言葉の行方
若狭屋 真夏(九代目)
プロローグ 作者死にます(作中のみ)
かつてミステリー作家コナンドイルは自らが生み出した天才シャーロックホームズを何度か作中で殺そうと試みたことがある。理由はドイルが歴史小説を書きたかったためだとか、完璧すぎるホームズが好きではなかったとかいろいろあるらしい。
しかしこの「暗殺計画」は読者からの強烈ともいえる人気と何しろドイルの収入の関係で未遂に終わっている。
自分の手で作り出した空想の人物をこれほどまでに憎んだ作家はいないだろう。
作家が探偵を殺そうと試みるのであれば作家が作家自身を「作中で死んだこと」にするのも可能であろう。
しかしあくまで「作中でのみ」の話であり本当に死ぬつもりは無い。そもそも本当に死んでしまったならばこの小説はプロローグのみで終わってしまう。
それに私のきわめて綿密なる(80を過ぎたら生前葬を開き旧友に支払って不良債権化した結婚式のご祝儀分をかっさらう、もとい回収するという)計画に支障をきたすこととなる。
今日はハロウィン。この作品は作者からのささやかなプレゼントとして受け取っていただけると幸いである。
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