第二章 新しいユニフォーム 六 エースの風格

 目の自信が何に裏付けられているのかは分からない。それは彼の生まれ持った才能かもしれないし、弛(たゆ)まぬ努力かもしれない。何(いず)れにしろ、それに菅谷の明るい雰囲気と洋の一言が、勝てると言う自信に勢いを付けた。


 チアリーダーの演技が終わった。


「何だ、もう終わったのかよ。ちょっと見たかったな」


「菅谷さん、余裕ですね」


「矢島だって見たかっただろ」


「俺には、そんな余裕はないですよ」


 と言うと、洋はふと夏帆がいる方を見た。


 洋は思わずドキッとした。


 夏帆がじっとこちらを見ている。


 洋はつい視線を外してしまった。まさか、このタイミングで目が合うとは思ってもいなかった。


《俺、何か怒らせるようなことしたかな?》


 白チームがコートに向かい始めた。


 それを見た笛吹は、


「行こうか」


 と、メンバーに向かって呼び掛けた。

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