕すること、されること。つまり助け合い、人のために生きる事を」
言葉が反転してエスメラルダの感情を
エスメラルダは股を地に引きずりながらも後方へと逃げていく。
「一緒に戻るなら、ネイサンの処刑は異端審問会で不問にしてもいい」
カーリンの視線は爪先からじっとりと、舐めるように身体の曲線に沿って動き、胸の辺りで止まった。エスメラルダは両手を組んで歪んだ思考から身を庇った。異端審問会は神の神託による裁きを受ける場所だ。何故、この男に結果がわかるのか。変だとはわかっているが、以前の生活が戻るかもしれない誘惑を持ちかけられ心が動く。ネイサンが帰ってくる。淡い期待は悪魔の掌の中の上にある。わかっている、、、。
悪魔はゆっくりとエスメラルダの前で屈んだ。エスメラルダの答えは決まった。カーリンの胸へと持たれかかる。大きな手の平が頭をゆっくりと撫でた。大きな舌で味見されている不快な気分だった。安心しきっている、獲物は戦意を失った。哀れな女、誰かの口から出る言葉に身を預けるしかない、操り人形。敗北者に主体性は許されない、絶えず人の感情を咀嚼し、迷惑をかけずに生きろ。
カーリンの胸の中はエスメラルダに不安定な気分をもたらし、頭の中で責苦が鳴り止まない。
(自己を呼び起せ、扉は等しく解放されている。手の中にある鍵を
誰かが頭の中で説教をした。そんなことはわかっている。
(私は諦めるのが、嫌いだ!)
腰のベルトに結んである袋を奪いとり、カーリンを突き飛ばした。
ネイサンが逃げられるといった。彼の言葉が暗黒の大海の上で輝いていた。奪ったのは薄い石版。
「魔法の石版、、、、、、」
「魔法か」
細身の男は口端を歪めて笑いをかみ殺そうとしていた。
街では魔法は忌むべき呪いで人々に災いをもたらすと説教していた男がだ。そんなものは存在しないと腹の底で笑っているようだった。
エスメラルダは懐から魔法の石版を取り出した。手のひらに収まる小さなそれは光輝き、光彩色の光の中に数々の紋章を浮かび上がらせる。
男は堪えきれずに吹き出した。
エスメラルダは光に浮かび上がった石版の文字に指を走らせた。
ある数字の組み合わせを素早く順番通りに叩いていく。
「神様!!! 助けてください!!!!!」
カーリンは輝く石版に向かって必死に叫んでいるエスメラルダから石版をひったくった。エスメラルダがカーリンから石版を奪おうと腕に掴みかかったが、背後に迫っていた皮袋を被った男に首筋をつかまれ、放りなげられた。石版も宙にまい、衝撃で地面に落ちた。
カーリンが若い娘と交わる姿が石版に浮かび上がっていた。
カーリンが口にした『奉仕』の絵画だった。エスメラルダはこんな物まで形に止めてしまう石版を罪に思った。
「・・・・・・チッ。これは魔女のサバトの風景だよ。エスメラルダ。私も騙されたんだ。『君と私は同じなんだよ』」
エスメラルダの緑の双眸が怒り(類語辞典でしらべる)で血走っていた。
カーリンは言葉の意味を自由に操る事魔法使いなのだ。
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「こちらサンエスペランサ、ポイントα1に到着。少女を保護した。
体が冷たい。医療班をよこしてくれ、急げ!!」
エスメラルダは呆然としていた。
一緒に逃げていた時、ネイサンが腕に書き付けてくれた
数字の組み合わせを神の石版に打ち込んだ。
すると彼の言った通りに助けが大勢来てくれた。
(神様が私の願いを叶えてくれたんだ・・・・・・)
「こちら、マーク。マーク・シルベストリだ。少女を保護した。
他二名は保護する前に逃亡した。逃げた理由は婦女暴行と誘拐だ。
今、二人のものらしきスマートフォンを拾った。データを見てるがコスプレをさせた子とヤッてる写真がかなりある。 通りを封鎖しろ、二人とも馬に乗っているから目立つ。影しか見えなかったが一人は細身、もう一人はデブだ。俺達はこれから医療班が到着次第、保護した少女をつれて病院へ寄ってから支局へ帰る」
短髪の男が螺旋状の線で繋がれた石に向かって叫んでいた。
身なりがエスメラルダとまるで違う。ネイサンの言う、異邦人なのだろう。言語は同じだが、何を喋ってるのかあまりわからない。
エスメラルダは安心しきって眠りこんでしまった。(テキトー書き直す)
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悪魔は現実世界での犯罪者。
無知なのをイイコトに街の人たちをだましている
-------------------------------(展開)------------------------------------
ネイサンはこの世界でのオーパーツ、魔法の杖だと思われていたそれに番号を打った。
携帯電話。FBI がくる。
エスメラルダは保護される。
追っ手二人は銃撃される。
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