いつの日か、きっと・・・

勝利だギューちゃん

第1話

夢を見た。

一瞬だった気もするし、長かった気もする。


懐かしいような・・・初めてのような・・・

顔は覚えていない。

ていうか、見えなかった。


まあ、夢とはそんな物だろう・・・


だが夢で初めて会った人が、実際に現れたらどうだろう?

見た事がない人が夢に出てきたら、その人とは前世で会っていると聞く・・・


もしそうなら、あの子とはいつ会ったのだろう?

それが1回だけならいいが、頻繁にみるとさすがに気になる。


どうしよう?

今度夢で会ったら思い切って聞いてみるか?


そう思い床についた。

僕は寝つきがいい。

すぐに、夢の中へと誘われた。


いつも通りの夢の中。

緑豊かな森の中。

夢は普通白黒だが、カラーである事は意味が深いのかもしれない。


いつもどおりに道を歩く。

そして、いつもの木陰で彼女を見かけた。


思い切って声をかけようとした時、彼女から声をかけてきた。

「やあ、元気」

「うん」

「ようやく、気がついてくれたんだね。待ってたよ。」

「君は一体?」

「君はよくないな・・・私は前世で君の先輩だったんだよ」

そうか・・・なら敬語を使わないとな。


なんか、納得いかないけど・・・


「で、僕たちは前世で何だったんですか?」

「私と君は、忍者だったんだよ」

「忍者?嘘でしょ?」

「本当だよ。君は全く残っていないみたいだけどね」

前世で身につけたものは、現世でも残っているという。


忍者は運動能力がすさまじい。

でも、僕の運動神経は0。

もし前世で忍者なら、落ちこぼれだったのだろう。


「ううん、君は優秀な忍者だったよ。」

「どうして覚えているんですか?」

「私は君の事が、前世で好きだったんだよ」

「本当ですか?」

彼女は笑う。


「本当だよ。もちろん現世でも好きだよ。」

「えっ、あってるんですか?」

「うん、いつも会ってるよ」

「どこでですか?」

彼女は再び笑う。


でもどこか、楽しげだ。


「君が自分で探してみて」

「せめて、ヒントを」

「いつも会ってるけど、顔は合わせた事がない。

これが、ヒントね」

「顔を合わせてない・・・ですか?」

「じゃあ、またね。待ってるからね」

そうやって、彼女は消えた。


もう彼女は消えた。

もう、彼女は夢に出てこないだろう。


夢の彼女は、まさしく「くノ一」という感じだった。

もちろん、現世では変わっているだろう。


でも、会ってはいるが顔は会わせていない。

ヒントはそれだけだ。


探してみようか・・・

長い旅になりそうだけど・・・

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いつの日か、きっと・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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