水底雑記帳

うみぜり@水底で眠る。

TRPGという遊びについて

 正直に言えば、筆者はTRPGというジャンル自体を相対的に評価しているか否かと言えば、大分微妙な所がある。


 ゲームとして遊ぶには信頼性に乏しく、だからといってロールプレイを目的として遊べば「なりきりチャット乙」だのなんだのと煽られる事も少なくない。それでいて、トークのネタとして遊ぼうと思うなら、別にこのジャンルにこだわる必要は何もないのだ。


 トークもロールプレイもゲームも全部中途半端。


 それが、正直な筆者のTRPGというジャンルに抱いている感想である。

 それでも、筆者はTRPGが好きだし、ほとんど毎月一回以上は遊んでいる。

 

 何故かといえば、この全てが良い具合に楽しめるのがTRPGだからである。

 プリセットとして優れており、明け透けにいえば手抜きが楽なのである。

 だからこそ、筆者はこのTRPGという遊びを、特に作話的創作活動をしている人間全てに薦めたいと日頃から思っている。

 

 理由は当然いくつかある。

 

 ゲームを作ろうと思えば、当然、今日日はツールやらプログラミングやらに精通する必要があり、それに掛かる技術コスト及び時間的コストは、それこそ一朝一夕でどうにかなるものではない。非電源系のボードゲームを作るにしたって、ゲームデザインはもとよりビジュアルデザインにも頭を悩ませなければならない。これも当然、一朝一夕でどうにかなるものではない。

 しかし、TRPGなら、最初から準備されたプリセットに従ってシナリオをデザインするだけでいい。1からゲームを作るよりは遥かに楽である。簡単なシナリオなら一朝一夕でどうにでもなる。

 

 ロールプレイをして遊ぶにしたって、普通にごっこ遊びをすると「何すればいいかよくわからない」となりがちである。子供のごっこ遊びですら、御飯事や特撮ヒーローの模倣などの特定の題材に沿った演目を行う事が大半であり、テーマ無しで遊ぶことは非常に珍しく、それでいて難しい。なにより、ルール無しのごっこ遊びは特定演者の暴走を抑制し辛いという弱点がある。故に、かつてのPBCサイトなどはどこもかしこも規約に溢れ、メアリー・スーという単語に誰もが戦々恐々としたのである。

 しかし、TRPGなら勿論最初から題材が準備されているし、基本ルールが準備された上で明確な裁定者としてGMが常に場に存在しており、特定演者の暴走をある程度は抑制できる準備が整えられている。それだってマンチキンは存在すると言われればまぁそれまでではあるが……ともかくとして、そういったロールプレイ遊びをするための備えや、同じテーマで遊ぶというコンセンサスも遊ぶタイトルによってある程度は最初から取れている。非常に楽である。

 

 トークをする場合は無論題材が必要であり、共通の話題が必要である。これについては、TRPGに限った事ではなく、共通の体験や趣味は全てトークの題材となるのだが、それでもTRPGを薦めるのは、それらの題材提供が楽だからである。例えば、TRPGを遊ぶ人の中には、プレイそのものより、その後の感想戦をファミレスや居酒屋で楽しむ方が好きという人もいるのではないだろうか? 別にこれは悪い事ではない。懇親会そのものより二次会や打ち上げの方が楽しいと言うのと話は同じである。そういった場を提供するネタとなる事自体が重要であるのだ。

 TRPGは複数の人間を集める遊びであるため、これらの要素を行うための下地を備えているし、何より安上がりである。企画そのものはルールブックにあるサンプルシナリオ一つと数人の人員がいればそれで成立する。会場も今日日は仲間内で楽しむだけなら、カラオケボックスの一室を借りるだけで話は済むだろう。オンラインならもっと楽だし安上がりである。

 

 こういった、複合的な要素を兼ね合わせた極めてファジーかつフレキシブルな遊びが、筆者がTRPGという遊びに対して抱いている感想であり、だからこそ、TRPGは楽しいのである。

 ゲームを作るのは面倒だけどTRPGは簡単にゲームが作れるし、ロールプレイの約束事を決めたり場を準備するのは面倒だけどTRPGは簡単にロールプレイで遊べるし、何かしらのトークイベント企画や検討会の準備は面倒だけどTRPGは簡単にトークを楽しめるし打ち上げも出来るのである。

 

 しかも、必ず観客がついてくる。

 そう、創作に欠片でも手を付けた事がある紳士淑女の皆さんなら、この言葉の甘美さに気付くのではないだろうか?

 

 誰も彼もが★とレビューと♥と応援コメントを欲しがるこのカクヨムの諸氏等であるなら、なおさらではないだろうか?

 筆者だって当然同じである。

 一杯そういうものは欲しい。

 一杯褒められたい。

 一杯感想を頂きたい。


 そして、TRPGはそれが半ば約束されている。


 なぜなら、最初からGMやPLという名前の共演者と観客が準備されているからである。

 当然、お互いでお互いの創作物に気軽に感想や反応を示す事が出来る。

 10万字書いて無反応もザラという世界にいる諸氏等にとって、これがどれだけ幸福な事であるかは想像に難くないだろう。


 GMをするにしたって、TRPGのシナリオを作るなんて実際に小説を書く手間と比べれば何でもない。地の文とキャラクターの半分は外注できるというだけでも、相当楽だ。

 PLをするにしたって、キャラクターを一人準備して遊ぶだけでいいのだから、楽も楽である。しかも、そのたった一人のキャラクターに感想まで貰えてしまう。

 

 そう、最早お気付きであろう。

 言葉を濁さす、ハッキリと言えば……TRPGという遊びはこういった創作の手抜きも簡単にできるのである。あくまでこれは遊びであり息抜きと思えば、何というか……最高ではないだろうか?

 

 少なくとも、筆者はこれ、堕落しかねないくらい楽だなと常々思っている。

 お陰様でソロ創作の自作小説の更新が遅れまくったりしている事については全く申し訳なく思うが……まぁ、それはそれ、これはこれという事でここは一つ。

 

 ともかくとして、TRPGは創作に一度でも手を染めた人間であるのなら、是非とも遊んで欲しいと常々思っている。無論、そういった遊びに興味を持っている人間にも、だ。

 

 この記事を読んだ諸氏等も、是非とも、こういったTRPGで遊んでみてはどうだろうか?

 

 例えばそう……筆者が良く遊んでるほら、この、ダブルクロス3rdとか。

 


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