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今日もお弁当をもって、お手伝いにいきました。布も忘れずにもっていきます。
いつもみたく丸太を三本くらいまとめて運んでいると(重さ的にもっと運べるけれど、腕の長さが足りません)、地面にきらきらとしたものが落ちていました。十字架です。
持ち主は匂いですぐに分かったので、丸太を言われた場所に置いてくると、渡しにいくことにしました。
ミリガン神父は、柵の真ん前でグレイおじさんと何かを話していました。グレイおじさんはぼくに気付くと「よぉ」と元気に挨拶をしてくれました。ミリガン神父もそれでぼくに気付いて、ぼくのことを見ました。ジャンと同じ目をしていました。
ぼくはその眼を見て、すぐさまお手伝いに戻りたくなりました。でも、もしかしたら、助けになることをしたらぼくのことを分かってくれるかもしれないと思ったので、前に進みました。「これ、落ちてました」って。
ミリガン神父は十字架を指先でつまむと、懐から聖水の入った瓶を取り出して、十字架にかけました。いっぱいかけたので、地面に水溜りが出来ていました。
グレイおじさんはミリガン神父に怒鳴ったけれど、ミリガン神父はグレイおじさんに向き直って言いました。「十字架は神聖に保たねばなりません」って。その後は、ぼくと目も合わせませんでした。まるで、ぼくなんか居ないみたいに。
グレイおじさんは気にするなと言っていました。
帰って、布を噛みました。
アリアが部屋の前に立ったら「すぐ行く」と言って、ご飯を食べに行って、また部屋で布を噛みました。
ずっと噛んでいました。
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