おわりに
書籍化――
カクヨムをはじめ、多くの小説投稿サイトで活動する沢山の作家たちが、毎晩うなされるほど夢に見る、高き壁、儚き幻。
書籍とは印刷された紙の束である。
誰もが当たり前のように本を手にしてきたのに、意外と知られていない世界――それが印刷。
作者の書きたい。読者の読みたい。その飢えを満たすために、世の中の印刷オペレーターは日々全力で奔走している。
しかし、残念な事に業界は衰退の一途を辿っている。本だけではない。その他の印刷物総てがこの世から消え去ろうとしている。
時代は常に移り変わり、今や利便性の高いWebが世を席巻している。
電話、ライン、ゲーム、小説や漫画、映画のチケットや病院の予約までWebで可能な世の中だ。
一昔前は電車に乗ると、眠っている人たちに紛れて本を読んでいる人が沢山いた。
今はどうだ? 車両の端から端までスマホ、スマホ、スマホ。
そんな中、文庫本を読んでいる人を見かけると、何故だかホッとする自分がいる。
情報社会の波は止まる所を知らず、若かりし頃憧れていたスポーツカーやバイクでさえ、今の子供たちは見向きもしない。
欲しい物は何?
スマホの新機種。
味気ない、本当に味気ないなぁ。
人は不意に立ち止まり、早すぎる時代の流れの中で
手軽で便利な世の中に人は趣を見出せず、時に原点に立ち戻りたくなる事もある。
本を手にしたい。
Webで物語を書いている作家、そしてそれを読む読者、そのいずれにもやっぱり本が好きという人達は多いのだ。
本を愛する人がいる限り、世界から、時代から、本は消えたりなんかしない。
作者の書きたい、そして読者の読みたいを心の底から応援する。
自分の手にした本に目を落とし、ふと気になる事が頭を霞めた時、遠慮する事なく声をかけて貰いたい。
「教えて、革ジャン先輩」と。
本を愛する、すべての作者と読者に捧ぐ。
さぁ、印刷の話をしようか。
―――――――――――――――――――――――― Fin
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