第18話 あはっ娘との模擬戦闘? で精神力を消費する

「あーあ。完全に酔いがめちゃった。責任とってもらうぞー! 特にソージ!」

「知らんわ! 風評被害だ! パン娘がやりました! ぼくじゃ、ありませーん。あはっ! なはなはっ!」


 完全にターゲットロックオンされてるいる。


 不敵な笑みで獲物を品定め中のアイさん。


「へえ、あたしを挑発するんだ。……でも、お楽しみは最後に取っておく主義だから」

「【火の玉よ! アイさんを燃やせ! ファイヤーボール!】」


 完全に虚を突かれた。


 まさか、サーヤから積極的に打って出るとは。


「およ!?」


 アイさんも驚きのセリフを発しただけで。


 微動だにしない。


 魔力による炎が包み込んだ。


「ぬわっちゃ!? 燃える、燃える!? 焼き肉になっちゃうぞ? ソージは、焼き加減は……やっぱ、ナマなの? あはつ!」

「ステーキは、ミディアムですかね?……ポニテ八重歯やえば女子! 燃え尽きろ! 男の子をたぶらかすな! あとで、指導室に来なさい! げへへへ!」


 下ネタ女子の扱い方。


 誰か教えてくれないかな?


 受け止めに四苦八苦しくはっくだよ。


「【放つ電撃! 痙攣けいれんさせよ! サンダーショックですわ!】」


 サーヤの魔法攻撃に呼応こおうして。


 電撃を放つ。


 こちらも、直撃したのだが。


「いたた!? びりびりするぞ! 髪の毛が立っちゃう!……たっちゃた、あはっ! 深読みしちゃうのか? ソージ?」


 魔法攻撃が通用してないみたいだな。


 微妙に効いてるような感触もあるが。


 難儀な、あはっ娘だ。


「私達の魔法が、全く通用しませんか。戦力差が、ありすぎですよ!」

忌々いまいましい! できれば、関わり合いたくない手合いの戦士ですわね。ソージ? 策はなくて?」

「うーん。自分より格上の相手をする、立ち回り方ねえ。【逃げる】【逃げるとみせかけカウンター。そして逃げる】【わざと隙を作りだし攻撃。そして逃げる】【陽動攻撃と思わせ。逃げる】【誰かを犠牲にして。逃げる】ぐらいかな?」


 こちらの攻撃が全く効かない場合だろ。


 無事に命を守る事を優先しないと。


「逃げるしかありませんの!? 臆病者おくびょうもの!」

「パン娘。ソージが言ったのは最善策だよ。相手を倒すことだけが、勝利する事じゃないんだよなー」


 場数ばかずを多く踏んでいるアイさんが、評価した。


「本当の敗北条件は命を取られる事ですか?」

「サーヤ、賢いねぇー! 戦士に向いてるぞ!……相手を倒す事だけに集中して、命をやすやす散らすなんて馬鹿らしいだろ? 相手が格上ではなければ、それなりに対応すればいいさ。ただ、戦力差があり過ぎの場合は、逃げる。何としてでも、生き残る。この場合の勝利は、逃げる事なの。分かった?」

「な、納得いきませんわ! 世迷い言ですわねー!……あら? サーヤとソージは?」


 すまん、クリスティーナ。


 酔いがめたのなら。


 アイさんとすったもんだする理由はないのだ。


 目的を忘れてないかな?


「クリスティーナ?【ここは、わたくしに任せて、屋敷に戻れですわねー! おとり役おつかれちゃんですわー!】作戦だろ? よ! 名役者!」

「ソージ君、そ、その、手を握らなくても、平気ですよ? 走れますし。ふふふふ、逃げるが勝ちを実践するなんて。おかしくて、笑っちゃいますね」


 サーヤ委員長。


 つまんねえ授業をさぼって、遊びに行こうぜ! 青春です!


「じゃあ、証明してみなよ? パン娘! 肉弾戦の稽古けいこでもしてやるか!」

「ぐぎぎぎ。わたくしを、出し抜きましたわねー! とことん、お付き合いしてもらいますわよ! 戦闘馬鹿女ああ!」


 きっちり、敵を足止めする気、満々だ。


 最適なクリスティーナの配置です。


 アイさんの特訓を受けられるなんて、貴重だぞ?


 レベル、アップ、アップ、お願いしますわー! 


 おーほほほ! お疲れちゃんです!





「ふう。剣術よりも素手の方が才能あるんじゃん。しつこいのなんの」

「……心が負けを、認めない限り。負けでは、ありまんわ。パン屋さん、出店しましょうか? 来世で。おほほ……ほ」


 壮絶なキャットファイトの末。


 遺言みたいな言葉を残して、果てたか。


「旦那様? この方が本日、お世話になった、アイさんですか?」


 騒ぎが収まった頃に。


 リナさんから質問を受けた。


「はい。……少し性格に、おかしな所がある、あはっ娘ですが」

「なーにぃー? 性的におかしな所があるのお? 確認してみる、ソージィ?」


 頭の中身も、疑わざるを得ない人だな! ぐぬぬぬ!


 えっ!? したいです! 


 お姉さんの。あんな所や、こんな所を、様々なアングルで!


「およよ? 綺麗なメイドじゃん!……ハーフエルフ? ははん、なるほど。……ソージ、骨のある奴だな! あはっ! あはっ! あははは!」


 む? 面白い要素、ありました? 


 そんなに、おかしいですか?


「お初にお目にかかります。旦那様専属メイド。リナと申します、アイ様」

「ご丁寧にどうも。ソージの目の保養をになってます、アイでーす!」

「ねえ!? 自己紹介は、シンプルで大丈夫だから!? 冒険者の仲間でしょ!? 誤解を与えないで!?」


 リナさんに、あらぬ疑いを!? 


 余計な事を刷り込むないで!?


「もう一人、いるの? ソージの後ろに隠れちゃってー! ほらほら、ご挨拶しようよー!」

「ご、ご主人さま!? の、野良娘、おっかないです!……メイドのカナです。ご主人さまのお相手をしています」


 ハイ、お相手されちゃってまーす。


 エライぞー、カナさん! 


 野良娘……的を得ているネーミングだね!


 みんな、仲良く過ごしましょうー。


 先生も、今年初めて、担任をするから緊張してます。


 一学期をクラスのみんなと成長できたらと思ってるから!


「それー! 姿をよく、確認させてよー! あはっ!」

「うー、嫌です。知らない人には隠れます! かくれんぼ!」

「アイさん、人見知りのカナさんにせまりすぎですよ?」


 性格的にも、正反対だからな。カナさんは。


 出会った当初は、常に緊張してたし。


 最近は、改善してきている。


 周りの人達の人徳のお影かな。


「 つまでも隠れてるのは、マズイぞ? ソージのお世話を、あたしがしちゃうよ? ほらほら!」

「にゅあん!? ア、アイさん、近いよお!? 乳があ!?……あはっ!? 腕が勝手に!? ハグしちゃダメだ! こらえるんだ!」

『お主は、一体何と戦っとるんじゃ!? 禁断症状か!?』


 簡単にむぎゅーをしてはダメなんだ! 


 ご主人様の意地を見せる時!


「ご主人さまから、離れてよ、アイ!」

「やっと出て来た。うわー! 丸っこい短髪に、顔までも! お胸も、いい感じ発育してるじゃん!」


 勇気を振り絞って、出て来てくれたの?


 うううう。尊いよお!


「へ、変態! ご主人さま以外、触っちゃいけないんだから!」


 がはっ!? 信頼が厚過ぎちゃう!


 許可されちゃった!


「アイ様? わたくしを差し置いて、旦那様のお世話をするのは……ちょっと。ふふふふ!」


 リ、リナさん!? 


 く、黒いオーラが!? 笑顔なのに!?


「サーヤ? クリスティーナの容体は?」

「……打撲に、擦り傷に疲労で気絶していますよ? 悪い事しちゃいましたね、クリスティーナさんに」


 それなりに根性を見せてくれたから。


 能力で回復してやるか。


「黙ってれば、美人な奴よ! ほっぺに、ちゅつ!」


 【スキル発動 おやすみのキス キスした者に、体力、精神力、外傷が徐々に回復。意識がない者でも効果あり】


「……むにゃむにゃ。お疲れちゃん」


 失神から、おやすみタイムに移行したらしい。


 もち肌、ぷるるん! ごっつぁんです!


「ご、ご主人さま、わ、わたしにも!」

「旦那様! 口直しが必要です!」

「ソージ? 試しにやってみる? あはっ!」

「み、みなさんもやるんですか!? ソージ君! するんですか!?」


 ぬあーん! 精神力が持たない!


 そ、そんなにやれない!


 ドゴーン! グラグラ! ガターン!


 ……あの人も、もしかして!? まさかね!?

 


 

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