第14話 卒業、そして入学

「…よし!」

私は自分の部屋にある等身大サイズの姿鏡の前で、最後の身だしなみの確認をした。バッチリだ。入試の面接時に着ていた紺のブレザーに、グレーと黒のチェックスカートは地味といえば地味だったが、今回は首元に赤いリボンを付けているので、ちょっとしたアクセント効かしが入って、派手過ぎず地味過ぎず、程よくバランスが取れていた。

何故こんなお堅い格好をしているのかといえば、何を隠そう今日は、六年間通っていた小学校の卒業式だからだ。三月も真ん中を過ぎた頃、もうすっかり春めいた陽気にみちているのが、部屋の中にいても感じられた。私は朝食を済ませてから最後の確認をしていたので、満足するとそのまま鞄を持って部屋を出た。そして階段を降りて居間を覗いた。

お母さんはキッチンで何やら整理をしていたが、姿格好はすっかり余所行き仕様になっていた。着物姿だ。淡い水色の付け下げで、袖模様は四季折々の草花があしらわれていた。帯は山鳩色地に金を載せた地色に、華やかな華紋と花唐草などが刺繍と螺鈿のような細工で表現されていた。ビシッとキマっていたが家事中の為か、たすき掛けをしていた。

お母さんは初めは一般的な服装、落ち着いた紺か黒の様な色合いのジャケットとスカートのツーピースで行くつもりだったみたいだが、私がわざわざ着物でと頼んだのだった。言われた直後は苦笑いで渋っていたが、私が必死に頼んだのが効いたのか、はたまた自分の好きな物を、娘から人前に見せるように頼まれたのが嬉しかったのか、最終的にはこうしてキチンと身に付けてくれたのだった。

しばらく我が母ながらその着物姿に見惚れていたが、ずっと見てる訳にもいかないので、後ろから声を掛けた。

「じゃあお母さん、私そろそろ行くね?」

「あぁー、はいはい」

お母さんは一度蛇口を閉め、手の水気をタオルで拭き取りながら、こちらに振り向いた。言い忘れていたが、お母さんの髪型も着物仕様になっていた。綺麗に纏まった編み込みスタイルだ。一本だけ刺した簪は、小さく控え目なお花の飾り付きだった。

お母さんは黙って私を舐めるように上から下、下から上と顔を動かしながら見ていたが、私のそばまで寄ると、私の首元の赤いリボンに触れながら笑顔で言った。

「…よし!流石私の娘だわぁ。カッコ可愛くキマってるわよ」

「…ふふ、お母さんこそ」

私達二人はクスクスと笑い合った。それからお母さんは一度襷を解いて、カメラを手に持ち私と一緒に外に出た。そしてタイマーをセットして二人の写真を撮ったのだった。


「じゃあいってきまーす!」

「はーい、また後でねー」

玄関先から手を振るお母さんに手を振り返し、私は最後の通学路を味わうように歩いた。

普段と変わらない通学路。というか、普段から歩いている変哲の無い見栄えの無い道だというのに、今日というこの日に限っては、若干町の色合いがいつもと違って見えた。なーんて妙な文学調のしおらしい、らしく無い心持ちでいた。自他共に冷えてると評価されている私でも、感慨深くならざるを得なかった。

「おーい!」

マンションの正面玄関前から、裕美がこちらに手を振ってきた。そしてそのまま歩道にいる私まで歩み寄って来た。私も胸の前で小さく手を振り返す。

「おはよう、裕美」

「うん、おはよう!」

裕美はいつになくハイテンションだった。私達は合流すると挨拶もそこそこに、学校へ向けて歩き始めた。

「…ふふ」

裕美は歩き始めてすぐ、一人でクスクス笑い出した。

「何よ裕美?何がおかしいの?」

「だってぇ」

裕美は今朝のお母さんみたいに、私の姿を舐め回すように見てから続けた。

「私達こうして並ぶと、昔の漫才師みたいなんだもん」

「…あっ」

私も言われて、改めてお互いの服装を見比べて見た。裕美も私と同様に、あの受験の時と同じ格好をしていた。違いがあるとすれば、私がチェックのスカートなのに対し、裕美はブレザーと同じ黒だという点だった。今日は小春日和で暖かな気温だったので、真冬の寒さだった入試の時とは違い、コートなどの上着を羽織っていなかったから、側から見ると仲の良い姉妹みたいだった。

「確かにそうね」

苦笑交じりに返した。裕美は悪戯っ子のように笑いながら言った。

「あははは。私達同じクラスじゃなくて良かったね?同じだったら周りにどれだけからかわれるか、わかったもんじゃないもの」

「…ふふ、本当ね。特にあの馬鹿に見られた日には…」

「おーっす!」

私がまだ言い終わらない時に、後ろから底抜けの明るい声を上げながら、誰かが勢いよくガバッと二人の肩に腕を回して来た。

私と裕美はビックリして振り返った。…『誰か』と言ったが、本当は誰かは当然すぐに分かっていた。ヒロだった。黒のスーツを着ていた。仕方ないと言えば仕方ないけど、着せられてる感が強かった。個人的な感想を言えば、余りにも子供っぽ過ぎる普段を知っているせいで、チグハグに見えた。まぁこれは、ヒロに限ったことではないが。

裕美はそのまま固まっていたが、私は鬱陶しそうに乱暴に振り解きながら悪態ついた。

「…あなた、最後の最後になってまで碌な挨拶が出来ないの?」

「細かいことは気にすんなよ!」

ヒロはそっと裕美から離れながら答えた。裕美は呆然としている。

「気にすんなって、加害者のあなたが言う台詞じゃないでしょ…」

私はゴミを見る目でヒロを見たが、見られ慣れているせいか、一向に気にしない様子だ。

ヒロは私達の服装を見て、大袈裟に驚いて見せながら言った。

「お、おぉー!中々オシャレにしてんな二人共!えぇー…っとぉ」

ヒロは唸りながら頭を抱えて見せた。と、すぐ顔を上げると、自信満々に言い放った。

「…あっ、あれだ!馬の耳に念仏」

「…誰が人の話を聞かないっていうのよ?」

私はヒロが何を言い出すのかと身構えていたが、期待通りというか案の定というか、まるで見当違いの事を言ってきたので、心底呆れながら返した。

「それを言うなら、馬子にも衣装でしょ」

「ん?…あぁ!それだそれ!」

ヒロは私を指差しながら、笑顔で返した。一人合点がいったようだ。

「はぁ…何で私があなたの軽口に対して、訂正をしなきゃいけないのよ?」

私が脱力気味に文句を言っていると、それまで私とヒロのやり取りを黙って聞いていた裕美が、我慢出来なくなったのか、大きく吹き出し笑い転げていた。

「あははは!おっかしー!…でも琴音?」

「何よ?」

表情そのままに今度は裕美を見た。裕美は笑顔を保ったままだ。そのまま瞼を薄めがちに開いて見せながら言った。

「…あながちヒロ君の言ったのは、間違ってないかもよ?」

「…ちょっとぉ、それどういう意味よ?」

私は抗議をしたが、口元は自分でも分かるほどニヤケていた。それから少し間をおくと、私と裕美は歩きつつ、進行方向を向きながら笑い合ったのだった。ヒロは私達の後ろを退屈そうに、でもどこかに行くでもなく、付かず離れず後ろに付いて歩いていた。

今日でこの三人で通学するのも最後だ。


校門前に着くと、脇に大きく『卒業式』と書かれた看板が置いてあった。気の早い卒業生と母親なりが、その前で記念撮影をしていた。私達三人はなるべく邪魔にならないように気を遣い、足早に脇を抜け、各々の教室に向かった。裕美とヒロは同じクラスだったが、私だけ違ったので、廊下で式が終わった後どこで落ち合うかの確認だけ済ませて別れた。

私が自分の教室に入ると、どうも一番最後だったらしく、みんなの視線が私に注がれた。尤もみんなテンションが高めなせいか、ガヤガヤザワつきは止まないままだった。いつも通り家を出て、いつもの感じで通学路を歩いて来たつもりだったが、どうも知らず知らずペースを緩めてゆっくりと歩いていたらしかった。それだけ自分が思う以上に名残惜しかったようだ。

私が自分の席に着くと、何人かの綺麗に正装した男女が、私に話しかける為近づいて来てくれたが、何の前触れも無く教室に入って来た、これまた普段はジャージ姿しか見た事がないのに、最後の最後でビシッとスーツを身につけた男性担任が入って来たので、みんな一斉に席に着いた。

正直…これを言うと『またお前は何でそんなに冷めているんだ』と非難されそうだけど、本心から言えば全くワクワクなどしていなかった。何故なら今日という本番を迎えるまで、二月の終わりくらいから、何度も卒業式の練習をしていたからだ。卒業証書を受け取る事まで練習した。…まぁこれは各クラスの代表者の一人だけが、体育館に集められた私達の前で壇上に上がるだけだったが。

私はこの時から一連の茶番にうんざりしていたが、一つだけ驚いたことがあった。隣のクラスの代表者として壇上に上がったのが裕美だったからだ。裕美はリハーサルだというのに、緊張した面持ちで壇上に上がっていた。

その練習の帰り早速訳を聞き出してみると、裕美が言うのには本来各クラスの学級委員が代表者になるのが普通だったのに、直前になって急遽裕美に白羽の矢が立ったようだった。一昨年に全校生徒の前で表彰された事、また去年も二連覇したのに学校の都合で朝礼の時出来なかったが、元々また表彰するつもりだった事、これらを全部教師側が鑑みて、裕美のクラスの代表者だけ学級委員ではなくなったと言う話らしかった。

勿論と言うか、当然裕美は何度も断ったらしい。ヒロも含む同級生全員に言われても断り続けたらしいが、とうとう学級委員本人にも頼まれてしまった事が決定打となり、渋々恥ずかしがりながら引き受けたという経緯だったらしい。 私は一連の話を聞いて『まぁ折角だし楽しみなよ』と無責任な言葉を送った。裕美は苦笑だったが、そこで吹っ切れたようだった。それで今に至る。

私達生徒は練習通り、筋書きに沿って卒なく式を完遂した。式自体は特に話すことは無い。…まぁ型通りの式典なんてそんなものだろう。生徒にとっては式なんかよりも、教室に戻ってからが本番だ。

教室に戻り自分達の席に着くと、そのすぐ後から担任が入ってきた。…これ言うとまた顰蹙を買うだろうが、事実として担任が余りにもありきたりな事を話すもんだから、何一つとして心に言葉が残らなかった。

ただ一つだけ…これもまた自分に対してだから、そこまで関係無いのだけど、我ながら自身に感心した事があった。隣の席の女子が担任の話を聞いてる途中で嗚咽を漏らし始めた。ついこの間までの私だったら、前にもちょろっと話したかも知れないが、この手のすぐに感情的になって、人前だというのにも関わらず、平気で泣くような女を心の底から軽蔑していたが、驚いたことに苛立ちや不快感を催すどころか、その女子に釣られて視界がボヤけてしまった事だった。これを成長というのか、心が弱くなったと言うのか、視点の位置により見方が変わると思うけど、この日の私は取り敢えず前者に一票を投じたのだった。

担任は話し終えると、学校生活終了の宣言をした。途端にみんなは一斉に立ち上がり、歓声とも咆哮とも取れる声を上げた。今までの堅苦しい空気を払いのけるかのようだった。

先ほど担任が急に入ってきたせいでお話出来なかった同級生達が、私の周りを取り囲むと、一緒に同じクラスで卒業出来た歓びを分かち合う様に、男の子は握手を求め、女の子は抱きついてきた。私も笑顔で対応したが、正直心底この状況にびっくりしていた。想像していたのとかけ離れていて、想定していなかったからだ。

今までの、ここまでの私の話し振りから想像出来ていたと思うが、ある意味義一との再会、絵里と仲良くなりだしたぐらいから、勝手に私の中で線引きをして、前よりも同級生達と一定の距離を取ろうと意識的にしてきた。勿論みんなの望む”私”を演じ続けてはいたが、前ほど進んで演じようとはしていなかった。前ほど進んで何かを提案したり、引っ張っていこうという積極性は、影を潜めていた。一方的に線引きして壁を作っているうちに、よくある話だが、段々と相手の方でも自分と同じ様にこちらと距離を取ろうとして、最終的には疎遠になろうとしているんじゃないかと思い込んでしまっていた。 それが今の状況だ。

まるで今まで何も変わらず一緒に過ごしてきたかの様に振る舞う級友たちに、度肝を抜かれたと共に、不思議と何故か感謝の念が胸に去来し、それが溢れそうな程大きく膨れていくのを感じていた。

あらかた皆んなと挨拶したり写真撮ったりしていたが、ふと視線を感じたのでそちらに振り向くと、そこにはかつて一緒に連んでいた”元”仲良しグループの面々が、私の方を一様に静かな視線を向けていた。実際は一秒ほどだろうが、長い事見つめ合った様な感覚だった。と、表情そのままに皆して私の方へと近寄って来た。そして私を取り囲む様に立った。私は今から何されるんだろうと、後ろめたいことも無いのに内心ビクビクしていたが、為す術もなく相手の出方を待つ他に無かった。沈黙を破る様に、私の前に意を決した様に立った者がいた。それは、覚えているだろうか、裕美との前に、いつも一緒に登下校をしていたあの子だった。彼女は表情固めに緊張を顔に表してジッと私を見てきたので、私も合わせて見つめ返していた。暫くして私は急にドキッとした。何故ならこちらを強く見つめるその両目が、見る見るうちに潤んで行き、仕舞いにはそのまま溢れ出すままに大粒の涙を流し始めたからだ。私はぎょっとして、先ほどまでとは別の意味で立ち居振る舞いに困っていると、我慢していた感情を解き放つ様に、突然私に抱きついてきた。

「琴音ちゃーーん!今までありがとーう!」

「琴音ちゃーん!」

一人が抱きついたのを合図に、他のみんなも一斉に抱きついてきた。私はこの不測の事態に、ただただ唖然とするばかりだった。みんな私よりも若干背が小さいので、私は冷静に周りを見渡す事が出来た。気付けばみんながこちらに注目していた。十人十色の表情を浮かべていたが、共通していたのはどの顔も微笑ましげな笑顔だった事だ。ふとドアの方を見ると、裕美とヒロが、何とも言えない笑みを浮かべてこっちを見ていた。

私は途端に恥ずかしくなって、取り敢えず一旦解こうとしたが、一対複数で勝てる訳もなく、されるがままでいる他なかった。 私の胸に顔を埋めながら、嗚咽まじりに各々私に声を掛けてきた。はっきりとは聞き取れなかったが、『一緒に卒業できて嬉しい』、『今まで友達で居てくれてありがとう』、『琴音ちゃんも含めて遊んだ思い出は忘れないよ』といったものだった。私は困り果てた感じで、それぞれの背中を撫でて居たが、次第にまたもや視界がボヤけてきた。先程と同じだ。しかも今回のは強烈だった。何故ならいくら冷静を気取っていても、気付いた頃にはホッペを涙が伝っていたからだ。私はそのまま考えないままにみんなの背中に覆い被さるように、大きく腕を広げて纏めて抱き締め返した。私自身声を上げたか記憶に無い。ただ皆んなの嗚咽が、余計に大きくなったのだけは今も憶えている。


彼女達と各人数分、そして全員の入った写真を取り、それぞれと笑顔で挨拶を交わし教室を出た。一部始終を見ていた裕美とヒロと合流し、そのまま母親達と約束した場所に向かった。その道中二人は見たことについて何も言わないでいてくれたが、やけに優しい眼差しを向けてくるのが無性に恥ずかしかった。まだ軽口叩いてくれた方が良かったくらいだ。まさかその目を止めてとは、流石に言えない。

待ち合わせ場所は校門の前だった。私達は最後の方だったのか、思ったよりかは空いていた。それでも大体保護者は皆んな同じ様な格好をしていたので、なかなか見つけられないんじゃ無いかと思っていたが、余計な心配だった。すぐにお母さんは見つかった。暗い服装が多い中で、薄い水色の着物が綺麗に映えていた。お母さんの脇を通る人々が皆して通り過ぎた後、振り返って見ていた。そんな周りの羨望を気にする事なく、凛として立っていた。そして側にいる裕美とヒロのお母さん達と談笑していた。私は何度もお母さんの着物姿を見た事があったが、家の中でお父さんの知り合いに、おもてなしする所作振る舞いしか見た事が無かったから、こうして外で改めて見ると、色々価値観の違いを感じる時があっても、やっぱり私のお母さんはカッコいいなと素直に思った。

「…おっ、ようやく来たね?」

先に裕美のお母さんが私達三人に気付いた。その直後に私のお母さんと、ヒロのお母さんもこちらに振り向いた。 三人各様にフォーマルな格好をしていた。でもやはり今日においては、三人の中ではお母さんがダントツに綺麗だった。裕美とヒロのお母さん達も、私に近寄るなり、勿論というか何というか、私の姿も褒めてくれたが、一様にお母さんの着物姿を、これでもかってほどに褒めちぎっていた。その度に流石のお母さんも、ほんのり顔を赤らめて、気持ち俯き加減に恐縮していた。

今日の式についてアレコレ私達を交えて軽く談笑した後、まず各々家庭分の写真を撮った。お母さん達は自分の子供の分だけ初めは撮っていたが、最後に私達三人を看板脇に立たせて、気の済むまで自分のカメラで撮ったのだった。

それからは学校の近所のファミレスで二時間弱会食した後、予定があるとかでそこでヒロと、ヒロのお母さんと別れた。別れ際に三人で、卒業の記念に遊ぶ約束をしてから。

私と裕美のお母さんはもう暫くお喋りすると言うので、私と裕美は先に帰ることにした。時刻は三時を過ぎた所だった。

「…はぁー、終わっちゃったなぁ」

裕美は空を見上げながら、ため息交じりに呟いた。

「…そうねぇ」

私も倣って空を見上げながら返した。

「…来月には私達中学生だね」

裕美は正面に顔を戻すと、私の方を向きながらしみじみ言った。

「えぇ、実感無いけどね」

私もまた同じ様に裕美に返した。


ここでネタバレというか、今ここで入試の結果を述べようと思う。こんなに引っ張るつもりは無かったが、話の関係上中々話せる機会が無かった、ただそれだけだ。勿体ぶっていたわけでは無い事は理解して欲しい。

とまぁ、見苦しい聞き苦しい言い訳はこの辺で辞める事にして、結果から言えば、晴れて私と裕美は同じ女子校に通える事になった。入試の帰りの電車の中での会話、勿論言った様に安心したのはその通りだったが、実際のところは当然分からなかったので、我ながら可愛らしくその晩は、中々寝付けなかった。そして次の日、合格発表は学校のホームページに朝の九時から発表されるという話だったが、この日も平日、他に願書を出した学校の入試日ではなかったので、普段通り学校に通った。裕美ともいつもの様に朝会ったが、裕美も普段の明るさに影が差していた。冗談を言う顔も、気持ち表情が曇っていた。会話も中々弾まなかった。昼休み、給食を呑気に食べていると、急に裕美が私のいる教室のドアを乱暴に開けた。手にはスマホを持っていた。クラスメイトは皆んなして、何事かと裕美に視線を注いでいた。すぐに私の周りからひそひそ声が聞こえて来た。皆んな口々に裕美の名前を言っていた。どうやら本当に有名人らしかった。私は変わらず呑気にスプーンを咥えながら周りを見渡し、そんな事を考えていたが、裕美は私の姿を認めると、私の元に脇目も振らず一直線に向かって来た。そして私の机の前に立つと、無言で私の手を引っ張った。

「えっ、ち、ちょっと!裕美!何だって言うのよ?」

私の抗議に一切反応しないまま、力任せに私を教室の外に連れ出した。クラスメイト達は何が起きているのか分からんと言った感じに、私達二人の姿を目で追うだけだった。

「もう、何なの?」

廊下の突き当たり、階段の踊り場まで来ると、私は裕美の手を力任せに振りほどいた。辺りは昼休みとは言え、普段は一斉に給食を食べている時間なので、人気もなく静まり返っていた。意味も分からず連れ出されて、しかも無駄に目立つことをさせられたので、若干…いやかなり怒っていた。私の感情を感じ取れない訳は無かったが、裕美はふと手に持っていたスマホを弄りだした。私はその様子を黙って見ていたが、ふと裕美はスマホの液晶を私に向けてきた。そして、息も切れ切れに興奮を抑えられないと言った調子で答えた。

「…こ、琴音…私達…う、う、うか…」

「…え?」

裕美の言った最後の言葉がよく聞き取れず、私は聞き直した。すると裕美は一度俯いて見せたが、勢いよく顔をあげた。その顔は今まで見たことのない満面の笑顔だった。興奮のあまり顔が上気していた。そして私の両肩に手を一度置くと、力強く言い放った。

「私達二人共受かっているよ!」

「…え?本当?」

私は今裕美の言ったことよりも、テンションの大きな差に戸惑っていた。そのまま立ち尽くす私に、裕美はそのまま抱きついてきた。

「受かったぁー!受かったよ琴音ぇー!」

裕美は抱きつきながらその場で飛び跳ねていた。私はようやく実感が湧いてきたが、どちらにしろそのまま呆然と立ち尽くす他なかった。

「ほ、本当に?本当に受かってる?」

私がたどたどしく問い直すと、裕美は笑顔のままスマホの画面を私の顔すぐそばまで近付けて見せた。そこには何桁かの数字がズラーッと並んでいたが、その中である数字がズームアップされていた。それが裕美の受験番号だという話だった。私は淡々と数字の羅列を見ていたが

「…私の受験番号なんだっけ?」

と我ながら惚けた声を出してしまった。裕美は私に薄目を流し、スマホを受け取りながら苦笑交じりに言った。

「アンタねぇ…昨日の今日な上に、今日が合否発表なの知ってるんだから、番号控えときなさいよぉ」

そう言いながら裕美は、別の数字に焦点を合わせる様にズームアップした。そしてまた私にスマホを渡してきた。そこには先程とは違う数字が大きく出ていた。私がそれを見ている間、裕美はポケットから小さなメモ用紙を取り出した。そしてそれを広げて、書いてある方を私に向けながら言った。

「アンタ昨日帰る途中ファミレスに寄った時、受験票を見せてくれたじゃない?これがその時のメモよ!…ほら、数字を見比べて見て?」

私は穴が開くほど裕美のメモを見つめ、何度もスマホ画面と見比べた。…確かに何度も見ても同じ数字だ。一文字足りとも間違っていない。

「…本当だ…本当に受かってる…」

「だからそう言ってるでしょう?」

裕美は落ち着いてきたのか、私からスマホを受け取ると、メモと共にポケットにしまった。その時私は勢いよく裕美に抱きついた。そしてそのまま揺ら揺らと左右に揺れた。

「…んーーーー!やったわ、裕美!」

「う、うん!やったわ!」

裕美は私の反応に戸惑いながらも、元気よく答えた。

あなたが最初に同じ様な事したんでしょうに、何驚いてるのよ?

と心の中で突っ込んだが、それは口にせず、二人して改めて合格の喜びを分かち合った。

教室に戻ると、クラスメイト達はジッと私の方を見つめてきていたが、さっきとは打って変わって、一切視線が気にならなかった。席に戻り携帯を見ると、お母さんからメールが来ていた。合格したとの報告だった。メールの文面からも、喜びが伝わってくるようだった。

家に帰り、お母さんと改めて抱き合い喜びあった。お母さんは泣いていた。初めて…いや久し振りにお母さんの泣いてる姿を見た。ここまで話を聞いてくれた人には、何の事を言ってるのか分かると思う。その日の夜、お父さんが帰ってきた。何やらお土産を持って来ていた。

居間の普段食事をするテーブル前で帰ってくるのを待っていた私に、お父さんは無言で側まで寄り、顔の表情を綻ばせると私の事を優しく抱きしめた。私は座ったままだったが、そのままの体勢で抱き返した。

ここで『頑張ったな』などの言葉を掛けないのが、お父さんらしかった。言葉にできないことは言わない、首尾一貫していたことだった。

お土産の箱を開けて見ると、そこにはいくつもの大小様々なサイズのブックカバーが入っていた。全て純革製だった。黒、赤、紫、茶色の四色が、文庫本サイズから図鑑サイズまであった。表面も無地ではなく、全てのカバーの模様が違い、西洋の絵画のような模様だったり、イスラム系の幾何学模様だったりと、バラエティーに富んでいた。私がずっと欲しがっていたヤツだった。…尤も”純革製”みたいな高級品は強請ってなかったけど。普通の女の子が何を欲しがるのかは知らないけど、私にとっての最高のプレゼントだった。後でお母さんに聞いた話だと、お父さんはお母さんから連絡が来た時に、何とか病院を抜け出し、銀座の方まで出て、わざわざ買って来たとのことだった。物を買ってくれたというよりも、言い方が悪いが、普段無感情に病院経営に勤しんでいるお父さんが、その何よりも大事な仕事を後回しにして、目星を付けていたお店にわざわざ行って、買って来てくれたという事実のほうが、尚更嬉しかった。それだけ普段は無関心のフリをしていても、内心は心配していたのだろう。

寝る前に布団の中でスマホを見てみると、着信が二通あった。義一と絵里だった。この二人には昼休みのうちに連絡を入れていた。私は普段からスマホを持ち歩いてはいるが、余りしょっちゅう弄るようなクセが無かったので、いつも気付くのが寝る前になる事が多かった。

『おめでとう!後輩!』

絵里の文面はこうだった。いかにも”らしい”ものだった。

『神の御加護があらん事を』

義一の文面はこうだった。いかにも”らしい”、何重にも意味を練り込んだ言葉だった。一つ種明かしをすると、私が今回合格した女子校は、いわゆるミッションスクール、カトリック系の学校だったので、それらを踏まえたセリフだったのだろう。…相変わらず分かりづらい事この上なかった。勿論私はこれを初め見た時、しばらくその真意を汲み取るのに苦労した。何となく察した後も、苦笑いする他なかった。「らしいなぁ」と思わず独り言ちた程だ。

絵里には「ありがとう」と返したが、義一には「分かりづらい(笑)」と返した。


「…琴音?」

「ん?」

私がボーッとしているのを見て、 裕美が不思議そうな表情で話しかけてきた。

「何か言った?」

「ふふふ、もーう」

裕美は呆れながらも、優しい口調で同じ内容を繰り返した。

「だから、このまま別れるのも何だから、公園にちょっと寄って行かないかって聞いたのよ」

「あ、あぁなるほど。いいわねぇ、そうしましょう」

それから私達は裕美のマンション近くの、あの小さな公園に向かった。中に入りあのベンチに仲良く、お互いに近く寄りながら座った。見上げるとそこには、桜が見事に咲き誇っていた。最初に裕美と来た時、裕美の大会に行った帰りの時、あの時は十二月の寒空の下、草一つも無かったのに、今私達の頭上に広がっているのは、青天井ならぬ”桜天井”だった。空など見えないくらいに埋め尽くされていて、時折吹く強風に煽られ、花びらがチラチラ私達に向かって舞い降りてくるのだった。毎年例年より開花の時期が早まっていると、天気予報で言っていたのを思い出した。

「…綺麗ね」

私は見上げたまま、ポツリと呟いた。

「…本当ね」

裕美も同じ様に返した。前にも話した様に、ベンチ裏に植わっているこの桜木、幹の太さから見て中々の老木だと思うのだけど、毎年毎年こうして私の生まれる前から変わらず咲き誇っていた様だった。こんなに立派な桜なのに、平日の為なのか、人っ子一人いなかった。私と裕美の貸切状態だ。

「…お母さん達ね?」

裕美がまだ見上げたまま、静かに話しかけた。

「私達が中学に入った後の事を話し合ってるみたいよ?」

「…何であなたが知ってるの?」

私も先程から変わらぬ姿勢のまま聞いた。

「うふふ、お母さんに写真を撮って貰ってる時に聞いたのよ。だからあんた達は先に帰って頂戴って。だからアンタを誘ったってわけ」

「なるほどねぇ」

全くなるほどじゃない程どうでも良かったが、今は桜天井の下、言いようの無い多幸感に包まれているのを感じていたので、一々軽口を言う気にもなれなかった。

「…そうだ!」

裕美は急に立ち上がると、私を見下ろしながら言った。

「せっかく私達二人しか居ないんだし、写真撮ろうよ写真!」

「えぇ、良いわね」

私もゆっくりと立ち上がった。各々カバンからスマホを取り出し、今座っていたベンチの背もたれにあった深めの傷に、二人のスマホを差し込んだ。恐らく私達よりも先に方法を思いついて、公共物だというのに傷を作った人がいたのだろう。ピッタリだった。

向かいにも立派な桜があったので、ロケーションとしてはバッチリだった。自分達のスマホのピントなどを合わせてから、タイマーをセットし、慌てて二人で決めた所定位置に立った。私は手をおへその前辺りで軽く組み、足は軽く交差させた。裕美は私の腕を組んできた。まるで付き合い始めの彼女みたいに。この場合は私が彼氏になるのだろう。…まぁ気にしてない。

ぴ、ぴ、ぴ、電子音が三度鳴るとカシャっと音がした。急いでベンチに駆け寄り、お互いのスマホの写真を見てみると、どちらも綺麗にボヤける事なく写っていた。私は静かな笑みを浮かべていた。裕美は底抜けに明るい満面の笑みをこちらに向けていた。後ろで桜が咲き誇る姿も、全体とまでは当然いかないが、味良く写っていた。良い写真だった。

私達はお互いにスマホを見せ合い、満足げにまたベンチに座った。

暦上では春でも、まだまだ冬の気配が残っているせいなのか、徐々に日も暮れて来ると、やはり肌寒さは残っていた。でもまだ桜の元から離れる気にならなかった。何でも率先して思い切りよく、やろうと決めた事はすぐに実行する、そんなタイプの裕美が私に行こうと言い出さないところを見ると、気持ちは同じの様だった。

コツン。すぐ隣に座っていた裕美が、私の肩に頭を預けてきた。私は一瞬ビクッとしたが、何も言わずそのままにした。それからしばらくまた沈黙が流れた後、裕美はそのまま私に話しかけた。

「…新しい学校で上手くやれるかなぁ」

「…ふふ」

私はふと花天井を見上げながら返した。

「あなたなら大丈夫よ。誰とでも隔たり無く付き合う事が出来るんだもの…私ですらね?」

最後に私は自嘲気味に笑いながら言うと、裕美は離れて私の顔を見た。最初の一瞬、寂しそうな表情に見えたが、すぐに意地悪い笑みを浮かべながら言った。

「本人にそう言って貰えると、自信が万倍だわぁ。ありがとう」

裕美は大袈裟に上体だけ倒して見せた。

「…お礼言われるより、否定して欲しかったんだけど?」

私がいじけた風に返すと、裕美はゆっくり上体を起こした。そして顔を見合わせるとクスクス笑いあったのだった。

「そう言えば」

私はふと、前々から気になっていた疑問点を思い出した。和やかな雰囲気に任せて聞いてみることにした。

「裕美、あなた初めて私に話しかけてきた時、前から私と喋りたいみたいな事を言ってたけど、それはどういう理由なの?」

裕美は文字通り目を見開きキョトンとしていた。私が何の意図を持って聞いているのか理解出来ない様子だった。暫くそのままだったが、途端に顔全体に苦笑いを浮かべて、口調も苦笑交じりに言った。

「いきなり何言い出すかと思えば…脈絡が無いにも程があるでしょ?一瞬何言われてるのかわからなかったもん」

「ご、ごめん…つい癖で」

私は衒いもなく素直に謝った。裕美は私の様子を見て、短く鼻から息を吐くと

「やれやれ…私よりもアンタの方が、新しい環境で上手くやれるのか、心配になってきたわよ」

首を横に振りながら言ったが、顔は笑顔だった。

「その時はフォローよろしくね?」

私も笑顔で返した。裕美は如何にも嫌そうな表情を見せながらも、笑顔は絶やさずに応えた。

「しょうがないわねぇ…姫様は一人じゃ危なっかしくて、見てらんないから、私が見守るしか無いかぁ」

「期待してるわ」

「何で他人事なのよぉ」

「…ふふ」

「あははは」


「で何だっけ?…あぁ、確かにそんな事を言ったかもなぁ」

裕美はまた上を見上げると、思い出したのか懐かしげに応えた。そして隣の私に向き直り言った。

「よくそんな事覚えていたねぇ…うーん」

裕美は腕を組み考え始めた。言うか言うまいか、悩んでいる様だった。

「んーー…あのね、実は…あっ!」

「え?何?」

裕美は何か言いかけたが、急に打ち切ったので、咄嗟に私は声を上げた。

「何よぉ?」

「え?あぁ…いやぁ」

裕美は照れる時の癖をしながら言い澱み

「この話は…もっとちゃんと落ち着いて話したいなぁ…だめ?」

と私に上目遣いを向けながら聞いてきた。

「いや、その、別に…うーん」

もっと軽く話してくれるものとばかり思っていたので、裕美の反応に正直困惑していた。私に初めて話しかけるのに、そんな照れる様な理由が存在するとは思っても見なかった。

「今無理なら、いつかで勿論構わないよ」

私は為す術もなく妥協案を出した。それを聞くと裕美は心底ホッとした表情を浮かべて言った。

「ごめんね?そんなに気になるなら、いつか必ず…そうね、私達がもう少し大人になってから話すわ。…それでもいい?」

「さっきも言ったでしょ?それで構わないって。…こちらこそゴメン。そんなに裕美を困らせたくて聞いたんじゃなかったのに…」

私が俯き加減にそう言うと、裕美は慌てて返してきた。

「いやいや、私が変なリアクション取っちゃっただけだから気にしないで?」

「えぇ。…じゃあもうこの話は終わりっ!」

「うん、終わりっ!」

無理やり話を切り上げた後、場に流れてしまった微妙な空気を払拭する様に笑い合い、そして公園を出てから別れたが、私の中で疑問が益々膨らむのを感じていた。しかし今は裕美が話す気がないのでは、如何ともし難かった。自分の気持ちは、取り敢えず何処かへ置いとく他無かった。裕美の方でも何か思う事があっただろうけど、現時点で私に心中察する術は無かった。

こんなやり取りをしたのを忘れたかの様に、春休みはヒロもたまに入れて、三人で一緒に遊んだ。学校の指定の制服を買ったり、何なり準備をしているうちに入学式を迎えた。


ここで予め、毎度の事ながら割愛する事をおわびしたい。何故なら正直、取り立てて話すような事が無かったからだ。人によっては異論があるだろうが、制服を着ていること以外は流れとして、小学校の卒業式と違いがあまり無いからだ。なのでスラスラと流していくので、ご容赦願いたい。

入学式当日。私と裕美は新な制服を着て、お互いの母親達と一緒に電車に乗り学校へ向かった。裕美のお母さんは卒業式の時と変らない、薄いピンクで統一された体のラインに沿ったワンピースとジャケットを羽織っていた。白薔薇のコサージュを付けていた。私のお母さんは今日は着物では無かった。白で統一されたワンピーススーツだった。黒のリボンテープで縁取られた、首元をホックで留める仕様のノーカラージャケットだった。これはこれで身長の高いお母さんに似合っていた。でも私は正直着物姿のお母さんが大好きだったから、また着て欲しかった。

学校に着くと受付が設けられていて、おそらく在学生なのだろう、同じ制服着た女生徒が率先して受付業務をこなしていた。そこでプリントを一枚配られた。クラス表だ。私の名前を探すとC組の枠内に書かれていた。裕美の方を見ると、どうやら同じらしかった。その時は二人して手を取り合って喜んだが、後になって、どうやら同じ出身地区か、同じ塾かでクラスが分けられている事がわかった。まぁ理由はどうあれ、裕美と一緒のクラスになれたことは、小学校では叶わなかったので、素直に喜ばしいことだった。

その受付前でお母さん達とは別れて、私と裕美は揃って講堂へと向かった。

入学式が始まった。クラスに別れて座らされていたが、私達の正面に、舞台を背にこちらを向いて女教諭が立っていた。この人が私達のクラスの担任だった。どこかで見た事があるとこのとき思ったが、後になって知った。この人が入試時、私を面接会場まで案内したその人だった。その担任はおもむろに、一人一人出席番号順に出席を取り始めた。みんな元気に返事をしていたので、私も倣って返事をした。次に新入生代表挨拶があった。どういう基準か、おそらく入試試験で良い成績を納めたとかとかだろうが、舞台下中央に置かれたマイクスタンドの前に立ち、何やらそれらしい言葉を話していた。それから在校生の言葉も終わり、式が滞りなく執り行なわれた。その後ゾロゾロ一斉にそれぞれの教室へと向かった。これまた出席番号順に席に座った。私は窓際の真ん中辺りだった。裕美は真ん中の列の真ん中、ど真ん中だった。

後から式で出席をとっていた担任が教室に入って来た。そして黒板に名前を書いてから自己紹介をした。『有村志保』と書かれていた。年恰好は三十代後半といった所か。背丈は大体裕美と同じ、160ちょっとだろう、私よりも気持ち低いくらいだった。白のブラウスに薄オレンジのコサージュを付けていた。ハキハキとした口調でこれから先の連絡事項と、これからの学園生活の心得的な事を話していた。窓際にいたせいか、暖かな春の陽気に軽い眠気を覚えながら話を聞いていた。これから中学生としての生活が始まる。

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