合う逢わない会います遭う時合えば愛

Twitter300字SS第55回お題「あう」より

(300字、改行・スペース含めず)


 見合いの席にいたのは、もう二度と逢わないと一方的に誓った相手だった。


「よう」


 着物、結構似合うな、なんて笑顔で言われても喜べない。小さい胸が跳ねたのは気のせいだ。


「写真と違う人いるんだけど」

「写真の方が代役。こうでもしないと、お前会ってくれないだろ」


 さあ見合いをしよう。と言われても大いに戸惑う。偶然嵐にでも遭った気分だ。


「私達、兄妹だよ」

「血の繋がらないな」


 初耳、である。

 嘘。だって。

 だから決心して家を出たのに。

 ただ最近、母が見合いしろしろ煩いから、一度だけと思って来たのに。

 あれ?

 ってことは、母もグルか!


「さて」


 兄だった筈の男が妖艶に微笑んだ。


「障害もなくなったところで、愛を語り合うか。愛しい人」


【了】

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