第3章 時には夢を見たいと思うことがある
017 時には夢を見たいと思うことがあるⅠ
例えば、こんな話がある。将来の夢は何ですか? 将来の夢なんて、夢のまた夢の話である。小さい頃はサッカー選手や野球選手、お花屋さんや
ま、そんな感じで人は大人になっていくにつれてドンドン、夢は変わっていくがそれを追っている事は確かである。俺は夢も希望もないし、信じてもいない。現実を知っているからな。たぶん、
「あれから、一週間。毎日のようにこの研究室にいて、一度も何もしていないような気がするんですけど」
俺は何事もなく、毎日のように授業が終われば、ここに来ては、大学の授業で習った
「ん? まあ、待て、天道。あと少しでイベントは空から降ってくる」
「は? 何言っているんですか。イベント? 空から? 馬鹿馬鹿しい」
「全く、本当に何のないなら私もここにいる価値はないと思うわ」
「静かに。今、空から降ってくる」
藤原先生は、真剣な目をして画面を
「……」
「なんだ、俺がこんなことをして何か悪いか?いいだろ別に悪いことしていないんだからさ」
「それ、ギャルゲーですよね。まさか、イベントと言うのはそれですか?」
「……」
先生は体を小さくして、俺から視線をさらす。
いや、それはいいですよ。先生の一種の趣味なんだし。でもね、勤務中に学校まで持って来てやることはないでしょ。一応、⑱禁ではないことはパッケージを見ればわかるしいいんですけど……。まあ、先生の意外な一面が見ることが出来てよかったです。
「
笑顔で微笑んでいる冬月は、それは、それは
「そう言うなら、ま、いいけど……」
「先生、お判りいただけましたか?これでいいですよね」
「あ、ああ。もちろん」
藤原先生の目は泳いでおり、心底後悔している様子であった。
「それはそれとして、何かやることはないんですか?」
「ああ、そうだ。今度な。俺の所に迷える子羊が相談しに来ることになっているんだ。たぶん、それがお前らの初の手伝いになるはずだ」
そう言うと、先生はパソコンの電源を切った。
次の日、授業が長引き、昼食の時間が少し遅れた頃。カフェテリアのカウンターには人の行列が長く続いており、どうにも時間的に不利な気がした。近くのコンビニには……まあ、パンぐらい買えば時間的には間に合うだろう。店内の中に入ると冬月がパンの棚でどれにするか迷っていた。
「お宅は何になさいますか?」
「ひゃ! な、何。何の用なの天道君」
小さな悲鳴と同時に振り返った冬月は、こちらを見てきた。足を震えさせながら聞いてくる。
「いや、俺もパンを買おうとして来ただけなんだが……。」
「そう。いきなり話しかけられたから驚いたじゃない」
「すみませんね。……これにするか」
俺は一番上の棚に置いてあるツナサンドを手に取ると、先ほど選んだオレンジジュースと共に列の最後尾に並んだ。
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