十一月初旬


 霜月


 ほとんど葉の落ち切った庭の桜に、十輪ばかり花が咲いた。ここのところの暖かさで勘違いしたのだろう。そこをアキアカネが横切ると、季節がよく分からなくなる。


 谷向こうの雑木林はもう半分ほど色付いた。黄と橙と赤がちょうど同じくらいの割合で混ざっている。紅葉を終えて葉を落としている木もいくつかある。


 嘴太烏はしぶとがらすがかあかあと鳴いている。蜆蝶しじみちょうがよく庭を飛ぶ。


 七日の立冬を過ぎても、今年はまだ随分暖かい。

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