第三章 春季下越地区大会 一 新しい部員

 利き腕である左肩の打撲なので気にはなる。アザもまだ引かない。しかし痛みはもうない。これなら、行ける。


「矢島」


 洋はドキッとした。先生の声だ。


「はい」


「逸る気持ちは分かるが、無理はするな。こう言う時こそ、イメージトレーニングを大切にしろ」


「はい」


「それより、もう全員集まっているか?」


「いえ、まだです」


「そうか」


 と言うと、藤本はその場に立ったまま、腕組みをした」


 やがてメンバー全員が揃い、各々ストレッチを始めた頃、


「先生」


 と、藤本を呼ぶ声が出入口の外から聞こえた。藤本は振り向くと、


「そこで待ってろ」


 と言って、


「全員集合」


 と、メンバーを呼んだ。


 藤本を囲うように、メンバーが集まった。


 隣のコートでは、女子バスケット部がランニングを終えて、フットワークの練習を始めたところだ。


 その光景を挟んで、夏帆が洋達を見ている。


「突然だが、今日から新しい仲間が加わったので皆に紹介する」


「えっ?」


 さすがに藤本のこの発言には、メンバーの誰もが驚きの声を上げた。


 洋は、鷹取が何か知っているのでないかと言う感じで彼を見上げた。


 鷹取は首を横に振った。

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