結論におけるサロメ的恋愛思考

@mas10

夜明

カツン。カツン。と音がした。硬い革靴が堅いコンクリートを蹂躙する音。

カツ、カツ、カツン。と、ゆったりした歩調で足音は進む。そのあとには、静寂に絶対的に支配された廃墟があるだけ。

カツン、カツン。カツン。かすかに光の差し込む天窓の下で、冷たい壁に背を預けていた女は、足音を見て、微笑んだ。


「……お早う」

「お早う」


足音の主である青年は、空々しくも飄々と笑みを浮かべた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る