第22話 あれこの会議俺必要あった?
俺は犬耳族たちを一旦その場に留めさせ全員を集め犬車の上から彼らを見下ろす
後ろには族長とシアンがいる。
「えー、今からの事なんですけれどとりあえず族長を含めた四名以外の皆さんは本当に申し訳なのですがこの場で待っていてもらえますか」
俺は犬意味族に向け謝罪した
待たせてばっかりなのともう一つ
自分の考えが甘かったのだが何分想定よりも少し犬耳族の数が多い
用意できた住居では足りないのだ
しばらくは野宿、とか甘いことではない
すぐに解決しなければいけない問題の一つなのだ
そうでなければ不満がいずれ俺に向くことになるかもしれない
しかも犬耳族はエルフ族と一緒に住むことに否定的だ
わからなくはない、俺だっていきなりアメリカ人と暮らせって言われても簡単に了承できるわけがない
なのでエルフ族の村の周辺にまた新しく家を作る必要があるのだ
そうゆうこともあり今は我慢してもらうほかない
不満の一つや二つ石ぐらい投げられる覚悟はできてる
今回は俺の準備不足と考えの足りなさが生んだ責任だ
「しかたねぇなぁ」
そう言ったのはゾラだった
彼は大声で
「皆、ここはひとつ俺の顔を立ててはくれねぇか」
それを聞いた犬耳族は
「仕方ないか」
「ゾラさんがそう言うなら」
「次は絶対許さん」
渋々だが納得してくれた
俺はゾラに頭を下げるとニカッと笑いながらグッドサインをしてきた
いい奴だ
(ほんとごめんな、筋肉ゴリラとか言っちゃって今度何かおごるからそれで許してくれ)
心の中で謝罪して俺は族長たちを連れてカインたちの待つ族長の家へと案内した
家の前について一つ深呼吸でもしておく
緊張をしているわけではないがなんとなくしてしまう
ドアを開けるとまず確認できたのはカイン一人だけ、アルネシアはどこに行ったんだと思い周りを見回すがいないトイレか?
まあいいかあいつはこの会議に必要ってわけでもないしな
カインは老人族長が入るのを確認すると立ち上がり
「初めまして、現在エルフ族の族長を任されている、カイン・アルトシアと申します、わざわざ遠くからきていただいて感謝の言葉しかありません」
頭を下げ犬耳族を歓迎する
「うむ、儂は犬耳族族長をしているワンダフル・ワンダ・フルールという。此度の話し合いで互いにいい関係を気付ければいいと思っている。よろしく頼む、この者はシアン・サモエド、次の犬耳族族長を任せようと思っている男だ」
ワンダフルは後ろにいたシアンを紹介する
シアンはワンダフルの少し後ろに立ち
「ご紹介にあずかりました、シアン・サモエドです。時期族長と言われましたがまだまだ未熟な身のため学びの日々を過ごしています。今回の話し合いの参加できることの幸運に感謝したいです」
こうして全員の自己紹介が終わったところで俺は犬耳族の二人を席に案内し座らせる
カインは二人が座るのを確認してから座る
俺は全員が座ったのを確認し
「では第一回族長会議を始めたいと思います」
こうして族長会議が始まった
「では一つ目の議題ですが、犬耳族の住むところつまりは住居の問題についてです。当初の予定ではエルフ族の村の中に新しく住居を立てそこに住んでもらう予定でしたが犬耳族側がこれを拒否、なので新しい案として近隣に犬耳族の新しい村を立てる必要があります。犬耳族の総勢は84名、それを住ませるとなればこの村より大きくなるということになります、僕自身としては村自体に優劣はつけたくないのです。なので一つ提案なのですが時期が来たら村を一つにするというのはどうでしょうか」
「それは無理だろう、お主は
不機嫌にそういった
「僕はいいと思いますよ」
反対意見を出したのはシアンだった
彼は族長の意見に賛成するかと思っていたがどうやら違ったようだ
「正気かシアン、なぜそう思うのだ」
「まず今回と
話を聞いたワンダフルは黙り込む
沈黙の時間が流れる
「はぁ、老いたな」
そう言ったのはワンダフルだ
その顔はどこかすっきりしたような感じがする
「儂はいつの間にか父と同じ道を行こうとしていたのだな、規律を守り誇りを大切にするそれを信じ生きてきた。だがそれは過去の話だ、シアンこの会議が終わったら儂は犬耳族の族長をやめお前に任せる、儂ができなかったことをお前がやれ、はっはっはっは」
ワンダフルは豪快に笑った
これが会議であることを忘れたように笑った
「族長......分かりました。きっと犬耳族を幸せにして見せます」
「任せたぞ」
(これ俺いらないやん、勝手にうまく話をまとめられたわ、カインもずっと黙ってるしなんだかなぁ、俺としてはいいけどさ)
心の中で少し不満を漏らす
だがいい方向に進んでくれたのでいいとしよう
「では犬耳族側はこの意見に賛成ということで、ではエルフ族側はどうですか?」
俺はカインに話しを振った
「俺、いや僕としては賛成なのですが......他のエルフ族の中には何人か不満を持つものがいるのが現状です。エルフ族は基本、他の種族との交流を嫌います、今回の件自分としてはうまくいかないと思う、思います」
「そうか、ならどうするのだ、お主の考えを聞かせてみろ」
ワンダフルは連を見る
連は目をつむり答えた
「簡単なことですよ、犬耳族がエルフ族に恩を売ればいい、それだけでこの話し合いは終わります。」
「ほお? 恩か、お主最初からこれが目的だったのではないか?」
「まさか、そんなわけがないですよ」
「ふん、まあいい、で何をすればいいのだ、聞かせてみろ」
「行方不明となったエルフ族の行方を捜してもらいたいのです。もし行方が分からなくなっているエルフ族を犬耳族が探し出したならどうなるでしょうか」
「なるほどな、確かに無碍には扱えなくなるな、だが本当にそれだけが目的か? 何か隠してはいないだろうな」
「誰もが一つや二つ隠し事を持っているものですよ」
「はっはっはっはそうか、いずれお主の口から聞けることを期待しておくことにしよう」
「ではエルフ族探索に協力していただけるということでいいですか?」
「構わん、鼻のいい奴を連れてこよう」
「ありがとうございます、ではエルフ族側もそれでいいですね?」
「ああ、それでいい、です」
「では二つ目の議題ですが――」
会議が終わったのは大体3時間ぐらいだろうか、長い時間をかけたがいい方向に話し合いが進んでくれてよかったと思う
だけど会議の最後にまでアルネシアの姿はなかった
カインに聞いてみるとアルネシアはトイレに行くと言っていたらしい
まったく困らせてくれるな
とりあえず犬耳族の件が済んだら少し探してみるか
「連さーん、これこっちでいいんですか?」
シアンが木材を持ち俺に話しかける
「ああそれであってるぞ」
今は犬耳族用の簡易的な住居を建ててもらっている
テントのような作りだが、雨風が防げるので一週間ぐらいならこれで十分だろう
簡易住居は犬耳族の頑張りもあり意外と早く建て終わった
俺は満足げに頷いていたら
「連、今時間あるか?」
話しかけてきたのはダックスだ
珍しいなと思ったらどうやら宴会みたいなことをしているらしい
ゾラが大声で笑いながら何かを飲んでいる
まさか誘われるとは思っていなかったのですこし驚いた
「いいのか?」
「別にいいだろう、俺の周りのやつはそこまでお前の事を嫌っていない」
「悪い、また今度誘ってくれると嬉しい」
アルネシアの事があったので断っておく
「そうか、わかったまた今度誘う」
「じゃあな、ダックス」
「ああ」
俺は別れを言ってアルネシアを探しに出た
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