ジーク・ガリウスの成長譚

男二九 利九男

プロローグ もうスタート済み?

 ある日、「えーっ・・・と?」平原のど真ん中で僕は、今ゴブリンに苦戦している。何故こうなっているのかというと・・・。「ギアアア!」って言ってる場合じゃないだろ!?「ああ、もう!」師匠め・・・、帰ったら絶対、文句言ってやる・・・!僕は、武器を構えた。


 数分後・・・。「くうーーー!うめえ!」戦った後のポーションは最高だぜ!名乗り遅れたが、僕の名前は、ジーク・ガリウス。ドSな女剣士にしごかれている修行中の戦士だ。・・・その修行の一環として、この危険な平原に剣1本、盾1個で拉致された。ポーション持ってきてて良かったああ・・・。さっきは、牛型のモンスターに追いかけられたし・・・僕は誰に言ってるんだろ?





 「おい。」俺は、辺りを見渡した。「気のせいか・・・。」こんな平原に人がいるわけないよな・・・。「おい!」今度は、後ろを向いた。「やっと振り向いたか・・・。」そこには、ゴブリンがいた。「・・・うん。」いやいやいや!ないって!しゃべるゴブリンとか・・・。


 「おーい。大丈夫かー?」ゴブリンは、僕の顔の前で手を振った。「うわあああ!?」僕は、ゴブリンの顔を思い切り殴った。「うべら!?」ゴブリンは、後ろに吹き飛んだ。「あ。」・・・つい殴ちゃった。「・・・。」・・・しばらく、様子を見ることにした。


 「うーん・・・ん?」ゴブリンは、目を覚ました。「・・・起きたか。」「うお!?」その瞬間、ゴブリンは座ったまま後ろに下がった。何故なら・・・。「元気そうで何よりだよ。」僕が剣を構えていたからだ。「ま、待て!話せば分かる!」ゴブリンとの話し合いが始まった。





 「なるほど・・・。」話によると、ゴブリンはこの平原で暮らしているそうだ。そして、たまたま僕を見つけて声を掛けたそうだ。「やっと分かってくれ・・・うお!?」僕は、剣をゴブリンに振り下ろした。「お、お前、分かってないだろ!?」ゴブリンは、素早く避けた。「チッ!」「舌打ち!?」ゴブリンは、鋭いツッコミを入れた。


 「そういえばさ。君、名前あんの?ちなみに僕は、ジーク・ガリウス。」僕は、話題を変えた。「謝罪の代わりにそれかよ・・・。」ゴブリンは、ため息をついた。「・・・ねえよ。モンスターにそんなもんは。」「そうか・・・。」僕は、剣を構えた。「なんでだよ!?」ゴブリンは、また鋭いツッコミを入れた。


 「名前がないのは不便だな・・・。」僕は、名前を考えることにした。「うーん・・・。ゴブ野助・・・。」「絶対に嫌だ。」ゴブリンは、すぐさまそう返してきた。「うーん・・・。ゴブタ・・・。」「それは、某転生スライムだろ。」ゴブリンは、よく分からないツッコミを入れた。


 「うーん・・・。もう、ゴブでよくない?」「妥協かよ!」ゴブリンは、ため息をついた。「・・・それでいいよ。」ゴブリンは、諦めたように言った。という訳で、このゴブリンの名前はゴブで決定した。「イエーイ!」僕は、真顔で拍手した。「誰に言ってんだよ・・・。」ゴブは、ため息をこぼした。





 すると・・・。「おい!」「・・・え?」僕は、恐る恐る後ろを振り向いた。「し、師匠!?お疲れ様です!な、何の御用でしょうか?」僕は、敬礼した。この目の前にいる黒髪長髪美女が僕の師匠、ミランダ・カーミラだ。「・・・見に来ただけよ。」師匠は、笑顔でそう言った。


 「・・・お前の師匠か?結構な美人じゃん。」ゴブも笑顔でそう言った。「お前、怖いって言ってたけど・・・!?」僕は、思いっ切り腹を殴られた。「ジーク!?」ゴブは、僕に駆け寄った。「何でゴブリンがいるのかしら?」師匠は、指を鳴らして言った。「あの・・・えっと・・・ちょちょ!いやあああーーー!」ゴブの悲鳴が平原に響いた。


 「師匠、このゴブリンはですね・・・。」「回復はやいな・・・。」僕は、正座をし説明を始めた。「なるほど、そのゴブリンと仲良くなってゴブと名ずけたと・・・。」師匠は、納得してくれたようだ。「喋れるなんて珍しいわね。」師匠は、今度はゴブに話しかけた。「ま、まあ。変な男に何かされてその日から・・・。」ゴブは、そう説明した。





 すると・・・。「・・・どんな男だった?」師匠の表情が一変して険しくなった。「え、えっと・・・。白髪短髪で・・・青い瞳に・・・。」ゴブは、必死に思い出した。「あ!左目の周りに瞳と同じ色の変な紋章が入ってました。竜の!あと、右腕が包帯とその上から革手袋をつけてました。」ゴブの話を聞いて、師匠は、少し考えていた。


 「なるほど・・・。」師匠によると、世界ではモンスターが大量発生し、人々に危害を加えるということが頻繁ひんぱんに起こっているらしい。そのどれもが、ただ暴れるのではなく、作戦を立てた上で行動しているらしい。そして、その原因はゴブが言った紋章男でわないかと言われているそうだ。


 「ていう訳だから、あなた達にも紋章男について調べてもらおうかしら・・・。」・・・今なんと?「えっーと・・・?これね。」師匠は、何か巻物を取り出した。「師匠それは・・・。」師匠は、巻物を広げた。すると、何やらゲートが開いた。「あの師匠・・・?」僕は、嫌な予感がした。


 「ほい。」僕は、ゲートに投げ込まれた。「え!?ちょ、師匠おおおおおおおお・・・!」僕は、遥か彼方に飛ばされた。「ゴブ。」ゴブは、逃げようとしたが・・・。「うわああああああああ・・・!」・・・遥か彼方に飛ばされた。「これで一見落着ね。」師匠は、ゲートを閉じた。「これ一回しか使えないけど・・・、行き先はランダムだしまあいっか。」・・・こうして、僕の冒険が始まった。

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