77話「正月」
年越しまでカウントダウン10秒
10.9.8.7.6.5.4.3.2.1──0
「あけましておめでとう」
「あけおめー!」
愛花と一緒に年越しをして、お互い新年の挨拶を交わした。
「今年もよろしくね」
「よろしくお願いします」
新年を迎えたので近所の神社に初詣に行くことにした。コートを着て、マフラーを巻き神社に向かう。
初詣は結構な人がいた。巫女さんが行ったり来たり忙しそうに動いている。
僕達は巫女さんから甘酒を貰い夜の肌寒さを温める。
「ふぅ⋯⋯」
「温かいね〜」
「そうだね、生き返る」
「参拝して帰ろっか」
「そうだね」
参拝客の一番後ろに並び順番待ちをする。
どんどん順番が進み、ついに僕達の番になった。賽銭をしてお願い事をする。
今年1年問題のない1年過ごせますように。
あと愛花と喧嘩⋯⋯いや、なんでもない、これは神様に頼むことじゃないね。
そうして僕は目を開け隣を見、まだお願いしている愛花を待って列を開けた。
もう帰ろうと思っていると、階段から見知った顔の子が見えた。向こうも気づいたようで近づいてきた。
「あれ、先輩じゃないですか、あけましておめでとうございます」
「佐宮さんかあけましておめでとう」
厚めの赤いジャンバーを着てる割には下は膝上スカートという寒くないのかって格好をしてる。
「あけおめー!」
「麻那辺先輩もあけましておめでとうございます、2人揃って初詣ですか?」
「うん、そうだよ、明日⋯⋯今日は昼から帰省するからね。来れるうちに来ておこうと思って」
「なるほど!麻那辺先輩も行くんですか?」
「うん!そだよー両親海外だし、帰って来れないって言ってたから、玲央君の家に行くことしたよ」
「ほほう、それは楽しそうですね」
「うん!緊張もあるけど、三日間くらいいる予定なんだ」
「いいですねー、私は読書漬けの日々ですよ⋯⋯あ!そろそろ行きますね」
「またねー!」
「失礼します」
佐宮さんはそのまま参拝列に並びに行ってしまった。僕達はそのまま帰ることにした。
「いやー佐宮ちゃんいい子だねー」
「そうだね、読書に関しては好みが合うから話しやすいんだよね」
「そうなんだね。私は玲央君の好みは知らないからなー、今度教えてよ」
「今度ね⋯」
他愛もない話をしながら部屋に戻る。今日もはやく起きて準備をしないといけないので解散して寝ることにする。
朝、目が覚めてご飯を食べて準備をする。用意するのは特にないけどね。家で作った伊達巻を持っていくくらいかな、後は実家に行けば少しなら着替えもあるし大丈夫だ。一番荷物が多いのは愛花の方だと思う。
それからそろそろ出る時間になったので玄関を開けると愛花が待っていた。白のロングコートを着て大きなボストンバッグを片手に立っていた。
「ごめん、お待たせ、荷物持つよ」
「ありがとう」
愛花から受け取ったボストンバッグは一体どれだけ入れてるんだってくらい重かった。
「忘れ物がなければ行こうか」
「大丈夫、行こう」
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