第二章 新しいユニフォーム 五 練習試合

 鷹取、清水、立花の三人はスコアボードと机・パイプ椅子を持って、他の皆よりも先に用具室を出た。


 洋と鷹取以外のメンバーは今日ユニフォームが届くことを知っていたようなので、受け取った時の心構えはあったであろうが、洋は全く知らなかったので、自分のユニフオームを手にしてもまだ実感が沸かなかった。地に足が付いていないと言うのか、どうしてもドッキリの感じが否めない。先輩達はさっさと着替えているのに、洋はまだ背番号17番をじっと見つめていた。


「矢島、何やってる。早く着替えろ」


 早田が洋を急かした。


「あっ、はい」


 洋は慌てて着替え出した。


 着替えるのが遅かったので、用具室から最後に出て来たのは洋だった。


 他のメンバーは既にコート上に立っていた。


 しかし、驚いたのはそんなことではなかった。隣のコートにはユニフオームを着たチアリーダーの面々が控えていた。


 洋は条件反射的に夏帆を探した。夏帆は体育館脇に他の一年生と一緒に立っていた。


「矢島、やっぱりお前が一番派手だな」


 藤本は洋を見ると開口一番そう言った。


 ロイヤルブルーのユニフォームに真っ赤なバスケットシューズ。誰の目にも洋の姿は一際目立った。


「僕は目立とうと思ってこのシューズを買ったわけではないので。それにこんな派手なユニフォームが新しく作られるなんて知らなかったですし……」


「何言ってる。派手なのはシューズだけじゃないだろ。プレーだって、お前が一番派手なんだから」


 と、菅谷がニヤニヤ笑いながら言うと、


「一番目立ってるのは目でしょ」


 と、反論した。


 すると、目が、


「いや、矢島には負けてると思うよ」


 と、クールに言い返した。


 それを聞くと、その場にいた全員が笑った。


 しかし、当の洋だけはどうしても納得がいかないようで、口をへの字に曲げた。しかし、今更プレースタイルを変えることは出来ないので、こればかりは仕方がない。

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