イケメンなんて大嫌い!
由友ひろ
第1話
「……めぐちゃん」
目の前には、とびきり可愛い、まるで天使みたいな子供が、両手を前に突きだして立っていた。
いやいや、その笑顔には騙されないぞ。
目の前にいるのは、天使の顔をした双子の片割れ。女の子ならセーフ。男の子ならアウトだ。
そっくりなのに、毎日同じ服を着てくるから、どっちか区別がつかない。
髪型くらいかえたらいいのに……。
あの手の中には、何が入っているのか?
愛実の好奇心をくすぐる。
女の子なら、ドングリや木の実、リボンや可愛いボタンだったりする。でも男の子なら……?
愛実は好奇心に負け、双子の片割れに近寄って行き、その手に顔を近づけて覗き込むと……。
「ウワーッ! 」
愛実は、自分の悲鳴で目を覚ました。
幼稚園のときの悪夢。
もう名前も覚えていないけれど、年小の途中から、年長の最初まで同じ幼稚園だった双子ちゃん。
キッズモデルができそうなくらい整った顔立ちの二人だった。そっくりな顔立ちのわりに性格は正反対で、女の子はおっとりとしておとなしく、男の子はヤンチャでイタズラ好きだった。
なぜか愛実ばかりをターゲットにし、愛実の嫌いな虫やカエルなどを手にして追いかけてきたり、愛実の靴箱に泥団子を詰め込み、お気に入りの靴を泥まみれにしたりしていた。
これらのことがトラウマになって、愛実のイケメン嫌いが確立していた。
あの夢の続きは、カエルが愛実の顔に張りついて……。
いつもなら時間ギリギリまで布団にしがみついて、夢の続きをまどろむ愛実だが、今朝は早々に布団から抜け出して、真新しい制服に着替える。
高校生になって半月、愛実の平々凡々なJK生活がスタートしていた。
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