俺と恵さん
ポンポヤージュ66
プロローグ 俺と恵さんの関係
押切優。
押切グループを掌握する押切聡の1人息子。
いわゆる資産家ではあるが、フィクションに出てくるような豪邸ではない。
父の聡はもちろん、母の智も聡の仕事を手伝っており、仕事柄、家にいることよりも、違うところにいることが多く、多くても5人しか家にいないので大きくする意味がないためである。
そして、聡も智もいないこの家にいるのは、今年から高校生になる優と、その世話をするメイド、数寄屋恵の2人だけである。
数寄屋恵は今年誕生日を向かえて20歳になるため、優より4歳年上になる。中学を卒業とともに、押切家のメイドに就職しているが、メイド歴は15年ある。
つまり彼女は5歳からメイドの仕事をしていることになるが、それには理由があった。
2歳までは智が面倒を見ていたが、仕事が忙しくなり、どうしても聡のフォローを智がしなければならなくなり、ベビーシッターを兼ねて、メイドを雇うことにした。
そしてはじめは、恵の母で、当時30歳であった数寄屋望が雇われる予定であった。
ところが、当時5歳であった望の娘の恵に優がとてもなついて、離れなくなってしまった。
もともと母子家庭の望は、押切家に住み込みで働くことになっていて、娘である恵は一緒に住むことになっていたので、彼女ははじめ優のお姉さんとして、優と親しくなった。
恵も優を気に入り、母に学んで小さいことからメイドの仕事を勉強し始める。
そしてそのままメイドになり、母である望は、聡と智につき、恵が優の面倒を見ることが当たり前になっていった。
そうなり始めたのが、恵15歳、優11歳の時であった。
優も十分出来のいい子に育ち、手がかからなかったので、恵が1人いれば十分であった。
そのため、朝の時間帯以外は、家にいるのはほとんど優と恵だけになることが5年間ほど続いていた。
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