下剋上教室

織結

第1話新学年

 桜が舞う4月。

「もう2年生だね〜」

 一緒に登校していた、親友の八神紅音やがみあかねがそう呟いた。

「1年生、意外と早かったなぁ。」

 私、桐山桃香きりやまももかは紅音の呟きにそう返事をした。

 私達は今日から女子高の2年生。

 紅音とは高校に入学してから知り合って、親友と言えるくらいまで仲良くなっていた。

 同じクラスになれますように…。

 そんなことを思いながら、歩いていた。



 学校に着くと、生徒が集まってワイワイ騒いでいる場所がある。もうクラス替えの結果が張り出されているのだろう。

「いよいよだね…。」

「うん…。えっと、私は…」

 少し不安になりながらも、私は自分の名前を探す。

「私は…4組だね。」

「ほんと!?私も4組!」

「やった!今年も一緒じゃん!!」

 私は喜ぶ紅音と手を合わした。



 紅音と話しながら4組に向かう。

「あ、他に誰がいるのかな?」

 紅音と同じクラスだったことに喜んで他に誰がいるのかを見ていなかったことを思い出す。

「まぁ、大丈夫じゃない?教室に行けば分かるしさ。」

「スグに分かるか。」

 私はそう言い、紅音に笑いかける。

 4組の教室に入ると、既にいくつかのグループに分かれていた。

 部活が同じ同士のグループ、趣味が同じ同士のグループ、人それぞれだ。

 私と紅音が席に荷物を置いた時、教室のドアが「ガラガラッ」と開き、教室内の空気が少し変わったのが分かった。

「普通の奴らばっかだなー。」

「別にいいでしょ。」

「眠いし何でもいいよ…。」

 入って来たのは3人組。

 クラスメイトを見て、肩を下げたのは伊藤雅いとうみやび。焦げ茶のセミロングの髪をコテで巻き、化粧は普通より少し濃いめにしている。性格は3人の中で一番活発的で楽しいことが好きだと聞いたことがある。

 雅に溜息をついたのは如月琉依きさらぎるい。栗色の長髪をポニーテールで結び、化粧の濃さは一般的だ。性格は冷たいことで有名。

 欠伸をするのは空閑柚稀くがゆずき。黒のショートで前髪が長く片目が隠れている。化粧はかなり薄め。性格は気分屋。

 この3人は所謂、不良とかヤンキーに属する。

 1年の頃も他校と喧嘩したりとかでかなりの問題児とされていた。

 3人が席に着くと少しずつ教室内はまた騒がしくなっていった。



 そして、次にドアが開いた時、教室内は琉依達の声だけとなった。

 教室内に入って来たのは2人組。

「うわ、何このクラス。」

 思いっきり愚痴を吐くのは峰本沙月みねもとさつき。パッチリ二重、小さな顔、すらっとした手足、サラサラの髪、容姿はよくモデル業にも就いている。しかし、性格はとても悪い。

「変な人ばっかじゃーん。」

 ケラケラと笑うのは広瀬雪奈ひろせゆきな。明るい茶髪は左右で編み込みされている。化粧はバッチリ、ネイルも手間のかかりそうなほどの出来栄え。

「ねぇ、雪奈。あの2人は?」

「あー、めぐと綾?あの2人なら先生に部活継続届出しに行ったよ。」

「そっか。」

 雪奈の話す「めぐと綾」とは、本郷ほんごうめぐみと鈴木綾すずきあや。二人はバド部とバスケ部に所属していたはずだ。

 めぐみと綾を含むこの4人組もかなりの問題児。

 嫌な先生を精神的に追い詰めて追い出すし、嫌な生徒は徹底的にいじめる。

 でも、みんな逆らえないから1年生の頃は1軍だった。

「何か凄いクラスだね…。」

「うん…。」

 このクラスは大丈夫なのかな…。

 そんなことを思ったが、私はきっと大丈夫だと言い聞かせ、考えないことにした。

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