LEVEL∞の『神』

@ieie0805

第1話

ギギッギギギギッ

 一人の少年を4m級の人型人形が何十体も襲い掛かる。

 少年は目をつむって人形の攻撃をほとんど体勢を崩す事無く避け、右手に持っている片手剣で腕を斬り、もう一体が攻撃しようとすれば、腰に装着している銃で撃つ。

 撃った弾は人形の体を貫き、破壊する。

 その光景は、只々ただただ、少年が無双をしている。

 そして、戦いの火蓋は切れた。

 るいるいとした状況の中、たった一人だけ少年が立っていた

 その少年はこの物語の主人公、しま和人かずとである。

「はぁ、はぁ、はぁ、やっぱりLEVEL上がって無いよな、敵倒すだけじゃ上がらないか.....」

 そんな苦言とも言える独り言を言っていると、ゴゴッと、地面から音がした。

 地面の一部分が隆起し、その中から18歳位の少女が出てきた。

 髪と目の色は淡い水色、身長は170cm弱、肌の色は抜ける様な白色で痩せ型だ。

「もう終わった?」

 少女は、優しい声で話し掛けて来た。

 彼女は、和人の許嫁いいなづけとされている。名前は、しいきょう

 響子が許嫁となった理由は、三年前、親同士が遊び半分で言った事が原因だった。




 和人の家に、響子とその両親が遊びに来ていた。

 和人の両親と、響子の両親がこうしょうしていた。

 その笑い声と、話し声は、隣の部屋まで聞こえる位であった。

「いや〜、しっかし響子ちゃんはべっぴんさんになってたね」

 和人の父が笑いながら話し掛ける。

 この頃は、和人は14歳、響子は15歳と、歳は違うが学年は同じと言う良くある状況だった。

「いやいや、そんな事言ってくれると嬉しいなぁ〜、私もどこの馬の骨と分からん奴と結婚するよりは、和人君と結婚してくれた方が助かるんだけどねぇ、どうだい?」

「え、やっ、あ、その」

 冗談半分で言っている事は、重々承知ではあったが、和人自身、響子に脈が無いと言う訳では無い為、戸惑っただろう。

「もう、止めてよ」

 響子は笑みを溢しながら話しに関わる。

 響子は和人と出会った時から、完全に恋心を奪われていた。

 理由は、所謂いわゆる、一目惚れと言うものだろう。

「じゃあ、僕達はそろそろいとまするとしますか」

 響子の父親が立ち上がりながら言った。

「あれ? もうこんな時間、時が経つのは早いわねぇ、折角だし、泊まっていけば良いのに」

 優遇する和人の母。

「いや、そんなに気を使わんでくれ」

「え〜、泊まらないの?」

 響子は泊まりたい雰囲気を全面に出している。

「ん〜。明日、父さんと母さんは仕事だしな、明日は土曜か......響子だけでも泊まっていくかい?」

「うん!」

 15歳とは思えない程、無邪気な表情で答える。

「じゃあ、和人と響子ちゃんはお留守番しててくれ、送って行くから一時間前後で帰ってくる」

 小龍車の荷台に響子の両親が乗込み、二頭の小龍に跨り、和人の両親が発車する。

 この時、少しでも帰るのを遅らせていれば、少しでも早く帰っていればこんな事にはなっていなかったと二人は振り返るといつも思う。

 一時間、二時間、三時間――。

 いくら待っても帰ってくる事は無かった。

 それから何があったのか、どう言う経緯いきさつで消息不明になったのかは何も判っていないが、周りの人々は、恐らくモンスターの乱入だろうと言う事で方を付けられた。

 それから、和人の父方の祖父母の仕送りでどうせいしている。

 それから二人は両親の最期の想いを果たそうと、許嫁と言う形で生活している。

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