第三章 春季下越地区大会 四 試合当日

 第一クォーターが終わると、日下部が指示を出すまでもなく、全員が立ち上がった。


 目の前で繰り広げられていた試合は互角の勝負をしていた。そう言う意味では、面白い試合であったかもしれない。しかし、山並のメンバーから見れば、対戦相手はこの二チームのどちらでもないのが、もう分かったみたいであった。


「ユニフォームに着替えたら、ウォームアップの開始だ」


 日下部はそう言うと、階段を上り始めた。

ウォームアップは体育館二階に設けられているランニングコースを使用した。まずは軽く走り、その後(ご)はストレッチング。メニューは少なかったが、これを行っただけであっという間にハーフタイム三分前になった。


 一階出入口のドアが開くと、山並のメンバーが姿を現した。


 コートではまだ試合が行われていた。


「向こうも出て来たぞ」


 鷹取がそう言うと、洋も視線を移した。


「結構、デカい選手もいるなあ」


 村上商業とはかなり実力差があるのを洋は先輩から聞かされていたので、それほど背の高い選手はいないだろうと勝手に推測していたが、実際はそうでもなかった。


 第二クォーター終了の笛が鳴った。


 と同時に、村上商業のメンバーはコートへと入って行った。


 それに対して、山並のメンバーはコート上の選手が全員外に出てからコートに入った。


 村上商業は各々ボールを持ってシュートを打ち始め、しばらくしてからランニングシュートを始めた。

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