光に差す黒の永黒

ri-ta

第1話 混沌への導き

世界には大きく分けて二つの世界が混在する。

一つは、私たちが住む世界いわゆる表の世界

もう一つは、ヤクザや色々な怖い人たちの住む裏の世界

この原理は、異世界に行こうと、パラレルワールドに行こうと

現世界にいようと、絶対不変の理なのである

一体、どうしてなのかこの答えを見つけるのは至極簡単なのである

生物がもつ〝感情″が原因なのである・・・



「おい、このクソガキまたどこからか紙切れを拾ってきやがって

 そんなことしてねぇで酒買ってこい」

「はい」


ズキィ 立ち上がろうとするだけで全身から悲鳴が聞こえてくる

自分はどうしてここにいるのだろう。痛みを感じるたびにこう思う。

逃げようか、そう何度思ったことか。しかし自分の中にGPSがある。

これを知っただけで心を折るには十分だった。


(そろそろ行かないとまた殴られる・・・うっ)


頭部に今まで受けたことのない衝撃を感じ、一瞬にして視界が赤く染まった

何が起きたんだろうか。状況が一切感じとれない



「はっ お、お前が悪いんだ俺の言うことを聞かないおまえが、、、

 そうだ俺は悪くないおら起きろ早くおきろ」


ドカァ、最後に腹に向けて蹴りを入れられる

僕はもう何も感じなかった。ただ何が起きたのか分からなかったからか

それとも意識が朦朧としているからか、けど僕自身どうでもよかった

なぜか、この苦しみから解き放たれる 確信が持てていたから



「君は死にたいのか?それとも殺されたいのか?」

「僕はもう疲れた」

「そうか ならお前はこの人生をどう思った?」

「どうって そんなことも考えたくない」

「ふん 今までの奴とは一味違うな」

「もうやめてほしい僕は寝たいんだ」

「ほお 寝たいだと、笑わせるなこの私が聞いている」

「死にたいのか?殺されたいのか?」

「わかった 僕は殺されたい」

「フハハハハ そうか殺されたいと願うか面白い」

「ではひとつ教えてやろうお前はもう・・・」


ドクン、、、今まで感覚のなかった体から鼓動を感じる

どうしてだろう今まで感じたことのない感覚を感じた

うすらうすら目を開けてみる、おかしいどうして目が開くのだろう

最後に視界が赤くなってからは開けていない

うっ・・・なんだ眩しい


「こ、これは・・・ 一体どこなんだ」


目を開けた先にあったもの、太陽いや太陽である何かだ地球ではありえない

恒星は太陽系では一つ、目の前にあるのは二つの太陽だった。

ここは地球ではないどこかということは確かだった

(そうです。ここは地球ではありません)


「だれ?」


おかしい、確かに声が聞こえたはずなのに見渡すも広がるのは

広大で見渡しの良い草原が広がっているだけ

(わたしはここにはいません。このまま東に進んでください)

いない?ならこの声はどこから聞こえてくるんだ

行くあてもない。仕方なく東へ進もう

くっと力をこめる

(あれ 体が痛くない)

自分の体を改めて見てみる。今まで受けてきた傷がない

それどころか痩せこけていた体がしかっりと肉が付いていた


そこまでいい方では無いが、今まで虐待を受けてきた体には

到底見えなかった。

まあいい、とりあえず東の方に行かないと

新しくなった体をもとに東に向かい足を進めていった


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


あれから30分いや40分ぐらい歩いていた。すると3、4キロ先だろうか大きな

岩壁にひと1人入れるであろう洞窟の入り口が見えた

(あの声が言っていた通りなら、あの入り口がそうかな)

洞窟が近づくにつれ洞窟の前になにか立っている

“君は信じるのか  神を”

こう書かれていた。

まず神様がいるなんて、考えたことがなかった

とりあえずは先に進まないと声の正体を掴めないな

速度をを落とさず洞窟の中へと入っていく


洞窟の中は外と比べ少し肌寒かった。といっても

水気も風が強いというわけでもなかった。こうこの場所

自体が全くの違う世界みたいなところだった

少し進んだところで、地下へと続く階段が出てきた

階段はそんなに長く続いている様子はなく淡々と下っていく

下りきった先には大きな円形の部屋だった

(行き止まり・・・)

部屋の中心まで進むと床全体が突如輝きだした

同時に部屋全体が呻きを上げ部屋全体が揺れ始めた


グオオオオォォォォォォ

空気までをも震撼させる雄たけびとともに目の前に

怪物の形が形成されていく

それはまるで目の当たりにしただけで万物が震えあがり

絶望を与えるには十分すぎる形相をしていた

(こいつが僕に声を)


クオォォォォォ

甲高い咆哮をあげる

(うぅ耳が壊れそうだ、、)

プツンという音とともに音という情報が一切遮断され

平行感覚が一瞬にして失ってしまう

怪物にはそれだけで十分だった。


「あっ」


怪物の腕が瞬く間に自分の体を貫いていた

体の奥深くいや体全体が熱くそして重い

目の前の怪物はまだ僕の体を刺している

(なんだ、こういう事だったのか)

こういう体験はここで目覚める前に経験していたことを

思い出す。

(あの時、僕は死んでいたのか。)

ここでようやく自分は一度死んでいたことを悟った

これで誰もが僕に関わることはない。なら

理不尽な暴力も、理不尽に貶されることもない


ようやくゆっくり休むことができるんだやっと

うぅ なんだ体が無理やり引き起こされる

(はっ、、、今のはいったいウグッ)

下半身と上半身が半分こになっていた

(やばい、これはさすがに)

内臓は地面にぶちまけられ、それを怪物が面白そうに

踏みつぶし遊んでいる。

もはや大量の血液が失われ力を入れるどころか

なにも考えることもできずただ起きている惨状を

目で追うだけが限界だった。

(僕はどうして、死ねないんだ)

僕はひたすらに考えていた。ん?

さっきまで何も考えるこができなかったのに

どうしてなんだ?しかもよく見ると

怪物が僕を見て怯ええているのか?


いやいや僕は死にかけていたんだ。そんなことはありえない

まずは体の!?

確かに引き千切れていた。なのにだ

その引き千切られた胴体が元に戻っていた

(どうして、、、)

グォォォォォオオオ

そうだったまだあの怪物がいたんだった。

どうすればここを突破できるんだろう

辺りを見渡してもそんなに都合よく武器になりそうな物なんて

あるはずもなかった

とりあえずは怪物の攻撃が当たらないように部屋を

グルグルと距離をとるように逃げた


やはり相手もただの馬鹿ではなく先読みして攻撃

してくる。

(もうダメだ。体力がもたないな)

地球ではずっと監禁され外に出れるのは

買い出しの時のみ、体力があれども使い方温存の仕方

など適切にできるはずもなかった

体力の限界も近づき足がもつれた。

この隙を逃さずまたも体に怪物の腕が突き通る

激痛が走った。そしてよく見ると怪物の手の中には心臓があった

(へえ心臓ってこんな形してるんだ)

自分の意識は完全に落ちた


「フハハハハハどうだ殺されるのは」

「僕はそんなのどうだっていいんです早く楽にしてもらえませんか」

「ほう、その割には随分と逃げ回っていたじゃないか」

「あれは体が勝手に動いたというか、、、」

「勝手にねぇ フンお前はやはり見ごたえがある人間だ」

「はあもうそろそろ寝たいのですが」

「ハハハハハ、まだ気づいとらんのかまあいい後々知ることになる」

「それはどういう事ですか?」


「はっ、ゴホッゴホ」


どうしたんだ?

グルルルル

怪物?どうして・・・そうかまたあの時のように

本当は死んでいなかったのか

ふと右腕に違和感を感じた

右手には拳銃が握られていた。

(どうしてこんなところに拳銃が?)

こんなものあいつから呼び出されたときにテレビで

ほんの少し見ただけだった

使い方はおろかどういった代物か分からなかった

(これはどうやって使うものなんだこのツッパリを引けばいいのか)

カチッ カチッ カチッ

あれ、どうして何も起きないんだ

シャァァアアアア

あ 気づかれた、逃げないと

バチィ


「うわぁ」


拳銃は部屋の片隅の方まで飛んでいきカチャと嫌な音を立て転がって

いった。

(もうあれは使えないな)

ほかに何かないかと探してみるも何もない

見つかったのは手が折れたということだけだった

またか・・考えるのも面倒になってきた。さすがにもう死ねるだろう

そう思えることができた。

頬に強烈な衝撃感じ壁に激突、目の前はいまだ焦点が合わない

(ああ懐かしいなこの感じ)

カチャ・・・左手になにか冷たい塊があたる

ゴォォォオオオオオォォ

大きな雄たけびを上げこちらに向かって全力で駆けてくる

どうやらもう一度とどめを刺しにくるようだった

左手を前に向け引き金を引いた、、、

目の前は赤く染まり、意識は暗闇に落ちた

ああ、やっと眠れる。。。




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光に差す黒の永黒 ri-ta @sanshin105

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