ブーケの伝説
勝利だギューちゃん
第1話
「ねえ、この花の名前わかる?」
「この花?うーん、わからないな・・・知ってるの?」
「もちろん、女の子なら、皆知ってるよ」
「教えてくれる?」
「うん、教えてあげる。この花の名前は・・・」
夢を見ていた。
懐かしい夢を見ていた。
小学生の頃か、いやもっと後だな・・・
「花の名前か」
「おーい、裕哉、準備出来たか?」
下から両親の声がした。
「ああ、今行く」
俺は、下へと降りて行った。
「おい、いくら向こうで着替えると言っても、晴れ舞台だ。
もう少し、正装しろ」
「いいだろ?別に」
「仕方ない、行くか・・・母さん、博之行くぞ」
「はーい」
博之とは、俺の弟だ。
親父の運転する車に乗り込んだ。
「しかしあれだな。あんなに小さかったお前も、とうとう嫁さんを連れてくるのか」
「知らないわけではないだろ」
「でも、あの子がよくお前のところに来てくれたな」
「悪かったな」
照れ隠しに不貞腐れて見せる。
今日は、俺の結婚式だ。
今、式場に向かっている。
相手は、幼馴染の女の子。
双方の話し合いで、今日は式のみ。
披露宴は後日行われる。
車で30分ほどして、式場に着いた。
真っ白な、チャペル。
俺は、真っ白な教会で結婚式を挙げると言う少女趣味を持っていた。
そして、係の人に部屋に通された。
ここで、タキシードに着替える。
真っ白な、タキシードだ。
窮屈だ。
しばらくして、部屋をノックする音がした。
返事をすると、ウエディングドレスに身を包んだ、女の子がいた。
今日から、俺の奥さんとなる、幼馴染の女の子だ。
「どう、裕哉くん?」
「とても、奇麗だよ」
「ありがとう。でも、窮屈だね」
「俺もだ」
ふたりして、笑う。
今日から毎日続くのかと思うと、何だか顔が綻ぶ。
「じゃあ、今日からよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
昔から仲だが、なんだか照れくさい。
そして、式が始まった。
今日から奥さんとなる女の子は、自分の父親、つまり俺の義父と入場する。
そして、俺に引き渡される。
そして、神父さんの前まで歩く。
神父さんの親交で、式を済ませた。
彼女の手には、ブーケが握られている。
「その花は確か、コチョウラン?」
「うん、覚えていてくれた?」
「もちろん」
「ありがとう」
教会の外に出ると、大勢の友人知人が出迎えてくれた、
白い鳩が、空へと放たれる。
そして、彼女はブーケを投げた。
コチョウラン
花嫁が持つ、ブーケによく使われる花だ。
彼女が投げたブーケを誰かが受け取った。
花嫁が投げるブーケを受けとった女子は、次にお嫁に行けると言う。
ぜひ、幸せになってくれる事を祈る。
ブーケの伝説 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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