第3話 たとえるのならば、華。

薄暗い部屋に、細く輝く道が見える。

カーテンを開けると、たちまちそれは、大きな光へ飲み込まれる。

部屋に舞い散る埃は、まるで花弁のようで。


久々に見る太陽は、なんだか黄色く大きく見えた。

グラスに水を注ぐ。

冷たい水を飲み干して、もう一度。

今度は、光に透かして見る。

キラキラと乱反射して、まるで花弁のよう。


お気に入りの、黒いワンピースを着て、

お気に入りの、ヒールの高いブーツを履いて

買ったばかりの赤いコートを着て出掛けよう。

それは、さながら華のように美しく。


棘があるから、誰も近付かないでね。

あの人以外には、毒が反応してしまうから。

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