第25話

 三年目の春がやってきた。部員数は新入生を含めた総勢102名と、20人ほど部員を減らしてスタートした。この数年、地区大会の決勝に残っていなかった結果が如実に数字に現れている。それでも四軍に在籍しているメンバーは40人以上いるわけで、公立高校から見れば羨ましい部員数だろう。  


 四軍の最初の仕事は、昇級試験で落ちてきたメンバーと交流試合をすることから始まる。

大体ここに初めて来る部員は腐りかけている。そのまま練習しても長くは続かない。そこで試合で活を入れ直す。

 

 一応落とされたとはいえ二、三軍にいた部員なので四軍の実力を軽視している。しかもマスクを被るのは僕だから尚更である。しかし、試合が始まると顔色が変わる。四軍エースの石田君の球に翻弄されて三振の山を築く。


 ファーボールやエラーで出塁した選手は、舐めプ(舐めたプレイ)で盗塁してくるのを全員刺してやった。試合が終わる頃には意気消沈しているが、翌日には四軍メンバーとして練習に励んでいる。ただ野球好きの脳筋選手ばかりなのでリベンジ、リベンジさせろと五月蠅いのが困りもの。


  あまりにも五月蠅かったので、バッティング練習で空振りの山を僕も築いてやったら少しだけ大人しくなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る