第一章 高校バスケット部、入部 三 キーマン
互いの挨拶(あいさつ)が終われば、事前連絡通り、早速バスケットシューズの紹介をするところなのだろうが、鈴木はそうはせず少しの間二人を見た。と言うより、観察していると言うのが正確な表現だった。
「二人とも、藤本さんにスカウトされたんだよね」
鷹取は「はい」と返事をしたが、洋は答えなかった。
「鷹取君は藤本さんでなくてもスカウトするだろうな。身長もさることながら、横もある。これなら、押し負けることはないだろう。君に才能があればプロも夢じゃないと思うよ」
「本当ですか?」
鷹取は素直に喜んだ。
「問題は君だ。高校でするにはちょっと小さいよな」
「それは自分でも分かっています。僕は好きなバスケットが出来ればそれでいいです」
「でも、藤本さんはそう思ってないよ」
「そうなんですか?」
「そうでなければ、スカウトなんてしないだろ」
「でも、先生はまだ僕のプレーを見ていないですし……日下部先輩の話を聞いただけですから」
「そう、そこなんだよ。藤本さんはどちらかと言えば自分の目で確かめるタイプだと思うんだが、君の場合はそうじゃない。だから、すごく興味があるんだよ。もし、君が藤本さんの考える通りのプレーヤーだとしたら、君は間違いなく藤本バスケットのキーマンになる」
「キーマンだって、すげえな」
「そんな事ないって。期待外れに終わるって」
「まあ、答えは二週間後にある春の公式戦で分かるよ。じゃあ、シューズを見るか」
と言うと、鈴木は二人をシューズ売り場へと案内した。
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