鳥肌が立つ。

朝5時,まだ真っ暗で薄ら寒い。


夜「…さっむ」


秋の朝はこれから来る冬の恐ろしさを感じながら,学生にとってはただの地獄。

私はのろのろと布団を剥ぎ取った。


居間のテーブルに置いてある1000円札と

丸文字で書かれたメモ。

体罰など非人道的な事を私にする訳でもなく

曲がりなりにも1人で私を育ててくれたママにはとても感謝してるけれど

彼女は"母"ではなく1人の"女"であって

時たま私を育てる事を忘れてしまう。

母が朝,家にいるのは稀で

そんな冷えた家庭が幼い頃は嫌だったけれど


夜「1日分の食費でこれはキツいって,ママ」


この歳になると,ただ寂しさしか感じない。


元々透けるように白い顔に

化粧下地とコンシーラー

お粉とビューラー

自分の嫌いな所をベタベタと隠していく。

学校はメイク禁止だけれど

頭を散らかせた教師達は

私がまさか化粧なんて,と

有り難い思い込みをしてくれている。

監視員のように鼻をヒクヒクさせて

女子生徒の周りをうろつく女の教師だけ

気にかけてやればいい。


ポケットの中のスマホが音をたてる。

きっと彼氏からの連絡だろう。

バスに乗り遅れないように

焦り気味で文面を見る

『おはよう。はやく夜に会いたい 』

簡単に言って鳥肌が立つ。

彼氏の胸きゅんワードを何故嫌悪するのか

全世界の女子から叩かれそうだけれど。

違う。私は人に恋する事を知らない。

私はア・ロマンティックなんだ。



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