044  幼馴染と言うのはそれ以上、それ以下でもないⅨ

 次の日、昼食中にカフェリアで善政に会った。

「信司、昨日は散々な目に遭ったらしいな。お前は人が良すぎるんだよ。大体、あんなもんに巻き込まれる身にもなってみろって感じだよな……」

 パスタを食べながら、善政は面白おもしろおかしく言っていた。

「それにしても春の落ち込んだ表情……この目で見たかったな……」

 お前には言われたくない。

「それは残念だったな。そのおかげでお前の代わりに一人新たな犠牲者ぎせいしゃが出たぞ。その後、俺がどれだけ苦労したのか分かっているのか?」

 俺は激辛カレーを口に入れながら、度々冷たい水を飲む。

「それは災難さいなんだったな。でも、俺は悪くはない。あいつが勝手にしたことだ。責められる要因があるか?」

 少しは……ある。特に俺にな。何も言わないで勝手に逃げるなんて一言ぐらい伝言くらい入れてくれてもいいんじゃないの。

「それに……結局の所……どうなの……今日から静かに……なるん……だろうな……」

 食べながらしゃべるなよ。

「あら、奇遇ね。あなたもいたのね。その……昨日の私は忘れてもらえるかしら」

 冬月梓が食器プレートを持って一つ離れた席に座った。

 まあ、昨日の今日じゃこうなるわな……。

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