第4章の終わり 戦乱の幕開け。再生と破壊をもたらす勝利の双剣は・・・誰の手に?

第92話『過去の終焉の時へ、白い瞳のルーン・グローリアの救済の旅。』

 Code12.第十二の刻、帰天きてんの刻。


 再生と終焉の時の中で……ここは最後の選択の場です。



 天国や地獄、全ての世界が崩壊していく。天国の最も奥にある秘匿の間-開かずの門の前で、悪魔の女神が佇んでいます。



 正気を失った女神は、愛しい娘が来るのをずっと待っていた。そう、ここで、母と娘の最後の決闘が行われる。


 天の創造主が計画を進めて、悪魔の女神は自分の役を演じ切る。女神は母として、娘の罪を背負うつもり。どれ程月日が流れても、正気を失っても、自分の娘が可愛いのは変わらない。




 白い霧の中で、12個の星の核が青く光る。


 主様しゅさまを守る様に、白い霧が女神の傍から離れない。女神の白い霧は白い文字。それは小さな、小さな文字の集合体。


 もっと言えば、女神が創り出した霧のシステムであり、数えきれない程の人や魔物―あらゆる魂の複合体です。




 女神の白い霧は意思を持ち生きている。


 霧は色んなものを運ぶのが得意。悪魔の女神が霧の奥深くに隠してしまえば、創造主の摂理プロビデンスの目でさえ、隠されたものを見つけることは容易ではないのだ。

 



『Code4.第四の刻-女神の白い霧』。


 時の女神ノルフェスティが、地獄の近くまで堕ちた時、白い霧は生まれました。女神は、初めから何かを隠すために、白い霧を創ったのかもしれません。



 さて、女神の白い霧が何かを見つけて、女神のもとへ運んできました。誰かが書いた日記で……合計で6つの日記の断片が、霧の中に浮かんでいます。



 悪魔の女神は、時の魔術で日記の時を止める。この日記は、白い瞳のルーンが書いたもの。希望の魔女が探しても見つけられなかった、冒険日記の後半の断片です。



 ※白い瞳のルーン・グローリアの冒険日記、後半の断片:⑦~⑫

 ⑦新しき霧の女神は、霧の異界ケイオスの星を落とす。

 ⑧大罪が赦される日―霧の女神ルーンは七つの大罪を奪う。

 ⑨新しき霧の女神は、正真正銘の天の門を開く。



 希望の魔女が手に入れていない、ルーンの冒険日記。


 吸血鬼の少女が、霧の女神となって救済の旅に出る。天国の鍵を集めて、七つの大罪と元徳を奪い……最後に、時の女神の娘に殺される日のことが書かれていました。



 ⑩霧の女神ルーンは、4つの元徳(勇気・節制・信仰・愛)を奪う。

 ⑪邪神フィリスが滅びる、女神の復讐の日。

 ⑫最後の日―名無し(時の女神の娘に殺される日)。




 正気を失った悪魔の女神は、目を閉じて動かない。


 女神は、ルーンの冒険日記に興味を示しませんでした。このままでは、女神は日記の断片を捨ててしまうでしょう。



 すると、突然変化が訪れる。天国に堕落神や霧の人形はいないが、白い霧の中に、12個の星の核が浮かんでいて……青く光る星の核、その表面に小さな文字―“希望の聖痕”が現れる!



 これは、希望の魔女ノルンの祝福。白き人形ノルンが保持している、七つの元徳の一つ、希望がもたらすものです。



『女神の名において命ずる。

 母なる白い霧よ、我の声を聞け。』



『我は再生の時なり、女神に魂を奉げる。

 母なる白い霧よ、我が時を―希望を運べ。』




『極星極界魔術・

 帰天きてんの刻―“再生の時”。』




 希望の魔女ノルンの再生の時―“過去改変”。




 希望の魔女がもたらす奇跡。Code3.第三の刻―審判の時で、12個の星の核に刻まれた、再生の時によって……悪魔の女神は癒されていきます。



 一時的でも、悪魔の女神から、時の女神に戻ることが……白い霧の中に佇む、




 ルーンの冒険日記の断片、そこに書かれている文字が、霧の中に浮かび上がっていきます。



 魔女の希望の聖痕と共に、“再生の聖痕”が出現!



 時の女神は、聖痕の少女ルーンの様に、吸血鬼の少女を創る。冒険日記の文字は、女神の魔力が付与されて、白い霧の小さな文字に変わる。



 聖痕の少女―白い瞳のルーンは、女神の極界魔術―再生の聖痕であり、神聖文字(神生紀の文字に魔力が付与されている)に魂が宿った、変わった存在だった。



 再生の聖痕が失われない限り、聖痕の少女は蘇生できる。




 希望の魔女ノルンが、未来に届けてくれたもの。


 “再生の聖痕”。それは、母の愛・母の呪い。女神の魔力が尽きない限り、聖痕は対象を蘇生させる。



 、女神の白い霧から、新たに肉体を創り出す。対象の意思は関係ない。霧の悪魔たちが献上した、人や魔物の魂を犠牲にして……対象の魂が消えない限り、何度でも、新しい肉体を創り出す。



 そして、今、女神の膨大な魔力によって、“再生の聖痕”―女神の極界魔術は発動した。霧の小さな文字は手や足になり、腰まである長い黒髪に変わっていく。



 霧の中に吸血鬼の少女が浮かんでいる。この少女は、ルーンの冒険日記の記憶を保持しているでしょう。



 時の女神は命じます。霧の奥深くに隠す様に……黒髪の吸血鬼の少女は、女神の終焉の時の中へ。天国から、白い霧によって過去へ運ばれていきます。



 女神はとても満足していました。ここまで希望が残り続けたことを……時の女神ノルフェスティは微笑みながら、愛しい娘が帰ってくるのを待ち続けます。



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 ※女神の終焉の時。Code3.第三の刻―審判の時から、時が進んでいきます。


『Code4.第四の刻-女神の白い霧』、『Code5.第五の刻-神生紀、12神の誕生』。

 神生紀。異界の女神が現れ、白い霧が生まれて、12の神が誕生した時代。人や魔物の神の加護のもと、人や魔物の文明は急速に発展した。数多くの宇宙船が飛び……転移装置によって、自由に12の惑星を行き来できた。異界の門を解明し、異界へと辿りついたとも言われている。



『Code6.第六の刻―騎士の軍勢。』

 12神は栄華を極めて、堕落した。神生紀の後期に起こった、「天上戦争」によって、6つの星が破壊される。堕落神……人と魔物は鎧を身に着けて、罪を重ねて、愚かな戦いを続ける。オーファンの騎士たちは、人の為に魔物と殺し合った。



『Code7.第七の刻―時の封印。』

 星という依代を失った神々は力を失い、女神の白い霧にのみ込まれる。残った神々も、悪魔の女神によって、第三惑星フィリスに封印された。




 そして、Code8~.第八の刻―最初の霧の人形。 

 

 人や魔物の神が封印されて、最初の霧の人形が現れた。最初の人形は、悪魔の大厄災を起こし、神生紀文明を滅ぼした。




 ここは過去の霧の奥深く。第八の刻―最初の霧の人形ウルズが誕生した場所に、吸血鬼の少女は現れた。




 私は、白い瞳の■■■・グローリア。


 悪魔の女神と同じ瞳。何もかも凍える冷たい白い瞳をもつ、吸血鬼の少女。腰まである長い黒髪は、白いリボンで纏めている。



 あれ、私また記憶を無くしてない? 名前の■■■が分からないんだけど。あの、ここどこ? 白い霧しか見えない。養母様おかあさま、どこにいるの?



『人形のノルンちゃん、どこにいるの? 教えて、私を一人にしないでよ!


 可愛いお人形ちゃん、私に力を貸してよ~。お願い、私の声に応えて!』


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