第一二話「いらないと思った。されど、大事なものだった」

 うっすらと開いた瞳に映ったのは、新緑が萌える空――かと思ったが、それにしてはおかしい。

 光自体が緑だし、空ではなく天井のようだ。


(……あれー?)


 意識が戻ってくると一瞬、自分がどこにいるのかわからなくなる。

 さっきまでどこか別の世界にいた気がするのだが、よく思い出せない。

 もしかしたら、ここもまだ別世界なのかもしれない。

 などと一通り考えてから、遙は自分がテントで寝ていたことを思いだした。

 緑色は、テントのフライシートの色が透けて見えていたのだ。


(あー。わたくし、キャンプしているんでしたわー)


 そう思いだし、羽毛の寝袋の中で体をもぞもぞとさせる。

 営野から借りた寝袋は、非常に暖かかった。

 この寝袋は、【NANGA】というメーカーの製品らしい。遙はよく知らないメーカーだったし、受けとったときは薄っぺらかったので、非常に不安を感じていた。

 しかし営野に言われたとおり、広げてマットの上に置いておくと、いつの間にかフカフカになっていた。それでいて自宅で使っているような羽毛の掛け布団のように軽く、中に入ってしばらくすると、嘘のように体が温まった。

 ガサガサと音がうるさいし、動きにくいことはまちがいないが、寒さにしっかりと耐えられることもまちがいない。なんでもマイナス一五度ぐらいまで対応できるらしいから驚きだった。


(今は何時なのでしょうねー……)


 中で手を動かして寝袋のジッパーをつまみ、下におろす。

 そして面テープをはずして寝袋のつなぎ部分を開く。

 と、ひやっとした空気が首から胸元を撫でた。

 思わず、「あひゃっ」と小さい声がもれる。


 自宅ならば、起きれば自室は適温状態。だから、こんな寒い目覚めは初めてかもしれない。寝袋から少しでも体を出すのが嫌になる。

 しかし、そうも言っていられない。腕だけをだして、枕元に手を伸ばす。


(確かここに……)


 昨日、寝る前に「時刻がわかった方がいいだろう」と、温度計と兼用のデジタル時計を借りていた。それを手探りで探しだす。


「あったわー……って、気温二度!?」


 最初に温度の方が目にはいり、思わず体を震わせる。

 時刻は六時少し前。緑の光が入ってきているので、外は明るくなり始めているのだろう。この時間でこの寒さということは、夜中は氷点下だったに違いない。

 冷たい現実を数字で突きつけてくれたタブレット型デジタル時計を枕元に戻すと、遙はまた腕を寝袋に引っこめた。


 寒い。寒いのだが、ヒヤッとした空気を感じてから、トイレにも行きたくなってしまっている。我慢するのにも限界がある。


(し、仕方ありませんわねー……)


 遙は寝袋を勢いよく開けると上半身を思いっきり起こした。脚は温かいが、上半身はひんやりとする。これで普段通りネグリジェを着ていたら、スースーと冷たい風でショック死していたのではないだろうか。久々にスウェットスーツで寝たが、本当によかったと思う。

 ダウンジャケットを羽織ると、硬くなった体をグイーッと伸ばす。分厚いマットだと言われて寝たが、やはり自宅のベッドと比べると寝心地が格段の差がある。体のあちらこちらが強ばっている。


(これは慣れが必要なのかしらー? それとももっといいものもあるのかしらー?)


 ズボンを脱ぐように、寝袋から脚をだす。

 ひんやりとするものの慣れてきたのかさほどでもない。


(まあ、このままでも大丈夫かしらねー)


 ダウンジャケットは大きめで、着てしまえばおしりまで隠れる。パジャマ姿でもほとんど隠すことができるだろう。

 立てるほどテントの中は高くないので、ズボンを履き替えるのは大変なのだ。しかも、トイレは自宅のように近くにはない。しばらく歩いて行かなければならない。そう考えると、タイムリミット的に余裕がない。


 テントの中を少し這って進み、インナーテントのチャックを開ける。

 すると、また一段と冷たい空気が入ってくる。

 寒い寒い。今のでまたタイムリミットが近づいた気がする。

 遙は急いで靴を履き緑のフライシートを開けようとした。


「――あふっ!」


 思わず変な声がもれる。

 フライシートのジッパーを開けようとしたら、表面についていた水滴が垂れてきて、首筋に当たったのだ。

 見れば、フライシートの内側はビショビショに濡れていた。まるで内側に雨でも降ったのかと思うほどだ。


(なにこれ……って、ああー。結露ねー。こんなになるのねー……)


 と感心しながらも、急いでテントから出るためにジッパーをあける。今の結露の攻撃で、またタイムリミットまでの時間が縮まった。これはまずい。梅島家の娘として、こんなところでミスを犯すわけにはいかない。


「よう、おはよう。早いな」


 外にでると、すでに営野は着替えて焚き火まで始めていた。

 暖かそうな炎に誘われそうになるが、それどころではない。


「お、おはようございますー」


「やはり、あまり寝つけなかったか?」


「そ、そうですわねー」


「『キャンプあるある』ってやつだな。慣れていない人は、早起きしやすいもんだ。まあ、そのおかげで――」


「――ストーップですわー」


 ゆっくり会話している余裕はないのだ。

 遙は自分でも驚くぐらい強い口調で割ってはいる。

 タイムリミットはもう目の前だ。


「わ、わたくし、急いで行かなければならないので話はあとで……」


「ん? ……ああ! すまんすまん。漏らしたら大変だもんな」


「――セクハラですわよー!」




   §




 我慢と速さのバランスをとった小走りで、遙はタイムリミットを迎えることなく無事にミッションを果たした。

 トイレからの帰り道、安堵感が来てから、今度は腹立ちが襲ってくる。


(もう! お兄様ったら、デリカシーがないですわー……。って、漏らすって……うふふふ……)


 心で憤慨してから、なぜかついおかしくなって一人で笑ってしまう。


 自分にあんなことを言う男性は、今までいなかった。

 いや、それだけではない。危険を冒して誘拐みたいな真似をしてまで、自分に楽しみを教えてくれようとする者などいなかった。

 そうだ。

 たった一日で、これだけの経験をくれる者はいなかった。


(キャンプをしたら……これからもお兄様のそばにいたら、もっといろいろなことを知ることができるのかしらー……)


 相手は特段かっこいいわけでもない、三十路の一〇才以上離れた大人だ。

 確かに見合い相手の中には、二〇代後半の男もいたが、そのバックは営野とはレベルの違う大企業や財閥の家系だ。営野とてそれなりの企業の社長だが、やはり格が違う。


 だが、見た目とか、年齢とか、格などとは別の魅力が彼にはある。


(恋愛対象……ではないわよねー。でも……)


 これまでで一番気になる男性である事はまちがいない。

 一緒にいて楽しい事はまちがいない。

 この後も朝食を一緒に食べるのだろう。

 そしてテントを撤収したあとは、観光もすると言っていた。

 まだまだ楽しい事は残っている。

 そう期待感を高めてからテントの目の前に来た。


「お帰りなさいませ。お嬢様」


 だが、自分のサイトに戻ってきた遙は、聞き覚えのある声で凍りついた。

 焚き火の横に座っていた営野の周りには、囲むようにこの場に不釣り合いなメイドが三人。三人とも二〇~三〇才ほどと年上だが、そろっていつもどおり頭をさげる。

 そして最初に声をかけてきた一人だけが、一歩前にでる。


「弥生……」


 短い金髪の髪は天然パーマでカールがかかり、その碧眼と相まって非常に映える。幼い顔ながらスタイルは、遙に迫るほど抜群だ。クリッとした瞳に、小さい鼻と口、丸い輪郭は幼さを感じさせるが、遙よりも一つ年上だ。それどころか、同じ学校に通う先輩である。

 そしてメイドの中でもっとも親しく、泊と晶以外に、遙が唯一心を許せる存在だった。


 その彼女が、いつもと違う私服姿で立っている。しかも、見たことのない服装だ。黄色いどこかしゃれたジャケットに、裾がきゅっと結ばれたブラウンのパンツ。登山用の革靴も、しっかりと履いている。しかも、どれも真新しいという感じではなく使い込まれた感さえあった。

 普段は、童顔に豊満なボディのメイド姿のため、「いるだけでエロい」と感じていた弥生が、今日は健全なアウトドアを楽しむ若者に見え、そのギャップに遙は一瞬、いろいろと思考を飛ばしてしまう。


「お嬢様。お遊びの時間はお終いでございます。申し訳ございませんが、お戻りいただけますようお願いいたします」


 慇懃な態度で深々と頭をさげる。

 見た目こそ違えど、それはまちがいなくいつもの弥生と変わらない。

 仕事に忠実な彼女の姿だ。


「見つかった……というわけですわねー」


 遙の脳裏に浮かんだのは、「夢の終わり」というフレーズ。

 そのフレーズを自嘲してから、大きなため息をつく。

 早くはない。むしろ遅かったと言うべきだろう。下手すれば昨日のうちに見つかってもおかしくないぐらいだ。

 ならば、自分はラッキーだったではないか。キャンプを一応は楽しめたのだから。


 そう。

 終わり。

 あきらめるしかない。

 この状態で逃げられるわけがない。

 万が一、奇跡が起こって逃げられたとしても、この状態で逃げれば弥生がまちがいなく責任を問われる。それは遙の望むところではない。


「わかりましたわー。帰りますけど、おに……営野様のことは……」


「営野様には、わたくしが対応させていただきます。おこなったことに対するをつけさせていただかな――」


「――待ちなさい!」


 遙は口調を変える。おかげで少し大きな声になってしまったのかもしれない。

 周りを見ると、なにごとかとこちらをうかがうキャンパーたちがいた。下手に目立ってしまうのはまずいと考えるが、メイドが3人も立っていれば、それだけで注目を集めるだろうから、今さらである。

 ならば、かまわずこのまま通す。


「営野様は、わたくしに脅されてこのようなことをしたのです。営野様に罪を問うことはやめなさい」


「いや、これは――」


「お兄様は黙っていてくださいませ!」


 口をだそうとする営野を黙らせる。

 ここは譲るわけにはいかない。


「営野様の会社との取り引きをお父様に頼んで邪魔すると言って脅したまで。営野様に罪はありません」


 もちろん、こんな理屈が通るわけがないとはわかっている。どんな理由があれ、営野が未成年者を拐かした事実は残ってしまう。

 しかし、大切なのは建前だ。遙自身が望んでいたと言うことさえ通れば、ことを大きくしないこともわかっている。せいぜい、営野の会社との取引に影響が出る程度で済むはずだ。


「……つまり、営野様が誘拐したのではなく、営野様を遙様が使ったということでしょうか?」


 弥生の確認に、遙は強くうなずく。


「そうですわ。今回のことは、すべてわたくしの身勝手。罰を受けるなら、わたくしが一人で受けますわ」


「罰……ですか。もし、お嬢様の仰ることが本当なら、お嬢様の罰はかなり重いものになりますが。たぶん、学校ももっと厳しいところに変えられ、新宿あらやど様、入谷いりたに様の両名とも簡単にお目にかかることができなくなりますよ。それでもよろしいので?」


「――うっ」


 さすが弥生、痛いところを突いてくると遙は感心してしまう。

 彼女は遙のことをよく知っている。だから、遙が本当にがなにかも知っている。


(泊も晶も大切な……でも……)


 揺れ動く天秤。

 自分でもなぜこんなに天秤のバランスがとられているのかわからない。もし、この片方の秤に載っているのが違っていたら、絶対に泊と晶に傾くに決まっているのに。

 そもそも誘拐話を聞いたときに、困ったら営野を切ればいいと考えていたはずではないか。それで自分はキャンプを体験でき、今後は泊と晶と一緒に楽しめばいいだけではないか……と。


(なのに、わたくしはなぜ……)


 そう悩みながらも答えはもうでていた。

 自分が二人に会えなくなるのは寂しいが、絶対に会えなくなるというわけでもないだろう。

 対して営野をここで見限れば、彼の人生は……。


「かまいません。わたくしが罰を受けます。営野様は本件に関わらせないでくださいませ」


 きっぱりと言う。

 それが遙の覚悟だった。


「……営野様」


 弥生がかるいため息をついてから、座ったままの営野へ碧眼を向ける。


「ずいぶんと、遙様のご寵愛を受けていらっしゃいますね」


「ちょっ、寵愛ってなんですのー!?」


 刺々しい弥生の言葉に、遙は思わず顔を赤らめながら横からツッコミをいれる。

 だが、弥生は営野を睨んだままだ。


「それに、『お兄様』などと呼ばせるなど、やり過ぎではありませんか?」


「別に俺が呼ばせたわけじゃないぞ」


「……どうでしょうかね。わたくしだって、本当は『お姉様』と呼んで欲しいのを我慢しているというのに」


「へっ? や、やよ……いー?」


「それにずいぶんと短期間で好感度を上げたものですね。まさか、いかがわしい手段など使ってはいませんですわよね?」


「するわけないだろう。だいたい、んだからわかっているだろうが」


「……えっ? 『見張っていた』ですってー?」


 遙が目を丸くして尋ねると、弥生が当然とばかりに「はい」とうなずく。


「家を出るところから、わたくしどもがお嬢様の警備にあたっておりました」


 そう言いながら、弥生がおもむろにマスクと帽子をウエストバッグから取りだしてつけて見せた。帽子は横にベールがついていたようで、見事に金髪を隠している。


「あ……あらー? その姿は……どこかで……あっ!」


 と、しばらくして思いだす。裏山の方を散歩していたときに、背後を歩いていたキャンパーの姿だ。遙が思わず不安に感じて逃げた相手である。


「で、ではまさか……」


 遙はキッと、営野を睨む。

 すると、営野はどこか不敵に笑って返す。


「本当に誘拐みたいな真似、するわけないだろう? カルア……遙さんの祖父の【山岳】様に相談して、一芝居打たせてもらった」


「なっ、なんでそのようなことをー!?」


 怒りと口惜しさが遙にわきあがる。

 いつもの冷静さなどどこにもない。

 しかも、営野が妙に平然としているのが余計に腹が立つ。


「決まっているじゃないか。本当のキャンプを味わってもらうためだ」


「本当のキャンプ……ですってー?」


「楽しみたかったのは、ソロキャンプの雰囲気だろう? 見張りがいたとわかっていたら、楽しめるわけがないじゃないか」


「そ、それはそうですが……いくらなんでも……」


「これでもけっこう大変だったんだぞ、山岳様を納得させるのも、メイドさんたちに手伝ってもらう手配も」


「…………」


「本当は片づけして観光してからバラす予定だったんだが……」


「それに関しては申し訳ございません」


 弥生が深々と営野に頭をさげる。


「午後から急な会合がはいり、それに遙様もご出席していただかないといけなくなりまして。ですので、遙様が使用したテントの撤収などのはわたくしの方でおこなわせていただきます」


「…………」


 がくりと、遙は両肩を落とす。

 自分がソロキャンプを楽しみたいと言った。だから、営野は祖父まで巻きこんで、それを実現するためにこんな芝居を打ったわけだ。

 全部、遙のため。

 そう聞いては、怒りのぶつけ先がなくなってしまう。

 キャンプが楽しめたのも確かな上、営野も遙自身も罰を受けなくてすむ。

 考えようによってはハッピーエンドなわけだ。

 遙が躍らされた以外は。


(あんなに心配したのにー……それに……)


 大きなため息をまたついてしまう。

 遙は「不自由」だった。「自由」にはなっていなかった。


「お嬢様。昨夜、新宿様からわたくしの方にお電話がありました。お嬢様と連絡が取れないと。今、お忙しいとお伝えしておきましたが」


 そう言って、弥生が遙にスマートフォンを渡してくる。

 気を利かせて荷物から取ってきたのだろうと、遙はその電源を入れた。

 そのスマートフォンを見ながら、遙は少し投げやりに言葉をこぼす。


「わたくしは、自由だと勘違いした不自由のままで、不自由な自由を楽しんだ……愚かな道化なのですわねー」


「言葉遊びにならないようにな」


 営野が、そのこぼれた言葉を拾ってくれる。


「結果的に『楽しめた』ならいいじゃないか」


「でも結局、わたくしには不自由なを捨てて、自由になることはできなかったということですわねー」


「誰しも、を全て捨てられるわけじゃないし、捨てない方がいいもある」


「捨てない方がいいものー?」


 その時、遙の手のスマートフォンが起動したのか、通知音を連続して鳴らし始める。

 びっくりして画面を見ると、そこには泊と晶の名前が並んでいた。

 二人とも心配してくれていたようで、何通も何通もメッセージが送られてきていた。


(とまとま……晶……)


 二人に悪いことをした。そう思いながらも同時に、なんとも言えない嬉しさを感じてしまう。


「お嬢様……」


 弥生がスマホを操作していた手を優しく包むように両手で掴んでくる。


「騙すような真似をして申し訳ございませんでした。……これからも、キャンプを続けたいとお考えですか?」


「……そうねー。興味はかなりあるわー。それにとまとまたちとも行ってみたいですわー」


「承知いたしました。……今回のことで、お嬢様もキャンプができると山岳様も納得なさったと思います。本当にお一人は難しいですが、今度はこのような大所帯ではなく、わたくしだけでもご同行させていただければ、キャンプに行くことを許可していただけますよう、わたくしからもお願いしてみますので」


「弥生ー……。というか、あなた、もしかしてその服装は自分のー?」


「はい。趣味は山登りです。アウトドアならお任せください。お嬢様がアウトドアに興味をもたれて実はかなり嬉しいのです。いつかお嬢様と楽しめたらと考えておりましたから」


「あらあらー。では、わたくしはまんまとあなたの罠にもはまってしまったのかしらー。でも、お願いしますねー」


「はい」


 金髪碧眼の美少女の笑顔は、心から嬉しそうだ。

 だから、遙はその笑顔に笑顔で返す。

 弥生が自分のことを好きでいてくれると感じられるからだ。


「しがらみから逃れるためにキャンプに来て、そのしがらみの本当の意味を知ることもある」


 それは独り言のようだった。

 気がつくと営野が椅子から立ちあがっていた。


「お兄様?」


 なんだろうと思っていると、彼はそのまますっと指を遙へ向かってさした。


「今、その手にあるしがらみの名前、知ってるか?」


「……え?」


 遙の手にあるのは、友人のメッセージにあふれたスマートフォンと、自分を気づかってくれる弥生の手。


「そいつが不自由でも捨てない方がいい、『絆』っていうだ」


「お兄様……」


「さて、と……。そろそろいいかな」


 そう告げると、営野がさっさと遙たちの横を通り過ぎようとする。

 まるで、その場から逃げるように。

 だから、思わず遙はその腕を掴む。

 そう。掴んだこの腕も、捨てたくないなのだ。


「お、お兄様ー!?」


「悪いが……今は離してもらえるか?」


「ど、どうなさったのですー!?」


「いやさ。なんか雰囲気的に行けなかったから、トイレを我慢しててな。漏れそうだから急いで行ってくる」


「デ、デリカシー欠如ですわ、お兄様ー!」

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