『迷い星、青い星テラとフィリス。異界の星、惑星ラス。』


①迷い星、青い星テラ。


 異界に存在する星。昔、テラの人々は、科学技術を発展させ……星の外に出ることにも成功した。大量の車が走り、飛行機が空を飛ぶ。高いビルが建ち並び……大都市では、人の建物がどこまでも続いていた。


 でも、テラの文明は滅んだ。テラの人がいなくなったから……。テラの人間は、まだ絶滅していない。テラの衛星、灰色の星に逃げ隠れている。


 悪魔の女神の白い霧。白い霧が、テラの人を……高いビルを、どこかに運んでしまった。だから、今は……テラには、人は住んでいない。高いビルは、塔の様な鉄の遺跡になってしまった。


 テラの鉄の遺跡。鉄は錆び、石は崩れて……遺跡の中に、光が射し込んでいる。ツル系の植物が、遺跡に絡みついていて。見渡す限り、森と海……雄大な自然が広がっている。


 時の女神の落とし物、天のピース。この欠片が、惑星テラに落ちたのは……テラの人類が誕生するより前である。テラの大樹は、この星で育って、テラの人と関りもあった。ただ、テラの人々が、魔術を行使できたという情報は残っていない。関りがあっても、少人数だけだろう。


 白い霧が、惑星テラを襲った時……テラの大樹は、巨大な透明な根で、星を覆った。テラに存在する、魂や魔力が失われない様にした。だけど、地獄の近くに封印されている、白い霧は……大樹の根を掻い潜り、人々を攫った。


 悪魔の女神が、人々を悪魔へと変貌させて……人々の魂と魔力は、白い霧に喰われてしまった。惑星テラの数少ない、“生き残り”は、テラを離れて……大気のない、灰色の星に逃げてしまった。



 その後、女神の影アシエルが創った、女神のレプリカ。ルーン・リプリケートは、惑星フィリスにあった魔物の大陸を、惑星テラに運び……星が揺れた。


 惑星テラの海水が、天高く昇り……宇宙空間まで到達。星の揺れは、テラの山々を崩し……巨大な津波が、海岸を襲う。根こそぎ、全てを奪っていく。惑星テラの海に、魔物の大地が現れた。テラの山々が、火を噴き……魔物の大地の山も噴火し、黒煙が立ち昇った。


 

 そして、テラの大樹は、青い瞳のノルンを、テラの神に選び……。悪魔の女神は、迷い星テラを、霧の世界フォールから遠ざけた。


 ノルンの星の核と惑星テラ。ノルンが、極星魔術を行使すれば……迷い星テラは、少女の声に応えて、白い人形の敵を撲滅する。




②迷い星、青い星フィリス。


 霧の世界フォールに存在していた星。この星の神は、聖神フィリス。人や魔物の営みは、女神の霧のシステムによって成り立っていた。火炎魔術のランプ。雷鳴魔術の昇降機。氷晶魔術の貯蔵庫など。女神の霧の研究が盛んに行われていて、12種類の上級魔術が発見されている。車や飛行機といった機械はなく……惑星テラとは異なる方法で、文明を発展させていた。


 女神のレプリカ、ルーン・リプリケートが……魔物の大陸を、惑星テラに運んだ為、魔物の数は急激に減った。


 神生紀の飛空船。空に浮く金属の船は、女神の霧のシステムによって動き、星と星を行き来した。人や魔物の文明が、高度に発展した……神生紀文明の遺物。聖フィリス教国は、13の飛空船を保有していたけど……。デュレス・ヨハン枢機卿の飛空船カーディナルは、軍国フォーロンドの首都バレルを襲撃した際に……。霧の人形、赤き魔女アメリアによって破壊された。


 悪魔の女神は、惑星フィリスを、異界に運び……聖神フィリスを地獄に落とした。聖神の依り代である、迷い星フィリスも地獄に落ちてしまい……。地獄の上層、星の墓場へ。今も……世界の底に向かって落ち続けている。




③異界の星、惑星ラス。


 異界に存在する星。光の女神フェルフェスティに祝福された星。魔物はいない。人の文明が繁栄している。テラの大樹曰く、『この星の魔力、少ない……システムが存在しない。』魔術が存在しない星である。


 強国グルムド。惑星ラスの中でも、科学技術が発展している国。戦車や戦闘機といった、鉄の兵器を数多く保有している。鉄の機械は、民間には殆ど普及していない。強国グルムドは、白い霧によって混乱した国々を、次々に滅ぼしている。


 水の都ラス・フェルト。小さな国の……小さな、小さな都。白い霧に襲われ、強国グルムドの軍隊に包囲されている。


 青い瞳のノルンが、迷い星テラを呼び……星が揺れた。惑星ラスの住人は、見知らぬ迷い星テラを目撃して……。悪魔の女神の霧は、惑星ラスを覆っていく。

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