7章 きつねのきし

 やがて、きつねのこどもはおおきくなりました。


 すくすくとそだち、たくましくなったきつねは、りっぱなきしとなりました。


 きつねはいつも、ひめさまのそばにおりました。




 あるひのこと。


 ひめさまは、きつねといっしょにふもとのまちへでかけました。


 そのかえりのときです。


「ここからさきはとおさないぜ!」


 さんぞくたちが、ふたりをとおせんぼしました。


「どけ」


 しかしきつねはひるまず、こしのけんをぬきました。


「どかないなら、ゆるさないぞ!」


 さんぞくがこんぼうをてに、きつねをおそいます。


 しかしきつねはひらりとこんぼうをかわすと、さんぞくのひとりをあっさりとたおしました。


「もういちどだけいう。どけ」


 きつねはさんぞくたちをどかすと、ひめさまといっしょにしろへともどりました。




「きつねさん……。いえ、きしさま……」


 そのよるのこと。


 ひめさまは、きつねのことをずっとおもいだし、ねむることができませんでした。

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