夢紀行

ナギラセツ

異土のナスカ

風車が廻っている。煉瓦を積んだその上に布の羽が廻っている。

低い位置を砂埃と風が吹いている。


この土地には天気がない。空はいつも白く明るい。

足元は一面赤土の大地で、視線を上げるとそこに一つだけ風車が廻っている。


見れば赤土には溝がある。

目が溝を追う。すると溝は線になる。

線は繋がって図となる。


あの乾いた地の、巨きな鳥が、この土の上にも飛んでいる。


ふと私は風車の仕組みを理解した。

この風車は風などの力では到底廻るものではなかったのだ。


男が嬉しそうな顔をした。

かたわらでは煮炊きの火が燃えている。兎の肉が焼けている。


どことも知れぬ赤土の上で、風車が廻っている。

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