すいれん by 右川史也 様
「完結作品を掘り起こす!【Part2】」というスコップ企画に参加して頂いた作品です。
私の好みとしては珍しく、学園ラブストーリーの話でした。
中心となる男女2人を軸に、話が進んでいきます。
花に対してしか恋愛感情を抱けない慎太郎と、自分の体に強いコンプレックスを持っている明日香のお話。
このお話を読んで、なんて魅力的なヒロインなんだろう、というのが一番の感想でした。
彼女の体には傷があります。
枯れた睡蓮の花の様に、体に無数の穴が空いているのです。
こめかみに、うなじに、腕に、脛。
彼女はそれを隠す様に、年中長袖を着て、傷を絆創膏と包帯で隠し、友人も作らず、人目を避ける様に生活していました。
人は誰しも、自分の体のどこかにコンプレックスを持っているのではと思っています。
身長、体重、目、鼻、口、肌。
他人に触れて欲しくない、また見て欲しくない部分。
そして明日香は、女性としては強烈だと思えるコンプレックスを持っています。
その傷跡を想像すると、寒気を感じると共に、そしてそれによって苦しむ彼女の心境に容易に共感する事が出来ました。
登場人物の思考に同化しやすいというのは、素晴らしい作品の1つの要素ではないかと、私は思います。
対して慎太郎の方は、女性に対して恋愛感情を待つ事が出来ない男です。
過去に付き合った子とも、自分が彼女に女性としての魅力を見出す事が出来ずにお別れしてしまった事もありました。
しかし、偶々見てしまった明日香の傷跡に、彼は強く欲情します。
それが彼の唯一愛せる、花の様な傷跡だったから。
彼のその欲情している様が、傷跡に対して感じる寒気と合わさって、実にグロくて卑猥に感じてしまいました。
絆創膏から覗く"彼女の穴"が、何だか本当にエロティックな物に感じてしまって、不思議な感覚にさせられます。
人を惹きつける花の様な作品だと思いました!
総字数は3万字程度で、比較的するすると読んでいける作品です。
不思議な花を愛でるお話、是非ご覧ください〜(´ω`)
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