ぽんぽん

あるまたく

柿の種を食べながら

 ポリポリ


 ジャスミンの香りが満ちた居間で、こたつに入っている。


「ねぇ、あられ食べたい」

「春まで待て」

「みかん取って」


 こたつの向かい側で突っ伏している身内に、みかんを転がす。

 頭に当たると、身を震わせ億劫おっくうそうに顏をあげる。


「……剥いて」

「剥けよ」

「一皮むぃ、何でもない」


 不穏な言葉が出かかったようだ。

 手元のハリセンが乾いた音を立てると、静かになった。

 頭を擦りながらミカンを食べ始める身内をよそに、個包装ちょうどいいサイズの柿の種を開けて口に放り込む。視線を感じる。


 ポリポリ


「今度は何だ?」

「それ、ちょーだい?」


 こたつの中で足を擦り付けながら言ってくる。冷たい。


「今日は、止まっていくのか?」

「ううん」

「……そうか」






















「お前、誰だ?」

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ぽんぽん あるまたく @arumataku

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