メガネと女神と復活の呪文

花和田 鬼小太

プロローグ

 皆さんは、学校のテスト、資格取得の試験勉強をどのように行っているのだろうか。

 声に出して耳で覚える聴覚タイプ?

 それとも、画像として記憶する視覚タイプ?

 僕、城島旅人じょうしまたびと30歳は、後者である。


 学生時代は、教科書をペラペラとめくるだけで、画像として脳にインプットされた。おかげで、試験の時は、自分の脳内の教科書をめくりアウトプット、だから試験には困らなかった。


 その結果、現在そこそこ有名な大手企業に就職している。しかし、自然の摂理か、神のいたずらか、僕は、運が、著しく悪い。


ある有名な芸能人が人生には、50対50の法則があると言った。幸運も不運も平等に発生するという考え方だ。凡人は、理由のない事象をそのまま受け止める事は困難だ理由や意味を無理矢理こじつけ安心するしかない。僕は信じない。100対0でいい。


 狩りをしたことはあるだろうか?

 携帯ゲームではあるーって言う方もおられよう、可愛い範囲の狩りだ。

 又テレビで鬼ごっこみたいなバラエティ番組がある。鬼役のスーツ姿の男達から逃げ切ったらお金がもらえるというアレだ。

 しかしながらリアルの狩りは可愛げも、なければ、マネーも発生しない。


 日本の現代社会において暴力集団は厳しく規制されている。現在は、構成員もかなり減っているようだ。しかしわかりやすいシンボリックな存在が減っているからと言って悪(暴力) の定数が減っているわけでもない悪に少子化はないのだ。半グレなど社会に溶け込んでいるのだから逆にたちが悪かったりもする。


 10月31日、30歳の僕は死んだ。

 ハロなんとか?というイベントで世の中が浮かれている最中に無慈悲に殺されたのだ。


 めちゃくちゃ追い回された…


 リアルの鬼ごっこは超怖い。


 僕は喧嘩をするタイプではない。が

 中学生のころ1度だけ喧嘩をした事がある。

 不良グループに目をつけられてボコられた程度の喧嘩…一方的だったのだけれど…

 校長室に呼び出されて教頭に、何故か、喧嘩両成敗みたいに説き伏せられて、やられた相手に謝るという流れになる。旧態依然の学校なんて上辺だけの解決しかしない。言葉だけの無理やりの和解で握手なんてバカな行為はしなかったが。そうしなければ、早く解放される雰囲気ではなかったからだ。


 だから喧嘩だったのだろう。


 グループで一方的に殴られたり、僕が謝った相手が不良グループの上から指示された下っぱだったり、特に僕に対しては謝罪がなかったり、なんて些細なこと。

 その後、変な噂が学校十に広まり、何故か僕が不良とのレッテルを貼られ、ぼっち生活が始まることに比べれば。


「はぁ はぁはぁはぁ」

 激しく動いたためか、乱れたスーツの上着から何かが飛び出だした。

 それは、首に架けていた銀色のコインのネックレスだった。ワイシャツから飛び出して振り子のように揺れていた。

 繁華街を必死に逃げ回っている…警らの警官はいない…

「余計な時は職質してくる癖にっ!」

 お巡りさん!来て!!僕ダークグレーの反社会的組織に、鬼ごっこされているのですがっ!

 昔から運がない。神様が僕の運のパラメーターを0に、設定しているようだ。



 こうなっている原因は、何だって?

 高級なバーで隣に座っていた茶髪短髪でダイヤの付いたピヤスを右に付けた顎髭の僕の嫌悪感マックスのルックスな白服の若い男に

 軽く注意をしただけ…余りに取り巻きと五月蝿かったので、つい出てしまった一言

「だまれっ」

 酒のせいなのだろう普段は心の中での声が声帯を通して空気を震わせてしまったのだ。



 震えが止まらない。繁華街のスクランブル交差点を走り抜けて 家電量販店に逃げ込む

 後ろを振り向いて追って来てるか確認する余裕などない。店の正面で動いているエスカレーターを駆け登ろうとした時


「!!!」


 熱い!


 走ってアドレナリンが出ていたのか…傷みはなかった、ただいきなり電源が落ちたテレビ画面のように光が一瞬で失われた。


「これが…」


「死!?」


「死にたくない!死にたくない!」



「死にたくないっ!!!」

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